« 霧多布湿原 2018/06/11 | トップページ | 蔵王刈田岳 2018/07/01 »

2018/09/09

蒲生 2018/06/26,29

2018.6.26 11:50-17:00  曇り
2018.6.29  07:50-13:20  晴れ
 
 蒲生にアボセットが来たという。
 私にとっては,2007年に石巻で会って以来。
 2018-2007=11。11年ぶりになる。
 

 滞在中に行ったのは2回。6月26日と29日。
 蒲生では6月23日から観察できていたようで,26日の朝に聞いて当日出会うことができ,29日に行った時もまだいた。いつまでいたのか不明だが,少なくとも7日間は滞在していたことになる。

 蒲生滞在3日目の26日は,干潟北端の水辺からほとんど動かずに採餌していたが,滞在7日目にあたる29日は,干潟の広い所に出てきて,ときに飛んで移動しながら,干潟全体を移動しながら採餌していた。

 26日より29日の方が条件が良かったので,29日に撮影した写真を主に使うこととする。
 今回は2羽の飛来だったので,まずは,個別識別できるように特徴を押さえておこう。

180629_6789

 白い体に黒い模様が入っている。
 2羽を比較すると,左の個体の肩から腰に伸びる黒帯の肩付近の太さが,右の個体より細い。
 また,左側の個体の体の上側の黒帯と下側の黒帯の肩付近の始まりが,右側の個体は明確に分離しているのに対し,くっついているようにみえる。

 右側面と左側面をそれぞれ確認してみよう。

180629_0220

180629_0262

 やはり,右側面も,左側面も,肩付近の黒帯の太さが異なり,また,上と下の黒い線の離れ具合もそういう傾向にあるようだ。
 これで個体を識別することにしよう。

 仮に,左側の個体を,≪ア細ット≫と,右側の個体を≪ア太ット≫と呼ぶこととする。

 こちらが,ア細ット

180629_6530

 そして,こちらが,ア太ット

180629_5200

 まず,成幼の別を見てみよう。

 図鑑の解説によると,幼鳥は黒帯の部分が茶色がかり,さらに,体上面の白い部分も汚れたように茶色がかっているようなので,2羽とも幼鳥ではない。
 しかし,お尻の方に見えている風切が,どちらの個体も茶色っぽい。
 どのくらいで茶色味がなくなるのかわからないが,若い個体には違いない。

 飛んで翼を広げているところを確認してみよう。

180629_7089

 これは,ア細ットの方だが,翼を広げると茶色の部分が目立つ。

 もう1枚。同じ個体。

180629_7093

 下は,ア太ットがバランスを崩して羽を広げたところ。

180629_1535

 ア細ットと比較すると,黒い部分に茶色味があまりない。
 若鳥には違いないと思うが,これだけを見ると,成鳥とも見間違えそうだ。

 2羽が並んで飛んでいる写真もあった。

180629_3903

 比べると,茶色の入り方がずいぶん違うのがわかる。
 この2羽。年齢が異なるのか,それとも個体差なのか。

180629_7096s

 さらに,♂か,♀かも確認してみよう。

 わかりやすい識別ポイントがないかと,手持ちの図鑑で改めて調べてみたが,黒帯の模様が違うとか,明確に色が違うとか,簡単に識別できるポイントは書いていなかった。
 やはり,♂の嘴が長くて曲がりが少なく,♀の嘴が短くて曲がりが大きい,ということが,わかりやすい識別ポイントのようだ。
 
 幸い,11年前に出会った個体の写真もあるので,比較して考えてみよう。

070701c_331_2 180629_6519_2 180629_5201_2

 順番に,11年前の個体ア細ットア太ット
 ちょっと首の角度が違うだけで,くちばしの長さや曲がりの印象が異なるので,断言はできないものの,11年前の個体のくちばしが一番長く,曲がりが少ないようだ。
 一方,最後のア太ットが,一番くちばしが短く,曲がりが大きいように感じる。
 ア細ットは,11年前の個体に近い感じもあるが,曲がりが大きい。

 11年前の個体は,♂,のように思える。
 ア太ットは,♀,かなぁ。

 ア細ットは,…,う~ん,どうだろう。♂のようにも見えるが,♂♀揃ってしまうと,でき過ぎで面白くないしなぁ。でも,…,やっぱり,♂かな。

 下に,ア細ットア太ットを比較できる写真を何枚か張ってみよう。

180629_2847 180629_3316_2

180629_5701

180629_2675

180629_2624 180629_2678

 微妙だなぁ。同じように見えてきた。
 見れば見るほど悩んでしまう。

180629_0279

 上の写真では,やっぱり,手前のア太ットのくちばしが短くて曲がりが強い。
 ア細ットは♂の若,ア太ットは♀の若,と決定。
 若君姫様,ということ。
 
 ちなみに,現場にいた鳥見の方々の意見を聞いてみたが,その時点での定説はなかったようだった。

 ところで,前回(11年前)出会ったときも,このブログに記事を記載していたが,結構ちゃんと書いていて,我ながら感心。
 そのブログで書いていたのが排便のこと。

 水の中で採餌していたが,突然,スタスタと水の中から出る。

180629_2829

 出す。

180629_2840_2

 スタスタと水の中に帰る。

180629_2843_2

 几帳面な性格だ。
 11年前とは個体は違うのに,行動は同じだった。
 観察しているとき,何度か排便したが,必ず,水から出て,砂の上で排便していた。

180629_3381 180629_5988

 左側の写真は,ア太ットがいきんでしているのを,ア細ットが後ろから見守っている感じが良い。
 
 人間なら,自分のうん○が浮かぶ水の中にある食べ物を食べたくないのは当たり前だが,このヒトたちはどんな感覚でこういう行動をしているのだろう。
 学習で覚えた行動ではなく,DNAで受け継いだ生まれつきの習性。

 なぞ,遺伝子…。
 
 「なぞ,遺伝子」と言えば,頭掻きもそう。
 シギの仲間は,「直接頭掻き」といって,翼の上から普通に頭を掻くが,チドリの仲間は,「間接頭掻き」といって,わざわざ翼の下を通して頭を掻く。

180629_1599_2 180629_0660

 この鳥は,「シギ」と名が付いているが,間接頭掻きをしていた。
 シギというが,チドリの仲間なのだろうか。
 
 日本鳥類目録改訂第7版で確認すると,チドリ目の中に,チドリ科とシギ科があるが,それとは別に,セイタカシギ科が独立してあった。
 この鳥は,シギ科でもチドリ科でもなく,チドリ目セイタカシギ科のソリハシセイタカシギ属に属していた。セイタカシギとも属を異にしていた。

 今度は,採餌の様子を確認してみよう。
 
 蒲生干潟は,大震災の大津波で壊滅的な被害を受け,一時,生き物がほとんどいなくなってしまったが,今は,ゴカイ類やカニ,貝,魚などで溢れていた震災前の姿に戻りつつある。
 
 このときは,ボラの子どもが無数に入ってきており,水面がボラの子どもの群れでさざ波が立つような状態だった。

180629_2274

 この鳥は,反ったくちばしを水に入れて,首を左右に振りながら食べるものを探すことが多いが,アオアシシギがよくやるように,突進していって魚を獲っている場面が多く観察できた。
 
 くちばしセンサーで探すまでもなく,水の中が魚で溢れていたので,視認できていたようだ。視力も良い鳥,ということ。

180629_1751

180629_1774 180629_2278 180629_2611 180629_2547

180629_4383

 魚獲り専門の鳥ではないと思うが,結構上手にボラの子どもを獲って食べていた。

180629_0891

180629_0214 180629_0305 180629_0326 180629_0746

180629_0797 180629_1117 180629_4445 180629_0340

 そして,ポロリと落とすことも。

180629_4419

 次から次にたくさん食べていたので,太めのこの体の中に,魚が相当量詰まった状態になっていたと思う。シギの魚ソーセージ状態だったかも。

 なお,この日は,魚がたくさんいたので,魚を主に食べていたが,26日にはゴカイ類を食べている写真も撮影していた。

180626_p5794

 鳥には,それぞれ「ここんとこが好き。」というチャームポイントがあるが,この鳥は,ふわふわの白い喉とお尻,そして,さび色の小さな斑がある青灰色の長い脚が好き。

 喉は,センダイムシクイも白くふわふわしているが,この鳥もそうだった。

180629_0608 180629_0718

180629_2924 180629_3119

 お尻もそんな感じ。

180629_6744 180629_3715

 特徴的な長い脚は見ようによっては,見せびらかしているようにも見える。
 私の目にも,とてもきれいな色に見えるが,種によっては,鳥たちの色覚は人間より優れているので,このヒトたちは,また別の見え方をしているかもしれない。

180629_6504 180629_3676

180629_2339 180629_2375 180629_5130 180629_6503

 ネットの画像ではよくわからないかもしれないが,足の色は,きれいな青灰色一色ではなく,汚れたようなさび色が入っている。そういうのがあるからこそ,愛しく感じる。
 また,最初の写真では足ひれがあるのがよくわかり,泳ぎも得意であることが想像できる。

 昨年も伊豆沼周辺に来ていてようだが,私にとっては,11年ぶりの出会いだった。
 ここに来る前は少し南の方で観察されたとも聞く。もしかすると,もっと南の方にいたのが北上してきたのかもしれない。
 若い鳥なので,何かの拍子で迷ってここに来たのかもしれないが,食べ物が豊富で蒲生が良い所なのはわかってくれたと思うので,今度はぜひ多くの仲間を連れて戻ってきてほしい。

180629_1910

180629_6564

180629_2080

【その他写真】

180629_7685 180626_p5095 180626_p6856 180626_p6891

180626_p5457 180626_p5530 180626_p5531 180626_p5532

180626_p5383 180626_p5406 180626_p5447 180626_p5487

アボセットも魚獲りが上手だったが,ササゴイはプロフェッショナルな腕前だった。
ほぼ百発百中,体力のロスも必要最小限だった。さすが!


« 霧多布湿原 2018/06/11 | トップページ | 蔵王刈田岳 2018/07/01 »

0503 宮城県/蒲生」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。アボセットの情報、私も鳥友人からいただき知っていましたが、都合がつかず行けませんでした。最近来るようになった感じですね。今度来たらぜひ行ってみたいです。先日、蒲生に行ってきました。震災後初めての蒲生でした。変わりように心が痛みましたが、久しぶりにシギチを堪能してきました。トウネンの群れとシロチドリの群れで、珍しいシギはいませんでしたが、何しろ8年ぶりなので、トウネンの近さにドキドキしながら楽しんできました。

投稿: NOBU | 2018/09/10 09:38

NOBUさん,いつもお世話様です。
蒲生干潟にいらしたとのこと。工事のための大型車両がひっきりなしだったり,大型重機が水路に入っていたりしていますが,蒲生はあれでもかなり復活してきたんですよ。広大なヨシ原は復活しようもありませんが,本文にも書いたように,生き物はかなり復活してきています。
最近は私も毎週行っていますが,週替わりでシギチの顔ぶれが変わり,とても面白いです。

投稿: yamame | 2018/09/10 18:02

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 霧多布湿原 2018/06/11 | トップページ | 蔵王刈田岳 2018/07/01 »