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2009/12/27

県南沿岸 2009/11/23

10:15 晴れ

 ブログを見ていた妻から,「私もクジラを見たい。」と,ずっと言われ続けていた。仕方なく銚子に連れていくことになったのだが,船が出ないときはカモメウォッチングだけとなる。飽きられてだだこねられては面倒だ。そこで,行く前に,近場でカモメの予習をしてもらうこととした。

 時期が早いので,いるのは,ウミネコ,オオセグロカモメ,ユリカモメの3種程度だろうが,この3種を覚える過程でカモメ類を見るポイントを覚えてくれれれば良い。

 まずは福島県相馬市の松川浦漁港に向かう。

 ここは当たり外れがあるポイントだが,この日は港が活気づいていて,魚のおこぼれを目当てにカモメ類がそこそこ集まっていた。

 まず最初に市場前で目に付いてしまったのが,ハジロカイツブリだった。

091123e_068 091123e_042 091123e_056  ほわほわの羽毛に包まれた2羽が,つるつるの水面に仲良く並んで浮かんでいる。
 赤い目もめんこいが,ふわふわの白い綿のようなお尻が,冬羽のチャームポイントだと思う。羽の間に空気をため込んで温かそうだ。
 後ろから撮影すると,仲良し二人組の小さな子どもが手をつないでいるようなめんこさがある。

091123e_144 091123e_093_up 091123e_126  足元の海面に小さな泡が沢山あって,それを妻が見ていたので,なんだぁ? と思い見てみると,泡のひとつひとつに目があった。目がある泡だった。これにはびっくり。
 種類はわからないが稚魚の群れが水面にいて,目と口だけ出して泳いでいる。一斉に右や左に方向転換し,何かに驚くと一斉に潜る。これは面白い。

 さて,カモメのお勉強だ。

 ここにはオオセグロカモメが多く,ウミネコも集まっていた。

091123e_281 091123e_193091123e_349   この付近で今の時期いる大型カモメは,オオセグロカモメがほとんどなので大きなカモメを見ればオオセグロカモメだと思ってほとんど当たっている。濃いめの背の色とピンクの足が特徴だ。
 また,目の虹彩が黄色い個体が多く,目の周囲に班が集まることから,私にはどうしても悪者顔に見えてしまう。人間で言うと三白眼が強調されている感じだ。

091123e_348091123e_114 091123e_153 幼鳥・若鳥については私も自信がないのだが,幼鳥はセグロカモメに比べると背中の濃淡がはっきりしないことと,後ろに突き出した初列風切羽の羽縁が淡くなって,暗色に白い線がはっきり入っていることがわかりやすい特徴のようだ。
 大型カモメでは,このほかにワシカモメとシロカモメも時期になれば普通にいるが,ワシカモメの初列は幼鳥でも淡い色だし,シロカモメは体全体が白っぽいので,ここを押さえておけば容易に区別が付く。

 他にも大型カモメはいるが,オオセグロ・セグロ・ワシ・シロの4種を押さえておけば,それで良い。他の種類は珍鳥レベルになるし,カモメ観察をしたことがない初心者がそれを見分ける必要もない。

061029_0091 051231_0653  ウミネコは中型カモメで,成鳥は,黄色い嘴の先が赤と黒になっていることと,飛んだときに見える白い尾に黒い帯がくっきり入っていることがわかれば,間違いなし。識別は容易だ。ただし,他のカモメ類も幼鳥では尾に黒い帯が入るので,尾に黒い帯が入っているからウミネコだ,とは言えないので注意が必要だ。

061112a_176 061118a_634 061118_0190  幼鳥・若鳥は,カモメ類を見慣れない初心者にとっては,難易度が増すかもしれないが,成鳥を繰り返し見て,顔付きを覚えていれば間違うことはない。
 あくまで私個人の印象だが,ウミネコは,他のカモメに比べて嘴が長く真っすぐに見える。

 ウミネコはあまりにも普通すぎて,1枚も写真を撮らなかったので,以前撮影した写真を流用させてもらっている。

091123e_3362 091123e_368 091123e_3353  ユリカモメはウミネコよりさらに小さなカモメで,成鳥は,薄い体色と,赤い足と赤い嘴を確認できれば見誤ることはない。ユリカモメのような小さなカモメで,くちばしや足の色が赤くない場合は,とても珍しいカモメになるので,覚える必要はない。
 幼鳥・若鳥は嘴や足の色が黄色っぽいし,体色も異なるが,ウミネコと同様,成鳥をしっかり覚えておけば,色が変わっていても見誤ることはない。

 思いがけなかったが,ここにはセグロカモメ成鳥も1羽いた。

091123e_265 091123e_266 091123e_277  セグロカモメはオオセグロカモメとほぼ同じ大きさだが,ずっと背中の色が薄い。オオセグロカモメを見慣れている目で見ると,えっ? と思うような背の色なので,すぐにそれとわかる。県内ではオオセグロカモメがほとんどで,セグロカモメがとても少ないので,出会うと嬉しくなるカモメのひとつになっている。
 セグロカモメが普通の関東の人たちには,わかってもらえないと思う。

091123e_343 091123e_374 091123e_373 背の色が薄いのはワシカモメもそうだが,ワシカモメは後ろに突き出した初列風切羽が背中とほぼ同じ色なのでセグロカモメとは明確に区別できる。
 また,顔はオオセグロカモメのような悪者顔ではない。黒い目が善良な印象を与えてくれる。ただし,この個体よりもっとめんこい顔の個体も結構いる一方,オオセグロカモメのように虹彩が黄色の個体もいるなど,個体差が大きい。

091123e_398 091123e_398_up 091123e_400_up  セグロカモメに似ている仲間は他にもいるが,今度行く銚子では,カナダカモメが観察できるらしい。まだ見たことがないので,私も予習しておかなくてはいけない。ここでは後で役に立たせるため,比較参照用にセグロカモメの翼の裏の写真を張っておく。
 もちろん同じ個体の翼の裏なのだが,黒い部分が光の具合によって薄い灰色に見えることもある。要注意だ。

091123e_294091123e_297_2 091123e_324_2   このセグロカモメは,何度も繰り返し叫ぶように鳴いていたが,ひとりぼっちでさびしくって,繰り返し,繰り返し,仲間を呼んでいるように聞こえた。カモメの仲間がよくやるように,下を向いて鳴きはじめ,最後には上を向いて鳴き叫ぶ。
 この間,たぶん何も感じていない妻は,市場の中で行われていたという「せり」の様子に夢中だったようだ。

 セグロカモメもそうだったが,カモメもいるとは全く期待していなかった。書いているとややこしいが,「カモメ」という名前のカモメだ。

091123e_440 091123e_446 091123e_457  いたのは成鳥手前の個体と第1回冬羽の2羽だけだった。例年1月には大量に入るカモメだが,この時期にも少数は渡来しているようだ。
 ウミネコよりやや小さいカモメで,成鳥は背の色がウミネコより薄く,レモン色の嘴が細く小さく曲線的だ。顔もウミネコよりめんこく見える。

091123c_009 091123c_010 091123c_008  カモメの勉強は3種だけでも良いと思って来たのだが,思いがけず,ここで5種も勉強できた。他のことに興味を奪われがちだったが,少しは前向きに予習できたようだった。カモメを見るのに慣れるだけでも良いので,これで充分だ。
 なお,右端に張った魚は降海型のウグイで,オオガイとかマルタとかいう魚だ。釣り上げた人に見せてもらったのだが,とても大きいのにびっくりだった。40~50cmはあった。スーパーで売られるのを見たことがないので,たぶんあまりおいしくないのだろう。

 この後,妻と一緒だったので松川浦の食堂で昼食。
 次のポイントは,少し北の釣師浜だ。

091123e_478 091123e_504 091123e_512  漁港の方にはオオセグロカモメなどが入っていたが,特筆するべきような鳥は何も入っていない。漁港北側の砂浜も,カモメ類が全部海に入っており,砂浜にいる個体がひとつもない。砂浜にいればじっくり観察できるポイントだけに残念だった。
 海に浮かんでいたのはほとんどがウミネコで,スコープで探すと,中にはカモメも混ざっていた。ウミネコとカモメは顔付きが全く違うので,顔付きの違いを覚えてほしかった。また,群れから別の種類のカモメを探し出す楽しさある。

 去り際に防波堤の上から遠くの海を見ると,クロガモやシノリガモも観察できた。

 さらに北上し,宮城県山元町の磯浜漁港に向かう。

091123e_535 091123e_578 091123e_557  ここで出迎えてくれたのはイソヒヨドリのまろやかなさえずりだった。小春日和に誘われて歌いたくなったようだ。♀と♂が1羽ずついたが,♀も♂と同様に,競い合うように美しい声でさえずっていた。
 車の中から撮影していると,すぐ近くまで寄って来てくれ,姿もそうだが,声も至近距離から楽しむことができた。

091123e_625 091123e_616 091123e_617  漁港南側に移動すると,この海域には例年どおりクロガモの群れが入っていた。♀は地味だが,♂は黒い体にオレンジ色の嘴が美しいカモだ。♂の嘴は,青い海上にミカンを散らしたかのようだ。
 やや遠めではあったが,木枯らしが吹くような悲しげな鳴き声も聞こえてきた。

091123e_599 091123e_656 091123e_675  もうクロガモの群れが入るような季節になったにも関わらず,足元にはチョウやトンボも観察できた。左端はヒメアカタテハで秋以降の海岸ではよく見かけるチョウだ。毎年,南で生まれた個体群が北上してきているのだろうか。右側2枚はモンキチョウ。春のイメージが強いチョウだが,実はこんな秋深い時期でもまだ観察できる。

091123c_035 091123e_638  このトンボは胸の模様からアキアカネだと思われる。夏の暑い時期は避暑のため高山にいて,涼しくなった秋に人里に下りてくるのでこの名前がついたようだ。秋が深まった寒い朝などは,路上で死んだように動かない個体を見かけるが,温めると動き出す。
 暑い日が苦手なトンボのようだが,秋が深まり,見られなくなってしまう日も近いだろう。

091123e_686  次に寄った鳥の海では,ちょうど到着したばかりなのか,群れになったカンムリカイツブリを観察できた。ここでは盛期になると,分散してあちらこちらに浮いている光景を見ることができる。
 カモメ類も探したが,近くから観察できる群れが見つけられない。河口側の方の防波堤には沢山見えたが,逆光がひどく観察できるような状態ではなかった。

 そろそろ時間が迫ってきたので,蒲生に寄ってお終いにすることとした。

 ぎりぎり間に合ったが,蒲生干潟に着いた時点で,かなり陽が傾いていた。

091123e_722_  ここではユリカモメを観察できれば御の字だと思っていたが,日和山の下に出てすぐ前を覗きこんだら,ユリカモメに混ざって,嘴が黒くて,足の赤がより黒っぽいカモメがいた。おい,おい,ズグロカモメじゃないの~。
 カモメのお勉強に来て,まさかズグロカモメまで観察できるとは思ってもいなかった。

091123e_741 091123e_759  ズグロカモメは干潟に依存しているカモメで,干潟の上を巡回するようにゆっくり飛び,ひらりと降りては,大好きなカニを食べる。そういう行動パターンを持っているカモメだ。
 このときは日暮れが近く,ただじっとしているだけだったが,日中の活動時間に観察すると見ていて飽きないカモメだ。

091123e_714  また,冬羽ではこのとおり頭が白いが,夏羽になると,名前の「頭黒」(ずぐろ)のとおり,頭が黒くなる。ユリカモメより1~2か月は黒くなる時期が早いので,3月頃までいてくれれば,白い頭のユリカモメの群れの中で,ズグロカモメの黒い頭が目立つようになる。
 顔付きは,黒く短い嘴がユリカモメとはまったく異なる印象を与え,目の前を半円に囲むような班が,眠たそうな表情に見えさせている。

091123e_776 091123e_794  数が少ないカモメで,以前から希少種と言われているが,九州北部には群れが定期的に飛来しており,東京の葛西臨海公園や千葉の三番瀬でも観察できる確率が高い。ここ蒲生でも連続して飛来したことがあり,数年前は越冬し,頭が黒くなってもしばらくいてくれたことがある。
 そういう意味では,見ようとしても見れない鳥では決してない。

091123e_795 091123e_824 091123e_834  ところで,ズグロカモメの総数は5,000羽程度だ,と何年も言われ続けているが,数の変動はないのだろうか。10年も20年も同じ数なのか。今,ちょこっとネット検索しただけでも,「7,000~9,000羽」とか,「8,000羽前後」とか別の数字が出てきた。
 今の総数は,本当のところ,どのくらいなのだろう。

 ズグロカモメは,見始めて間もなく,陽が傾き周囲が暗くなるとともに,休んでいた干潟に潮が上がってきて,飛び去ってしまった。

091123e_840 091123e_843 091123e_846  カモメの予習にしては充分過ぎるほどの成果があった。さぁ帰ろう,としたとき,妻がカワセミを見つけた。声は良く聞くが,姿を見るのは久しぶりだ。雰囲気が良かったので,プラス補正しないでそのまま撮影してみた。
 夕暮れのなか,タイミング良く水に飛び込んでくれた。

 さらに引き留められたのはこの魚だった。

091123c_049 091123c_055 091123c_056  上流の小学校で稚魚の放流をしていたようで,その成果なのかもしれない。大きな体を横にして,今にも死にそうな状態だった。手を伸ばせば捕れそうだったが,県の規則でサケの捕獲が禁止されており,捕れば6月以下の懲役か10万円以下の罰金となる。こういうことで新聞には載りたくない。
 このサケは,翌朝,ミサゴかカラスの朝食となったかもしれない。

 これでこの日はお終い。途中娘を拾って家路に着いた。
 久しぶりのお出かけで,妻もご機嫌だった。

【観察できたカモメ】

オオセグロカモメ,ウミネコ,セグロカモメ,ユリカモメ,カモメ,ズグロカモメ (6種)

【写真】

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