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2010/01/19

椿漁港 【ハシブトウミガラス編】 2009/12/31

10:15-11:00 曇り

 この日の記録はすでに書いたが,写真が山ほどあり,材料が揃っていたので,ハシブトウミガラス部分だけ別にメモすることとする。

 男鹿の椿漁港に着いてすぐにウトウと出会い,一旦潜ったウトウが出てくるのを待っているとき,すぐ近くの水面に白黒のペンギン模様の鳥がポカリと浮きあがってきた。

 ハシブトウミガラスだ。

 滅多にない観察のチャンスだ。

091231e_0229 091231e_0255 091231e_0284  ウトウよりひと回り大きく,海面に浮かんでいると,上面が黒く,下面が白い。
 この大きさでこの体色の海鳥にはウミガラスとハシブトウミガラスの2種があるが,嘴に白い線があり,また,お腹の白い部分が尖って喉に食い込んでいるので,ハシブトウミガラスと識別できる。
 ちなみに,ウミガラスの冬羽は顔が白いので,顔が白くなった個体は間違いようがない。

091231e_0287 091231e_0389 091231e_0413  ハシブトウミガラスは本来外洋にいる鳥なので,航路でも観察することができるが,このように至近距離から観察できるのは港内ならではだ。4年前もここで2羽観察したことがあるが,1羽はやや遠く,1羽はかなり弱った個体だった。
 このように元気な個体を近くで観察するのは初めてだ。

 この日,暴風雪警報が出ており,外海がかなり荒れていたので,一時避難的に港内に入ってきたのだと思われる。

091231e_0478 091231e_0479 091231e_0512  餌となる小魚が港の岸壁近くにいたのか,岸壁からさほど離れることなく,右左に行ったり来たりして潜水を繰り返しており,慣れてくると,潜った後,次にどの辺りに浮かんでくるか予測できるようになってきた。
 予測した場所に車を動かして待っていると,目の前にポカンと浮いてきてくれた。

 こちらの方をさほど気にした様子はなく,警戒心というものが感じられなかった。

091231e_0530 091231e_0535 091231e_0538  このように無邪気に慣れっこいのは幼鳥・若鳥であることが多いが,この個体がそうであるかどうかはわからない。
 高山にいて人と接する機会が少ない鳥が人をあまり恐れないのと同様,普段外洋にいる鳥も人を恐れないのかもしれない。

 このように近くで観察できたので,もう少し詳しく見てみよう。

 まず顔から。

091231e_0874_up 091231e_0769 091231e_0512_up  嘴は黒く,このシルエットが描く曲線はとても美しい。嘴太(はしぶと)という名前はウミガラスと比較して太いのであって,単独で見たときに,太い,とはそれほど感じない。
 下嘴の真ん中部分がふくらんでいるが,ウミガラスではこの膨らみがもう少し体よりになっているようだ。

 ウミガラスとの識別で一番わかりやすいのが,上嘴にある白っぽい線だろう。この線が確認できれば航路鳥見で遠くっても識別できる。

091231e_0781 091231e_1155_01091231e_0980  写真を拡大して見ると,この白っぽい線は,鼻孔の下から始まり,嘴の付け根(口角)付近までつながっているのがわかる。嘴を閉じていると口角がどこかわかりづらいが,口を開けている写真を見ると,嘴と白線の関係が良くわかる。
 「白線」と言っても,拡大写真を見て胸の白と比較すると,少し肉色がかった白のようだ。

 ただし,嘴の白線がほとんど見えない個体もあるようなので,この線がないからウミガラスだ,とも言い切れないので注意が必要だ。

091231e_0967091231e_0988091231e_0843  よく見ると,目の後方には淡く白っぽい線が1本入っており,頬から嘴の下にかけて黒い色が淡くなっている。
 顔の下半分が淡い色になるのは冬羽の特徴で,夏羽では真っ黒になる。この部分の色は個体差が大きいようだ。
 図鑑では目の後方の線を「黒線」と表現しているが,この個体を見ると,黒くなく,淡い線だ。毛のない細い溝があるような感じだ。

 今度は,胸から喉にかけて食い込んでいる白色部に着目してみよう。

091231e_0963 091231e_1145 091231e_0479_up  ウミガラスではこのように三角型に食い込んでいないので,夏羽であれば,嘴の白線と共にこの部分が有力な識別ポイントとなる。慣れっこい個体で,こちら向きに泳いでくることもあったので,この部分の撮影チャンスは山ほどあった。
 お腹から胸にかけての白は,「純白」と言っても言いようなきれいな白だ。

 体全体を見ると,嘴の白線以外に,もう1か所,上面に白い色が見える。
 体後方にある白い線だ。

091231e_0863091231e_0512_up2 091231e_0998  これはウミガラスも共通で,翼の次列風切と三列風切の後端が白いので,翼をたたんだとき,黒い体に,その部分が白く目立って見える。
 ハシブトウミガラスは,飛んだり,羽ばたいたり,羽づくろいするとき以外に,潜る時も翼を広げてくれるので,そのときに,翼の後端が白くなっているのが撮影できた。

 翼の表は全体に黒く,次列と三列の後縁が白いのがわかったが,翼の裏はこうなっている。

091231e_0663 091231e_1149091231e_0535_2  表が黒いから裏も黒いのかというと,あにはからんや,翼裏の中央部分(下雨覆)が白くなっている。前端が黒く,後ろ部分(風切部分)も黒いが,その間が白かった。ぶれていて,また光の具合も悪くてわかりにくいが,真ん中の写真では,表の模様に応じて,次列風切の先端も白くなっているようだ。
 右端の写真では,通常見づらい羽の付け根の部分を確認することができる。

 この翼は,空を飛ぶ以外に「水中を飛ぶ」のにも使われている。

091231e_0999 091231e_1000 091231e_1003  潜るときに翼を広げるのがその証拠だ。
 大きく翼を広げて潜るので,真ん中の写真では,潜った後の水面が翼の形でくぼんでいるのがわかる。
 右端の写真では,水面下で大きく翼を広げている様子も見える。水中に入ってからすぐに,翼の推進力で,グイっ,と力強く潜っていくのだろう。

091231e_0812 091231e_0997_up 091231e_0413_2  ウやカイツブリ,潜水ガモ(コオリガモを覗く?)の仲間は,水中では翼をたたんで,足をヒレ代わりに使って行動するが,ウミスズメやウミガラスの仲間は翼がヒレとなるのだろう。こうして写真で見ると,質感も,形も,水中で使うのに特化したヒレそのものだ。
 ペンギンが水中を飛ぶように泳いている姿が放映されることがあるが,この翼を使って,まさに水中を飛んでいるのだろう。

 ウミガラスの仲間は,「空を飛べるペンギン」と言っても良いかもしれない。

 最後に足を確認して,観察メモをしめよう。

091231e_0578_2 091231e_0630_2 091231e_0862 091231e_0956_up_02  このハシブトウミガラスが泳いでいるのを観察しているとき,足が後ろに見えることがあるのに気が付いた。ガンやカモ,ハクチョウなどは,同じ水鳥であっても,こういうことはない。ずいぶん体の後ろに付いている。陸上でペンギンのような立ち姿勢になるのはこのせいだ。

 ハシブトウミガラスはたぶん繁殖期以外は海上で生活しているので,足も泳ぎに特化しているのだろう。

【観察できた鳥】

ハシブトウミガラス

【写真】

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