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2010/08/29

羅臼沖 2010/07/18 AM

09:30 雨のち曇り

 早朝から雨が降り,船に乗るまで宿に閉じ込められていた。
 時間になっても降りやまなかったため,上下のレインウェアにポンチョを着込む,という完全武装で船に乗り込んだ。

 しかし,船に同乗した皆さんの日頃の行いが良かったのか,まもなく雨が上がって,撮影もできるような天候になってきた。私の行いの悪さを上回る善行の主が乗っていたのだろう。

 下の写真がこの日のファーストショットだ。

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 さて,羅臼からの船に乗るのは3回目になるが,ここまでの記事ではシャチの感動に振り回されて,ちゃんとメモしてこなかった。

 ある程度は後でわかるように記録しておこう。

 乗った船は(有)知床ネイチャークルーズの船で,この時期は午前と午後の2回,船を運航していた。午前が9:00発で午後が12:30発。それぞれ2時間半程度のクルージングだ。ハイシーズンになると夕方の便も加わるようだ。

 大体のコースは決まっているかもしれないが,実際にはウォッチング船同士が連絡を取り合って,クジラ・イルカがいる海域に向かっていた。
 だから,海に出て見ないとどの海域に行くのかわからない。(下の写真は7/17朝)

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 しかし,ロシア領の国後島がすぐ近くで,ロシアの領海もすぐそこに迫っているため,行ける海域には制限がある。

 漁をしていた頃の昔,船長にも拿捕の経験があるらしく,たとえシャチがいたとしてもロシアの領海に入り込もうなんてバカなことはしない。。(下の写真は7/17朝)

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 乗船料は通常8,000円だが,このときは割引があって6,800円で乗船できた。

 乗船手続きは港ではなく,羅臼の町の中にある「パンの店」で行う。
 パンの店から羅臼港まではすぐで,車で1分程度。歩いても5分くらいではないだろうか。
 車は港内の船着き場前に置くことができるので,荷物の運搬に苦労することはない。。

 船に乗ると当然船室内からではなくデッキから観察することになるが,デッキは上と下に分かれている。上にいた方が遠くまで見通せるし,下にいた方がより近くから観察できる。一長一短だ。

 デッキには屋根がかかっていないので,雨天時には雨対策が必須だ。
 このときは気候が良く,普通の格好でも寒さを感じなかったが,海風に吹きさらされることになるので,時期が異なれば防寒着も必須になるだろう。

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 船からの撮影は自由にできるが,結構込み合うので三脚は厳禁だ。人の邪魔になるし危ない。そもそも船が揺れるので,三脚を使った方がぶれると思う。意味なしだ。

 私が持っていったのは,100-400mmの望遠ズームと17-40㎜の広角レンズだったが,これで正解だった。主に100-400㎜を使っていたが,400㎜の望遠端まで使ったことはあまりなかった。そこそこの望遠で大丈夫と思うし,標準ズームだけでもある程度は撮影できると思う。

 羅臼港からはクジラウィッチング船が複数出ていたが,私が次に乗るとしたらやはりこの船かな。

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 船長のマシンガントークは別にして,女性スタッフ2人がとても良い。
 ハルさんは東京出身,エリカさんは宮城県出身。シャチが好きでここに居ついてしまったようだ。こういう人たちと話ができるだけでも嬉しいことだ。
 真っ黒に日焼けした笑顔がとても晴れやかな人たちだった。

 さて,シャチのことだ。

 羅臼のシャチが見られるのは,例年は5月くらいまでだという。
 今回は7月中旬過ぎだったが,数多くのシャチたちと出会うことができた。この時期にこれだけ見られるのはとても珍しい,ということだ。
 今年は,3月に現れて以来,ずっと観察されているが,同じ個体群だとすれば5か月も居ついていることになる。

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 ここの海域は,これだけの体のこれだけの個体数を維持するだけ豊かだ,ということだ。
 日々消費する食糧は膨大な量になると思う。

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 テレビでは海外のシャチがアザラシを襲っているところななどが放映されるが,ここのシャチは何を食べているのだろう。
 ウォッチング中はかけらほども感じなかったが,ここのシャチも大型クジラを襲うような獰猛な面もあるのだろうか。

 羅臼の海にもクジラやイルカ,アザラシなどの海生哺乳類がいるが,ホッケなどの魚類が豊富なことでも有名だ。

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 ある本によると,北太平洋(カナダ沖)のシャチはレジデント(定住型)とトラジデント(回遊型)の2つのタイプに分かれ,レジデント(定住型)の方は魚食が中心のようだ。
 ここのシャチはどっちのタイプに近いのだろう。

 羅臼のホッケは北海道の人たちも一目置くブランド品なのだが,このシャチたちが大量消費している可能性はあると思う。
 ホッケの漁獲量が往時の何分の1かに落ちている中,ウォッチング船で町を活性化している雰囲気だが,羅臼の人たちにとってシャチは痛し痒しの存在なのかもしれない。

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 シャチが魚を食べるとき,音波で魚を気絶させる,というからすごい。

 ドラゴンボールに出てくる「かめはめ波」とか平成ガメラシリーズの火球と同じようなイメージだ。
 水中で,シャチの群れが魚の群れを取り囲んで,ドン,ドン,と, かめはめ波 を打ちまくっていることを想像するととても楽しい。

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 シャチの特徴のことをもう少しメモしておこう。

 体の大きさは本やサイトによってまちまちだが,「鯨とイルカのフィールドガイド」(東京大学出版会)によると,大人の平均で♂が6.7~8m,♀が5.7~6.6m という。
 いずれマイクロバス並の大きさだ。

 ♂の背びれは直立して高く,最大1.8mにも達するが,♀の背びれは鎌型で♂の半分程度だ。

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 体は私がよく出会うカマイルカやイシイルカの何倍も大きく,また,♂の背びれはとても立派だ。
 背びれが最大180cmというが,和田アキ子さんの身長は174cmということだ。
 下の写真で和田アキ子さんが横に立っているところを想像してみよう。

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 シャチのタイプによって背びれの形が異なるようだが,同じタイプでも結構個体差があるようだ。
 曲がり方や尖り方が違い,また,捩(よじ)れていたり,一部欠けていたりしている。

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 シャチは,黒い体にはくっきり目立つ白い部分があり,全体としてツートンカラーになっている。

 白い部分は, 尾の下側の部分, 顔の下側から下腹部にかけての部分,そして, 目の後方上側のだ円形の部分,の3か所に分かれている。

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 上の写真では, 顔の下側から下腹部にかけての部分 がよくわかる。
 ちなみに,肛門の付近にスリットがあるが,この両側にポッチが付いており,割り算の数式記号 ÷ のようだ。このポッチが乳首で,♀の印だ。
 ♂の方は割り算ではなく引き算になっている。

 目の後方上側にある白い部分は,眼帯でもないのにアイパッチ(eye patch)と呼ばれている。この部分の大きさや角度はタイプによって異なるらしい。

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 子どもはこの白い部分が象牙色に近く,黄色味を帯びている。

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 背びれの後方には,淡い色の斑紋があり,これをサドルパッチ(saddle patch)という。
 この部分は背びれ以上に個体差があるし,同じ個体でも左右で形が違う。だから,個体識別のためには左右の写真を撮っておいた方が良い。

 「サドル」という言葉を聞くと,ここに乗りたくなってくる。

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 シャチの個体識別は,主に背びれとサドルパッチで行う,という。

 前日からのブログ記事の最後に「個体識別用写真置き場」とあるのは,背びれとサドルパッチがよく写っている写真を集めたものだ。

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 今回,生まれて初めてシャチを見て,船も3回しか乗ったことがないので,個体識別なんてとんでもないことだが,もっと通い詰めれば特徴的な個体はわかるかもしれない,と思って整理してみている。

 しかし,見る目もないし,時間もないし,無理かな~。

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 個体識別にあたっては,今のところ記号・番号のみで整理しているようだが,今回経験したように,シャチを多数観察できるのであれば,特徴的なシャチにニックネームを付けても良いと思う。

 背びれがくちゃくちゃ曲がっている個体(7/17午前参照)もあれば,サドルパッチが唇のような形の個体もある。

 もし背びれがもの凄く立派な♂がいたら,「羅臼」と「large」をかけて「ラー」なんて付けても面白いかもしれない。神の名前と重なる。
 背びれがくちゃくちゃの個体はそのまま「くっちゃん」でも面白い。

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 名前を付ければ,シャチに出会う楽しみだけでなく,一定のある個体・家族に出会う楽しみも出てくると思う。

 家族,と言えば,前のブログ記事でもふれたとおり,シャチは母系家族で,母親を中心とした群れを形成する。ただ群れているのではなく,血縁関係のある家族集団だ。この群れをポッド(pod)というようだ。
 いくつかのポッドが集まるとより大きな群れとなる。

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 小さな子どもはお母さんが大好きで,ほとんどの時間ぴったりくっついて離れることがない。傍(はた)から見ていて,鬱陶(うっとう)しく感じてしまうほど母親にまとわりついている。
 そういえば,わが家の母娘もこんな感じだった。

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 いずれ,クジラの仲間を始め,集団生活する哺乳類は母系が圧倒的に多いようだ。

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 人間は,社会システム上,父系となっている国・地域が思うが,わが家を始め,家庭内では母強し。同じく母系だった。

 シャチが潜水する時間は4~10分間ということだ。

 初日の午前中に見た群れは,一斉に潜って,数分しないと浮上してくれなかった。
 時間を測った訳ではないが,その範囲内には収まっていた時間だったと思う。長い時間潜られると,出てくる場所に検討がつかず,かなり離れた所に浮上されたりしていた。

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 初日の午後以降は,頻繁に浮上と潜水を繰り返す行動も観察できた。

 当たり前の話だが,そのときに何をしていたのかで潜水時間が変わるのだろう。親子がじゃれあったり,遊んだりしているときは潜水時間も短い。

 浮上したときには,肺に溜めていた息を一気に噴き出す。

 これが噴気となる。

 今回はたまたま船の下を通った個体が左舷側から浮上したとき,ブローの瞬間を捉えることができた。

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 頭の上にある鼻穴付近に海水を溜めて,一気に噴き出す。
 この海水はたまたま溜まったものではなく,わざとここに溜めて噴気の材料としているように見える。
 溜めた海水を一気に吹き飛ばすのはとても気持ちが良いのだろうと思う。

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 なかなかじっくり見る機会がないと思うので,最後に鼻の穴を拡大して掲載しよう。

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 ブリーチやスパイホップなどについては,写真と共に7/17の記事に掲載したので,ここでは説明を省略することとする。

 書きはじめのイメージとは全く違う記事になってしまったが,書きなおすのは面倒だ。

 もう書き疲れたので,お終い。

 サンマ(?)サイズの子どもたちが盛んに飛び跳ねていたことなどを書き切れなかったが,文字に代えて,下に写真を張ることとする。

 鳥のことについてはあまり書くことがないのだが,一応,次回の記事にメモしておこう。

(→次の記事に続く。)

【その他写真置き場】

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【個別識別用写真置き場】

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