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2010/08/14

苫小牧-仙台航路 2010/06/20

 これで懲りられても今後困るので,苫小牧から仙台への船では奮発して特等室を取っておいた。一等室でもなく特等室だ。私も初めてだった。

 八戸から午後4時に苫小牧に着き,午後5時半を待って,仙台行きの太平洋フェリー「きそ」に乗船する。

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 いつものB寝台であれば何事もなく普通に船室の方向を案内されるだけだが,特等だと待遇が違った。カードキーを渡してくれて,係の女性が船室まで案内してくれた。普通のビジネスホテルよりサービスが良い。温泉旅館並だ。

 さらに驚いたのが船室の中。

 広い。

 ビジネスホテルのツインルームと同じだ。バスルームも,テレビも,冷蔵庫もある。
 感動モノだった。
 貧乏性なので,このスペースがあればB寝台がいくつ取れるのだろう,なんてことまで考えてしまう。

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 パンフを見ると,広さや備品は一等室と同じようだが,特等は部屋から海が見えるのが違う。雨でも室内から鳥を見ることができる部屋だ。

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 これは良い。
 同行者ならずとも幸せな気分になれる部屋だった。

 入室後はそれぞれ大浴場で一番湯。その後,レストランに向かう。
 レストランはバイキングで2,000円と結構値が張るが,ステーキや寿司,麺類,サラダなど,ないものはない,と言って良いほど種類は豊富だ。

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 左上が最初の風景で,右上が最後の風景。
 右の風景で見えるもの全部残したのは言うまでもない。汁物(?)だけでもおつゆとコーヒーと水割りがある。果物はなんだ?
 取ってきたものは残さない私の性格とは正反対の同行者だった。

 レストランの窓からはこんな風景が見えていた。
 苫小牧港の日没だ。

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 この後,部屋に戻り,ワールドカップのオランダ戦を観戦しながら,さらに飲み続け,負けたのが悔しく,続いてかかっていた映画「おっぱいバレー」(主演:綾瀬はるか)を見ながら飲み続けてしまったのだった。

 テレビを付けっ放しで幸せに酔いつぶれてしまったが,船の揺れがとても気持ちよく,一生このままこの船で生活したいと,強く願っていた。
 とても鳥見に来たような行動ではなかった。

 しかし,…。

 鳥見人の性はどうしようもなく,いくら前夜にお酒が過ぎたとしても,4時前には目が覚める。

 部屋の窓から海上を見ると,まだ暗い中を物凄い数のオオミズナギドリたちが飛び交っていた。凄い,凄い。思わず,同行者を起こしてしまうほどの光景だ。

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 上の写真は,部屋の中からパンツ姿のまま船窓から撮影したもの。まだ暗くブレ写真しか撮れない。

 大慌てで服を着て,すぐ上のデッキに出る。
 冷たい空気が心地良い。

 海上にはオオミズナギドリの群れがいて,海面すれすれを船を先導するように飛んでいる。暗くて静かな海の上に,数多くの命が動いている。素晴らしい光景だ。
 撮影するには暗い状態だが,興奮して撮影する手が止まらない。

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 ぶれている写真でも,このときのことを思い出すための材料にはなるし,これ自体もなかなか味わい深い。

 コンパクトカメラでもこんな風に撮れた。

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 暗くて見づらいが,海面に多くの鳥が飛んでいるのがわかる。

 しばらくシャッターを切っている内,興奮が収まってきて,今度は,きちんと撮影しよう,という気持ちが出てくる。
 海が凪いでいるので,海面に映った影を狙うのも楽しい。

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 オオミズナギドリの群れは途切れることなく,どんどん湧いて出てくるように現れる。物凄い数だ。

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 写真は近くに見えるものだけだが,双眼鏡で遠くを見ると,かなり遠くでも数多くのミズナギドリ類が飛んでいる。

 このオオミズナギドリは,繁殖地として知られている御蔵島(伊豆諸島)からも遠征して来ているらしい。ヒナを待たせたまま,こんなに遠い所まで来て餌を取っている。
 この周辺はそれだけ豊かな海なのだろう。

 この後,明るくなってくると,こんな写真も撮影できた。

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 同じ日なのに,時間や場所によって海の表情がそれぞれ異なり,面白い。

 朝早い時間から,オオミズナギドリの密度が濃い場所には,海面に飛沫を上げている別の生き物の姿も見えた。

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 カマイルカたちだ。
 こいつらが出てくると海が俄然活気づく。

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 近くに現れるイルカたちは,三脚に固定したカメラではなかなか追いきれないのだが,今回は運良くこんな写真も撮影できていた。

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 素晴らしい。よくぞ撮れた,とほめておこう。
 美しい,の一言だ。

 イルカは近くに遠くに何度も現れたので,デッキにほとんど出てこなかった同行者も2~3度は見ることができたようだ。

 この人は,1日のうち,8時間はボーっとしていて,4時間はビールを飲んでいて,20時間は寝ているのが最高の幸せなのだと思う。足すと24時間を超えるが,たぶん本人も頷首すると思う。
 今回はのんびりゆっくりと休めたようだ。

 イルカの群れに混ざって,こんな動物もジャンプしていた。

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 キタオットセイだ。
 海上に首を出してぷかぷか浮いていることが多いが,今回は元気にジャンプしながら泳いでいた。
 撮影しているときは全く気付かなかったが,撮った写真を点検していて発見したものだ。

 朝早い時間帯には,オオトウゾクカモメとも出会っていた。

 オオトウゾクカモメは何年も前のフィルムカメラ時代に一度出会って以来だったが,ずんぐりした体形と翼の白い斑で見間違えることはない。
 久しぶりでとても嬉しかったが,撮影は大失敗。証拠写真にもならなかった。

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 まだ暗くて,一度目を離すとどこにいるのかもわからなくなる状態だったので,やむなし。
 出会えただけで良しとしよう。

 オオミズナギドリほど多くはなかったが,ハシボソミズナギドリも数多く観察できた。

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 海面のあちらこちらに浮いており,船が近づくと水を蹴って助走し,遠ざかる。そのまま飛ぶものもあれば,飛び立たずにまた着水するものもある。

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 沢山の個体があったなか,次の個体はハシボソミズナギドリにしてはおでこがすっとしており,嘴が長く見える。

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 翼の裏の特徴がよくわからないが,ハイイロミズナギドリだろうか。

 クロアシアホウドリも結構な数を観察できた。

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 船が近くを通ると飛び立つ個体と何度も出会い,また,数羽の群れで浮かんでいる個体とも出会った。
 ミズナギドリを見慣れた目でこの鳥を見ると,大きくて迫力がある。

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 数多くいた個体の中には上尾筒・下尾筒(尾の付け根部分)が白い個体もあり,上にもその写真がある。
 同じように見えても個体差があって面白い。

 クロアシアホウドリが数羽集まって群れになると,こんな光景になる。

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 この群れは8羽だったが,下の写真のような光景を見て,最初は9羽と数えてしまった。

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 海上に浮かぶ黒い影を指折り数えると,9つある。

 怪しいのをもう少し拡大するとこんな感じだ。

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 真ん中やや下寄りに見えるのは鳥ではなく,魚のヒレだった。
 これは,マンボウのヒレだと思う。

 以前八戸航路でマンボウがプカプカ浮いているのを見つけて大喜びしたことがあったが,この日は何度もマンボウが浮いているのを観察していた。
 大きいもの小さいのもいた。

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 近くに浮かんでいるマンボウは三脚にくっついたカメラではファインダーに入れるのがむずかしく,また,撮影できても海面が光ってよく見えなかったが,なんとか顔がわかるような写真も撮影できていた。

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 マンボウを見るたび,中学生時代,今は亡き父が買っていた「どくとるマンボウ航海記」(北杜夫著)を読んで,北杜夫ファンになっていたことを思い出す。
 とても親近感を感じる魚だ。

 マンボウは,フグの仲間で,クラゲが主食。3億もの膨大な数の卵を産むことで知られている。魚の仲間で一番の多産だ。全部生き延びれば海がマンボウで埋まってしまうほどの数だが,ほとんどが他の生き物の糧となる。

 横になってぷかぷか浮く魚はマンボウ以外には知らないが,どうしてこんなことをしているのだろう。寄生虫が多いので,日光に体をさらして消毒しているのではないか,という説もあるようだが,どうなんだろう。曇っていても殺菌効果はあるのだろうか。

 いずれ,気持ち良さそうに見えるのは間違いない。体のどこにも力が入っていない,この脱力感が何とも言えずに,良い。

 この人は,あくせくする生き方とは全く無縁。 ただ漂っているだけ。

 良いなぁ。

 マンボウはデッキ上から何度も観察できたが,同行者によると,朝食を食べにいったレストランの通路からも観察できたそうだ。

 魚系では,トビウオとも出会うことができた。

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 この魚も以前に1度きりしか出会ったことがないが,こちらも何度か観察することができた。マンボウほど多くはなかったが,4~5回は飛んでくれたと思う。

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 よく見ると,飛行機やグライダーのように主翼と水平尾翼がちゃんとあって,垂直尾翼は下の方に付いている。この垂直尾翼(尾びれ)はプロペラの役割も果たしているようだ。

 水面に落ちそうになると,水に浸かった尾びれを必死に動かし,勢いを取り戻そうとしていた。
 この動き自体も面白いが,水面に描く軌跡がまた面白い。

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 このとき水平尾翼(腹びれ)は閉じて,推進力の復元に専念していた。

 たぶん同行者はトビウオを見ていないと思うが,デッキにいないのだから自業自得だ。

 この日は7時過ぎの時間帯に一時霧もかかったが,往路の霧を考えるとなんということはない。
 しかも,霧のおかげで面白い現象を観察することができた。

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 写真ではわかりにくいが,実際にはもう少しはっきり見えていたように思う。

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 ブロッケン現象だ。

 山で観察されることが多いようだが,たまたま条件が合致したのだろう。
 霧が残っている海面を太陽を背負って覗き込むと,自分の影が霧に映り,その周りを虹が囲んだ。
 霧がかかったり晴れたりを繰り返す条件があればまた見られると思う。

 さて,そろそろお終いにしよう。

 この日は,午前9時30分に仙台港に入港。定刻は午前10時なのだが,何かの都合で早めたらしい。いつもより30分間鳥見の時間が短くなってしまったことになる。

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 しかし,今回はオオミズナギドリの大群に会えたほか,鳥以外のさまざまな生き物にも出会うことができた。この海の豊かさを心から実感した日となった。
 何も出ないとき目に見えるのは海面だけだが,実はとてもとても豊かな海だった。

 同行者は,忙しい船旅をイメージしていたようだが,時間の流れのゆったり感が気に入ったようだった。
 というか,自主的に時間の流れをゆったりとさせていたようだ。

 私の方は結構忙しい時間帯もあったのだが,彼女はず~っと気ままにのんびりと過ごして,日頃の疲れを取り払ったようだった。

 さて,特等室を経験し,その快適さを知ってしまったが,これからどうしよう?

 困った。

【出会えた主な生き物】
 オオミズナギドリ,ハシボソミズナギドリ,クロアシアホウドリ
 カマイルカ,キタオットセイ,マンボウ,トビウオsp

 

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