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2010/01/12

象潟-仁賀保 2009/12/29

10:00 曇り

 秋田に帰省する途中での寄り道鳥見。ここ数年の恒例になった。
 仙台から月山道路を経由して酒田まで行き,酒田から日本海沿岸を北上するルートだ。途中,象潟や仁賀保を通る。

091229c_0002 091229c_0005  年末の疲れがたまっていて早起きはできないだろうと思い,酒田で昼食をとるイメージでいたが,朝早く目が覚めてしまい,酒田で朝食となってしまった。酒田港の「さかた海鮮市場」の2階にある「海鮮どんや とびしま」だ。
 昼食であれば刺身てんこ盛りの舟盛膳(1,050円)狙いだったが,朝食は朝めし定食(525円)だ。食べるのがやや面倒くさいが,どんがら汁(ざっぱ汁)が最高にうまい。

091229c_0006 091229c_0014  ここは飛島行きフェリーの発着場にもなっているが,年末近い29日であるにも関わらず荒天のため欠航となっていた。予報では悪くなっていく一方なので,年末年始は船が出ないことになるだろう。よくあることなのだろうが,年末年始,飛島に帰省しようとしても行けないし,新聞や年賀状も届けられない。毎年春にはお邪魔して楽しませてもらっている島だが,生活するのは大変だ。

091229e_0015 091229e_0009 091229c_0011  朝食をとった後,酒田港をさらっとひと回りしたが,特に何もいない。マガモが多いのが目に付いた程度だった。カモメ類も少なかった。年末の29日というのに,海辺にはこの日も工事車両が出入りしていた。
 右端の光景はハタハタ釣りの光景だ。もうそろそろシーズンも終わりだろう。ガラ掛けの人がほとんどのようだったが,秋田ではもうこの釣り方は禁止されている。山形でも今年限りだ。

091229c_0015 091229c_0017  象潟漁港に着いたのは10時頃だった。
 この季節,ここから北はカモメ類の数が半端じゃない。オオセグロカモメとウミネコを中心に無数とも思えるほどのカモメ類がいる。今はハタハタで海があふれている状況だが,ハタハタシーズン終了後も,幅広い豊かな海産資源がカモメ類の生活を支えているのだろう。

 まずは漁港内のカモメ類を観察してみよう。

 一番多かったのはやはりオオセグロカモメだった。

091229c_0023 091229e_0644  以前は,大人になりきっていないオオセグロカモメは,茶色っぽく,うす汚れているように感じ,レンズを向けることは全くなかった。成鳥でさえ,春が近くなって,頭が真っ白にならないとレンズを向ける気にはならなかった。
 頭が真っ白になっていない成鳥やそれ以下の若鳥にも目を向けるようになったのはごく最近のことだ。

 今回は,銚子に行ってカモメ類が面白くなってきた直後なので,若鳥にもうんと興味があった。

00_091229e_0130 091229e_0642  見た感じ一番多いのが,この夏に生まれたばかりの第1回冬羽だった。
 この夏に生まれ,巣立った姿が幼羽,それが季節が進んで第1回冬羽(以下「1w」という。= 1st winter)となる。どちらも茶色っぽくごちゃごちゃしている体色なので,あまり気にしたことがなかったが,夏 - 秋 - 冬 と季節が進むにつれ,羽が摩耗し模様がぼんやりしてくるようだ。
 ここに張った左端の個体は,まだ幼羽が残っているが,ピントがぼけたように肩羽の辺りがぼんやりしてきている。

 オオセグロカモメ1wではいろんなタイプの個体がおり,1羽として同じ体色のものがいないのではないかと思われるほどバリエーションに富んでいた。

01_091229e_020301_091229e_022101_091229e_0881_2  オオセグロカモメ1wは,コントラストがはっきりしていないのと,後ろに突き出した初列風切の羽縁が淡い,というのが共通の特徴で,ここをチェックすればセグロカモメと区別することができる。
 シロカモメ1wは全身が白っぽく嘴の半分以上がピンクなので,これも明確に区別できる。ただ,ワシカモメは体色が似た個体もあるので私にはまだむずかしい。

01_091229e_0656 01_091229e_0676  これらの個体は驚くほど白い個体だが,これもオオセグロカモメ1wで,上に張った個体と同じだ。羽が擦れてこんなに白くなったのだと思われる。季節が進み,第1回夏羽(1s)になると全身が白くなるようだが,まだ12月のこの時期でもこのような個体が見られた。
 嘴を見ればシロカモメ1wと区別できるが,初列もまだ濃い色だったので,ここを見ても区別できる。ただ,1sになると初列も先端まで白くなるようなので注意が必要だ。

 1wの次の多かったのが成鳥だった。

05_091229e_0170 05_091229e_0328  成鳥になれば,他の種と見誤ることはない。
 頭の班の濃い薄いがあったり,顔付きが異なったり,と個性は見られるものの,大型カモメでこれだけ背の色が濃いのは,このオオセグロカモメだけだ。
 宮城県の鳥の海で見かけることがあるホイグリンカモメも背の色が濃いが,足の色が黄色っぽいので区別できる。

02_091229e_0846 03_091229e_0307  成鳥は大人になった個体すべてなので,多くて当たり前だが,第1回冬羽(1w)と比べると,第2回冬羽(2w)~第4回冬羽(4w)は劇的に少なかった。大型カモメは4~5年程度で成鳥になるようだが,生まれてから年々淘汰され,少なくなっていくのが目に見えてわかる。

 オオセグロカモメは食物連鎖の上の方にいる鳥で,傍(はた)から見ると憎ったらしい行動も見せるが,生き延びていくことがこれだけ厳しいということだ。

 これまで漫然と見ていたカモメ風景だが,こうしたことを考えると見え方が異なってくる。

02_091229e_0163 02_091229e_0884 04_091229e_0147  区別が微妙だが,左から2w,3w,4wと思われる個体だ。
 1wでは背中に全く灰色の部分がないが,2wになると肩羽に灰色が見られるようになり,3wになるとさらに雨覆や三列風切にも灰色が見られるようになる。
 4wは成鳥とほぼ同じであるが,嘴に黒い斑が残っている。
 ちなみにこの個体はオオセグロカモメのくせして虹彩が暗色でめんこく見える。

05_091229e_0789 05_091229e_0174 03_091229e_0500  後でも出てくるが,象潟漁港内で観察したオオセグロカモメの翼のパターンもここに張って残しておく。
 成鳥は上面の色が濃いので,翼の先が黒くなっているものの,明暗の差があまりなく,一様に黒っぽく見える。右端の個体は3wだろうか。ほとんど成鳥と同じだが,幾分褐色が混ざっており,尾にわずかに黒っぽい色が残っている。

 ほとんど見向きもしなかったオオセグロカモメだが,こうして観察してみるとなかなか面白い。個性豊かなカモメなので,年齢ごとにいろんなパターンを集めても面白いかもしれない。
 鳥見に飽きることなし,だ。

 オオセグロカモメのほかにも,ウミネコとセグロカモメ,ワシカモメも見られた。

091229e_0867 091229e_0140 091229e_0894  ウミネコはいても撮影対象にしてこなかった鳥なのだが,この日は意識して何枚か撮影してみた。左端が1wで,他2枚が成鳥だ。右端のように頭が真っ白になっている個体もあった。
 2w,3wがうたのには気がつかなかった。個体数が少なかったせいだろうか。
 ちなみに,ウミネコは4年で成鳥になるようなので,4wイコール成鳥冬羽だ。

 セグロカモメは,成鳥が少数混ざっていた。

05_091229e_0336 05_091229e_0319 091229e_0345  オオセグロカモメを見慣れた目で見ると,背の色が格段に淡く,きれいな色に見える。瞳孔が暗色の個体は,顔付きもめんこい。
 右端の写真はウミネコとオオセグロカモメの群れに混じっていたセグロカモメだ。写真ではわかりづらいが,実際には写真以上に背の色が異なり,目立って見えた。

02_091229e_0540 02_091229e_0504  この個体も,初列風切の羽縁の淡さが目立たず,セグロカモメと思われる。
 しかし,右側の写真でセグロカモメの後ろにいる個体は何なのだろう。現場でもスコープで観察していたが,よくわからなかった。セグロカモメより明らかに小さい。

 ワシカモメは成鳥が少なくても2羽は入っていた。

05_091229e_0596 091229e_0357  ワシカモメは換羽が早く,1~2月には頭が真っ白になってしまうので,この時期のもやっとした班がある頭を見るとうれしくなってくる。以前は白くないと嫌だった頭も,今は白くない方がありがたく思えるようになった。
 斑が明瞭なオオセグロカモメやセグロカモメと異なり,薄墨を流したような色の頭だ。

05_091229e_0587 05_091229e_0569 ワシカモメ成鳥は,背中の色が淡く,後ろに突き出した初列風切が背中の色とほとんど同じかわずかに濃いだけなので,他の種との識別に困ることはない。
 なので,逆に,ここしか見ないで識別していた傾向にあったので,「ワシ」の由来となった太い嘴をこれまで満足に見ていなかった。

05_091229e_0596_up04_091229e_0864_up   銚子ではこれで失敗したので,嘴もしっかり見ておこう。
 嘴が太いのが特徴なのだが,「太い」というより,「下嘴の下のラインが三角」という方がわかりやすいと思う。オオセグロカモメもわずかに尖っているが,ワシカモメほどではない。嘴の形態は幼羽のときから変わらずにあるようなので,しっかり覚えておこう。
 比較対照用にオオセグロカモメの写真も右側に張っておく。

05_091229e_0598 05_091229e_0611 05_091229e_0620  後ろに突き出した初列の色が背の色とほぼ同じということは,翼を広げたとき,背から翼の先までほぼ一様の色になっている,ということだ。
 今回運良く撮影できたので,ここに張って保存しておくこととする。
 翼先端がわずかに濃いものの,背中から翼の先端まで一様に淡い灰色なのがよくわかる。翼先端が黒っぽくないカモメは少数派なので,とても嬉しい。

 象潟漁港の内側や外側には,ヒドリガモやマガモ,ウミアイサ,シノリガモ,ヒメウなども観察できた。

 中でも,シノリガモとは,またもやじっくり遊ばせてもらった。

091229e_0067 091229e_0069 091229e_0086  仙台市近辺では近くから見られないカモだが,ここらではそこら中にいて,至近距離で観察できる。港の中にも外にもおり,ときには足元を通過して行ったりしてくれた。カモはカモだし,何度も撮影しているのだが,出会うたびにレンズを向けてしまう。
 海や岩,波を体に写し取ったような独特の体の色と模様だ。何度見ても良い。

091229e_0765 091229e_0435 091229e_0720 091229e_0110  この日は曇ってやや薄暗かったので,体の白い班がとても目立って見えた。
 白い部分は♂の体のあちらこちらにあるが,地味な♀にも白い班がある。写真を見て気付いたのだが,♀が海面に顔を浸けて餌を探しているとき,この斑が目のように見える。無防備な状態をなんぼかでも緩和できる模様なのかもしれない。
 オスには眉毛まである。

091229e_0280 091229e_0275 091229e_0277 091229e_0301  行動面で面白いのは,♂の群れが1羽の♀を追いかける場面だ。
 ♀が1羽で泳いでいる後ろに♂がつら~っと並んで付いて行き,ときに♀に向かって突進する。♂同士競い合って1羽の♀を射止めようとしているかのようだ。
 ♂の数からして,竹内まりやの「けんかをやめて」どころではない。

 ♪ けんかをやめて 二人をとめて ♪
 ♪ 私のために争わないで もうこれ以上 …♪

 この♀,思わせぶりな態度で,♂たちの心をもてあそんで楽しんでいたのだろうか。

 漁港だけでずいぶん遊んでしまい,気が付くとお昼になってしまっていた。

 冬は1日が短い。ここだけで終わってはもったいないので,漁港北側の海水浴場に移動することとした。

091229c_0027 091229c_0033  ここはカモメ類がたくさん入るところだが,北西の季節風がまともに当たるので,これまでここでじっくりと観察したことがない。少し顔を出しても寒風に負けて引き返すのが通例だった。
 この日は風があまりなかったため,初めてのここでのカモメ観察となった。
 ここには,オオセグロカモメ,ウミネコのほか,漁港よりもセグロカモメ,ワシカモメの個体数が多く,カモメとシロカモメも観察できた。 

 ここも種類ごとに記していこう。

 まずはオオセグロカモメから。

01_091229e_1198 01_091229e_1202  漁港内にも白いオオセグロカモメがいたが,ここにはさらに白い個体がいた。頭から胸にかけてかなり白っぽいのに加え,後ろに突き出た初列風切まで白っぽい。
 嘴にピンク色がないし体色が異なるのでシロカモメではないし,嘴の形が異なるのでワシカモメでもない。かなり褪色が進んだオオセグロカモメ1wだろう。
 識別の勉強になる個体だ。

 日本海側の荒れた海と強風がこんなにも羽を擦れさせたのだろうか。

01_091229e_1352 02_091229e_0972  左側の個体は上に張った個体と同じように白い個体だが,後ろに突き出した初列風切が黒っぽい。「僕はオオセグロカモメだよ!」という感じで白っぽい線が入っているのが嬉しい。1wだろう。
 右側の個体は全体が白黒まだらに見え,群れの中で目立っていた個体だ。肩羽に灰色が入ってきているので,2wと思われる。

 翼のパターンの写真もここに張って記録しておこう。

091229e_1235 091229e_1241 091229e_1264  上面は背から翼にかけて一様に濃い灰色だが,翼先端だけ黒い。色が濃いので翼後端の白いラインがくっきり目立って美しい。翼の裏は基調の白に翼先端にかけて濃い灰色が入る。
 右端の個体はのどが膨らんでいるが,たぶんブリコでも飲み込んだのだろう。

 セグロカモメは漁港より多いものの,やっぱりぽつんぽつんと混ざっている程度だった。

05_091229e_1018 091229e_0900 091229e_0937  多くのカモメ類に混ざっていても,上面の淡い灰色で成鳥や4wはすぐにわかる。
 そして,2wの若鳥も見られた。肩羽に出てきた灰色が成鳥同様の淡い色だ。
 2w以上の個体がこれだけいたということは,たぶん幼羽の個体もいたのだとは思う。この日現場では特に探しもしなかったが,今度行ったときは意識して探してみなければならない。

05_091229e_122504_091229e_0982091229e_1362 この写真は,左から,成鳥,4w,2wだ。
 真ん中の4wは羽づくろいをしているところだ。嘴に黒い色が残っているほか,よく見ると尾羽にも黒い色が残っているのがわかる。この個体は虹彩が黄色いタイプで,あんまりめんこくない。
 右端の3wの個体は姿勢のせいもあるのだろうが,ずいぶんとほっそりして見える。また嘴がまだ1wのように黒い。いろんなのがいるもんだ。

 セグロカモメも翼のパターンを記録しておこう。

091229e_0963 091229e_0965 091229e_0965_up  これは,何だか変なものをくわえて,ふわっと前方に移動したときに撮影した写真だ。うまい具合に翼上面のパターンを撮影できた。
 全体に淡い灰色で,オオセグロカモメに比べると翼の先端の黒がよく目立つ。拡大して見ると,初列風切の1枚1枚に灰色と黒と白の模様が入っているのがわかる。いつか手にとって見たいものだ。

091229e_1031 091229e_1032 091229e_1034  オオセグロカモメと同じフレームに入れて撮影できたものもある。これを見ればオオセグロカモメとの差異がよくわかる。翼上面の色の濃さが全然違うし,翼先端の黒とのコントラストも全く異なっている。
 左端の写真では翼先端の黒のパターンが表も裏も写っているが,見比べると12/13に撮影したカナダカモメと異なっているのがわかる。

 カモメはもう少し北の平沢漁港にたくさんいるはずだが,ここでは少数だった。

 もっと撮影したような気がしていたが,撮影していたのはこの1羽だけだった。

091229e_1000 091229e_1014 091229e_1023 091229e_1010  嘴に黒い部分が残っており,後ろに突き出した初列の白斑が小さいので,3wだと思われる。
 カモメは背の色がセグロカモメ並の個体が多いと思うが,この個体はずいぶん濃い目だ。セグロカモメやオオセグロカモメ,ウミネコと比較できる写真もあったが,やや薄いもののウミネコとほぼ同じ濃さにも見える。
 天気のせいでこう見えたのか。

 ワシカモメは少なくとも10羽程度は入っていたと思う。
 海水浴場の北側に多かったが,南側でも観察できた。

02_091229e_0917 02_091229e_0932  これはワシカモメ3wと思われる個体だ。
 肩羽にセグロカモメのように淡い色が入ってきているが,嘴の形がワシカモメ特有のものだ。後ろに突き出た初列はオオセグロカモメでもこういうタイプがあることがわかったが,セグロカモメではこのように薄い色のタイプはいないようだ。

05_091229e_1321 05_091229e_1310 05_091229e_1185  このワシカモメ成鳥は(たぶん)すべて違う個体だ。
 体上面がセグロカモメ同様に淡い灰色だが,突き出した初列まで同じように淡い色なのが嬉しい。体はごつい感じだが,きれいなカモメだと思う。
 きれいなカモメなので,見つけた嬉しさはセグロカモメと同じレベルだ。

 これはワシカモメ成鳥が鳴いているところだ。

05_091229e_1121 05_091229e_1123 05_091229e_1140  下向きの姿勢から鳴き始めるのはオオセグロカモメなどと同様だったが,今回は,何度鳴いても上を仰ぐまでには至らず,首を前に伸ばす姿勢にとどまっていた。上を向いての絶頂の叫びを期待していたので,見ている方がやや欲求不満になってしまった。
 たまたまなのか,ワシカモメの共通の性質なのかはわからない。

 シロカモメはこの1個体だけだった。

02_091229e_1103 02_091229e_1087 02_091229e_1093  シロカモメ1wは宮城県内でも結構よく目にするし,春が近くなってくると成鳥も目にすることがあるが,意外に2wはあまり見ていないかもしれない。薄汚れたような白っぽい体に,ごく淡い水色がかった灰色が入ってきている。
 体が白っぽい大型カモメで,嘴が先を除いてピンクだ,というのはシロカモメだけなので,直感的にそれとわかる。

091229c_0058 091229e_1020 091229c_0043  個々のカモメを記録してきたが,ここはカモメ類が大量に入っていたので,素晴らしいカモメ風景も堪能することができた。ガンやミズナギドリなどもそうだが,大きな群れになるとなぜか心を動かされてしまう。
 写真で感動を伝えるのはむずかしいが,そのとっかかりにはなるだろう。

091229c_0046091229e_1211 091229e_1218  海水浴場の北側防波堤の外には,ブリコ(ハタハタが産んだ卵塊)が大量に打ち上げられていた。写真で見える褐色のものがそうだ。
 カモメ類がブリコを飲み込むのはよく目にするが,ここではオナガガモが食べているのも観察することができた。

 ハタハタは元々深海魚なのだが,11月以降,産卵のため大量に海岸にやってきて,親子共々多くの生き物の命を支えている。一時,漁獲量がかなり落ち込んだが,3年間の禁漁などの資源保護施策が実り,数年前から戻ってきたところだ。

 秋田県人にとっては思い入れのある魚で,今も漁獲枠が設けられるなど大切に保護されている。

091229c_0039 ハタハタの卵のブリコは人が食べてもおいしいものだが,資源保護のため,ブリコ拾いは禁止されている。いずれ産みつけられ卵塊となったブリコは殻が固いので,子持ちのメスのお腹から取り出したものが良い。これを集めて洗って,ネギ・みそ・酢・大根おろしであえて食べるとおいしい。私の子どもの頃のおやつだった。
 親のハタハタは焼いても煮てもうまいが,寿し(いずし)も最高にうまい。ハタハタが獲れる地元ではたいてい自分の家で漬けていると思う。

 象潟だけでずいぶん時間を使ってしまい,早く移動しないと,大きなカモメポイントである平沢港に着く前に日が暮れてしまう。

091229c_0063 091229e_1381 091229c_0075  平沢港に行く途中の金浦漁港も良いのだが,この日は近くに観察できるカモメがなく,また,港内に何も入っていなかったので通過する。
 遠くの防波堤に数え切れないほどのカモメ類が並んでいた。次に来たときに期待しよう。

 午後になって日が西に傾くと,日本海側では海に向かって逆光になってしまう場所が多いが,平沢港は北を向いているので,午後になっても大丈夫だ。

091229c_0078 091229c_0084 091229c_0085  まず最初は集落にあるバス停脇のスペースに車を止め,防波堤沿いを西に向かって歩く。この間の海域は,ウミアイサやシノリガモがいるほか,運が良ければアビやウミガラスの仲間も観察できる。
 また,どん詰まりの小さな漁港では,カモメ類が羽を休めているほか,シノリガモも港内にいる。

091229e_1429 091229c_0079 091229e_1510  しかし,この日はウミアイサのペアが目に付いた程度で,海鳥の仲間を見つけることは出来ず。シノリガモも少ない。何もいなかったので,漁港にはすぐに到着してしまった。時間がない中なので,残念だけれど,ホッとした感じ。

 漁港にはウミネコがほとんどで,これにカモメとオオセグロカモメが混ざっていた。

 まず,ウミネコだ。

091229e_1497 091229e_1473  ウミネコの群れを見ていたら,中に面白い個体が混ざっているのを見つけた。左の個体がそうだ。右の個体は比較対照用。
 左の個体はパッと見で足が短いように見える。踵から跗蹠を羽毛が覆っているせいもあるが,それを差っ引いても短いようだ。また,足と嘴の色が黄色くなり切っていないのに,嘴に赤い色が入っており,突き出た初列に白い斑が入っているのも面白い。
 ウミネコでも観察していると個性的なのがいて面白い。

091229e_1455 091229e_1491 091229e_1495  ウミネコ以外のカモメ類でここにいたオオセグロカモメとカモメも撮影しておいた。
 カモメ類ばかり,しかも同じようなのばかり長々と記録してきているが,カモメ成鳥は,この日初登場だ。
 カモメは小さい体と細くて短めの嘴が特徴だ。右端の個体は嘴に黒い色が入っているが,カモメは成鳥でもこのような個体があるようだ。

 注意して見ると,ウミネコの群れに結構な数が入っているようだった。

091229e_1621 091229e_1717 091229e_1779  車に戻って,平沢港の網干場と思われる高台に移動した。
 ここは高い場所ながら波しぶきがかかることがあるので,あまり海側近くに行けない。
 しかし,カモメ類の飛翔姿を撮影するには絶好のポイントだ。ちょうど日が差してきたので,撮影条件もばっちりだった。

 まず,何度も繰り返し出ているオオセグロカモメだ。

091229e_1681 091229e_1683 091229e_1797 091229e_1827  幼鳥や1w,2wは,降りているときに後ろに突き出した初列に淡い羽先縁が見えるので,飛んだときは,翼の先に濃淡のしましまができているはず。
 それを写し出そうと挑戦してみたが,短い滞在時間の間,ちょうど良い高さを飛んだ個体がなく,こんなものだった。
 翼の裏はばっちり撮影できたが,何か役に立つのだろうか。

091229e_1867 091229e_1867_up 091229e_1817 091229e_1815  成鳥の翼のパターンは象潟でも観察していたが,ここでも重ねて張っておこう。
 若鳥もそうだったが,この日は目線より高い所を飛ぶ個体がほとんどで,翼の裏ばかり撮影するはめになってしまった。しかし,セグロカモメなどと翼の裏のパターンが異なるので,記録しておけば後で何かの役に立つだろう。

 確率が低く期待していなかったが,セグロカモメも通過してくれた。

091229e_1873 091229e_1874 091229e_1875  上のオオセグロカモメと比較すると,翼の表も裏も全然違うのがよくわかる。
 背中側はオオセグロカモメより淡い色なので,翼先端の黒がとても目立つ。また,翼の裏側は先だけ黒く,その内側の灰色はとても薄く,白に近い色だ。
 翼先端部の模様はカナガカモメやモンゴルカモメの識別に役に立つようなので,比較対照用に何枚の写真があっても良い。

 次はカモメだ。

091229e_1761 091229e_1758 091229e_1858  この港はカモメがたくさんいるところで,どんどん目の前を飛んでいく。
 しかし,この鳥も,翼上面が写っている写真はほとんどなかった。北アメリカ産の亜種(コカモメ)は翼上面のパターンが微妙に異なっているようなので,比較対照用に翼上面の鮮明な写真がほしいところだった。特に外から3枚目に白い班が入るかどうかが重要らしい。

 以前は,「カッコいい~!」と無邪気に眺めていて,今も根っこはそういう気持ちなのだが,いろんなことを知り始めると,また別の楽しみが生まれてくる。

 最後にウミネコの飛翔写真も張っておこう。

091229e_1821 091229e_1579 091229e_1638  以前撮影した中からウミネコの飛翔写真を参照しようと思ったとき,ウミネコの写真をあまり撮影しておらず,思ったような写真が見つからなかった。だから,こういうときに撮っておかなければならない。
 尾の黒い帯を撮りたかったのだが,偶然オオセグロカモメ1wが背景に来ていて,X型にカッコ良く撮れていた。

 ここでもう時間切れ。

 最後に港内を眺めてお終いにしよう。

091229c_0108 091229e_1947 091229e_1948  港内には水面にも防波堤にもびっしりカモメ類が入っており,ウミネコが一番多く,次にカモメ,その次にオオセグロカモメだった。
 秋田ではユリカモメはほとんど越冬しないので,他の地域でユリカモメが占めているポジションをカモメが占めていると思われる。

091229c_0109 091229e_1964  引き上げるとき,平沢港北側の砂浜もちょこっと覗いてみたが,ここにもカモメ類が多数入っていた。
 いつも数多くのカモメ類が入っている場所だが,冬の寒風が強く,浜まで降りたことがない。この日は風が強くなかったが,もう夕方だし,お昼抜きでカモメ類を見ていたのでお腹もすいた。

 もうこれでお終いにしよう。

 カモメ類は普通種ばかりだったが,改めて観察すると,意外に楽しめた。
 銚子のカモメ観察に向かう前に,地元の普通種ともっと仲良くしておく必要がある。

 一路,秋田の実家へ。

【観察できた鳥】(象潟のみを記録)

ハシブトガラス,オオセグロカモメ,ウミネコ,マガモ,ヒドリガモ,シノリガモ,ハシボソガラス,ウミアイサ,セグロカモメ,オナガガモ,ワシカモメ,トビ,ヒメウ,カモメ,シロカモメ,スズメ (16種)

【写真】

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0204 秋田県/象潟-平沢」カテゴリの記事

コメント

yamameさん、明けましておめでとうございます。
今回の帰省はカモメに力が入っていますね。
前回の銚子での観察も興味深く拝見しました。
秋田由利海岸や男鹿の漁港もカモメウオッチングには最適のポイントだと思っています。
毎シーズン、小生も?のカモメに出会いますが、なかなか奥が深くて簡単にはいきません。
これからも観察記録、参考にさせてください。

投稿: sasaki | 2010/01/12 21:07

sasakiさん,本年もよろしくお願いいたします。

カモメ類は面白いです。
本文にも書きましたが,以前,幼鳥や若鳥はこっ汚い感じがしていましたし,成鳥も冬羽の間は頭が汚れているようで嫌でした。食わず嫌いだったようです。
以前天王にアメリカズグロカモメが出たように,秋田でも何か来ている可能性があると思います。カモメ観察の人口を増やしたいですね。

引き続きご指導をよろしくお願いいたします。

投稿: yamame | 2010/01/12 22:33

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