« 苫小牧‐仙台航路 2009/06/10 | トップページ | お詫び »

2009/07/05

室蘭沖 2009/06/09

10:30 快晴

 室蘭港からイルカ・鯨ウォチング船に乗った。イルカも見たかったが,この時期は,海鳥も期待できるに違いない。

  090609c_0144 090609c_0145  乗ったのはエンルムマリーナにあるK.Kエルムのイルカ・鯨ウォッチング船だ。好天で,かつ,5人以上の乗船があって初めて運航するので,行っても乗れないこともあるかもしれない。午前の運航が10:30~13:00で,午後の運航が14:30~17:00だ。料金は大人1人あたり6000円となっている。イルカのハイシーズンは7月らしい。

 今回の北海道行で晴れたのはこの日だけだったので,予定が3日ずれ,この日にようやく乗れた。もう仙台に帰る日となっていたので,乗ったのは10:30に出港する船だった。

090609c_0143 090609c_0146  出航1時間前に乗船手続きをし,ゆっくりと準備。
 苫小牧航路を運航する船とは比較にならないくらい小さい船なので,当然三脚など使えないし,撮影は手持ちになる。このために,なかば引退していた100~400mmのズームレンズを持ってきていた。このレンズはコンパクトで軽いので,手持ち撮影も楽チンだ。ずいぶんとお世話になったレンズで,機動性や使い勝手の面でCanonの名品だと思う。

 準備している間,駐車場近くの藪ではエゾセンニュウが盛んに鳴いていた。

090609c_0149 090609c_0158 090609c_0172  船は定刻どおりに出港。
 室蘭の測量山や白い崖面,地球岬などを左手に見ながら,沖合へと進む。この周辺は鷹の渡りのウォッチングポイントにもなっているようなので,9月以降に訪れることを想像しながら景色を眺める。ここ数年は毎年龍飛に行っているが,こちら側も面白いかもしれない。測量山よりマスイチ浜の方が良い,と聞いた。

 イルカはなかなか出なかったが,沖合に行くとミズナギドリはまもなく出てきてくれた。
 期待どおり。

090609e_0122 090609e_0132 090609e_0150  しかし,イルカ・鯨を見るための船なので,鳥の群れごときでは停船してくれない。
 速度を出して走る船の上からでは,上下左右の揺れが大きく,双眼鏡は役に立たない。カメラを構えても,鳥をフレームに入れるのだけで精一杯だ。快晴でシャッタースピードを稼げたので何とか撮影できたが,曇り空だったらアウトだったかもしれない。

090609e_0292 090609e_0305 090609e_0330  ハシボソミズナギドリたちは,数十羽の群れになって,分散して浮いていた。
 船が勢いよく進んでいくので,子どもが浜辺のカモメの群れを追い散らすように,船がミズナギドリたちを追い散らしていく。そ~っと近寄って至近距離から見せてほしい,との思いが募るが,鳥目的の船ではないので,わがままは言えない。

090609e_0340 090609e_0332090609e_0337 とは言え,ミズナギドリたちの姿を近くから見る機会はなかなかない。大きな船では遠くにしか見えないが,このクラスの船だと,ほぼ目線の高さで,近いところから見ることができる。しかも,1羽,2羽ではない。数十羽の群れだ。次々と水面を助走し飛び立っていく姿は,迫力がある。

090609e_0165 090609e_0174090609e_0177_2  ハシボソミズナギドリは,数百,数千,もしかすると数万の群れで北上していくので,そんな光景も夢見てはいたが,それは叶わず。そんな大きな群れをこの近さから見ることができれば最高だと思う。元々は知床羅臼の海鳥ウォッチング船に乗りたかったのだが,準備不足のため断念。代替の室蘭だったので,これで満足するべきだろう。

090609e_0597 090609e_0598 090609e_0605_01  ところで,恥ずかしながら私はハシボソミズナギドリとハイイロミズナギドリの区別ができない。ハイイロ~の方は,おでこのでっぱりがなく,くちばしが太くて長く鉛色。翼の下面が銀白色に光り,軸斑が明瞭だという。おでこのでっぱりと細くて短いくちばしが際立って見え個体はハシボソ~と確信できるが,おでこがなだらかでくちばしが長く見えると,とたんに自信がなくなる。きっと,もっと経験が必要なのだろう。

 実は,ハシボソカラスとハシブトガラスの識別も,いまだに悩むことがある。声も姿も両方で,だ。あまり物事を深く追究しない性質(たち)なのが悪いのだとは思う。だから,いつまで経っても成長しない。

 コアホウドリは突然やってきた。

090609e_0621 090609e_0633 090609e_0640  まず,2時方向に1羽の白い鳥が飛んでくるのが見えた。
 遠くだったが,特徴のある鳥なので,すぐにコアホウドリとわかる。さっそくレンズを向けたが,ファインダーの中でどんどん大きくなってくる。カメラから目を離すと,すでに目の前に来ている。近すぎ。これだけ近いと船の揺れでフレーム内に収めるのも大変だ。まさに嬉しい悲鳴だ。

090609e_0642_up 090609e_0645 090609e_0647 090609e_0665  このコアホウドリは一体何をしに来たのだろう。船の近くから私たちを睥睨(へいげい)すると,そのままUターンしていった。遠くから船を見つけ,わざわざ私たちを見に来たかのような行動だ。逆ウォッチングされた気分だ。
 もしかすると,漁をしている船から魚のおこぼれがあったことがあるのかもしれない。

 たぶん数秒の間だけだったと思うが,フレームからはみ出すほど近くから観察できた。せっかくなので,少しアップして見てみよう。

090609e_0644_up  今まで思いつきもしなかったが,晴れた日に見てみると,目の周りの黒さはまぶしさ避けのように見える。外野を守っている野球選手が目の下に付ける黒いすみのようだ。「アイブラック」とかいうらしい。目の周囲が黒くない海鳥も沢山いるので,たぶん違うとは思うが,そういう目で見ると面白い。
 また,足がないかのごとく,胴体がきれいな紡錘形になっている。すっかり「飛び」のモードだ。足はどのように格納されているのだろうか。

090609e_0649  海上の「飛び」に特化した翼がコレだ。
 グライダーのような長い翼で,空気をとらえて帆翔するのが,いかにも得意そうだ。前縁と初列・次列が黒っぽいので,黒い縁取りがあるように見える。黒い縁取りに囲まれた雨覆には黒い斑が入っており,この斑の量は個体によって差があるという。この個体は,どちらかというと黒っぽいタイプのようだ。

 イルカは,もう諦めかけていた1時間後に出てくれた。

 まずはイシイルカだ。

090609e_0411 090609e_0430  イシイルカは水面下ぎりぎりを速いスピードで泳ぎ,その際,モーターボートが立てるような独特の大きな水しぶきを立てる。この水しぶきを見てイシイルカがいるがわかるらしい。
 船長はイルカを見つけるのも上手だが,イルカ・鯨ウォッチングを謳っているだけあって,船の操船も非常にうまく,いつの間にかイシイルカたちが船にまとわりつくように泳いでいた。イシイルカたちが興味を持ちやすい絶妙な速さがあるようだ。

090609e_0508 090609e_0452  3頭と3頭の2つの群れ(?)があって,そのうちのひとつの群れがこの船にとても興味を持ち,何度も船の底を横切って,右舷に,また,左舷に現れた。小さな船なので,手の届くような至近距離で見ることができ,大興奮だ。
 海がきれいで,また,イシイルカは白い模様があるので,水面下の泳ぐ姿もよく見えた。
 好奇心を持って船の周りを泳ぐ姿がなんともめんこい。

 最高の夢のような時間だ。

090609e_0444 090609e_0445 090609e_0446  イルカは,海面のどこに出てくるのかわからず撮影に苦労することが多いが,水面下に姿を見つけることができればシャッターチャンスもぱっちりわかる。水しぶきを立てるところも,このとおり大きく撮れた。
 タイミングを測って何枚も写真を撮ったが,顔が写っている写真が1枚もなかった。ということは,イシイルカは息継ぎのとき顔を見せないのかもしれない。

090609e_0478 090609e_0481  イシイルカは2mを超える大きさのイルカで,プロポーションや背びれ・尾びれなどにも特徴があるが,何といっても体の下側に大きく白い部分があるのが特徴だ。この白い部分が胸びれを超えて大きいのが「リクゼンイルカ型」,下半身だけにあるのが「イシイルカ型」だ。大ざっぱに見ると,体の下半分のほとんど白いのが「リクゼンイルカ型」,半分が白いのが「イシイルカ型」となる。

 今回楽しませてくれたのは,見たとおり,全部「イシイルカ型」だった。

090609e_0454 090609e_0528  資料を見ると,「リクゼンイルカ型」の分布域は,関東北部から青森県南部までの沿岸から北方四島の付近を通って北まで伸びている。それ以外の海域は南限から北は「イシイルカ型」の分布域だ。
 分布図には,この噴火湾周辺も「イシイルカ型」の分布域として色が塗られていた。

 ただ,いつでもここにいる,という訳ではなく,この噴火湾ではそろそろ移動していなくなる時期だということだった。今回見ることができたのはとても幸運だったようだ。

 ところで,このイシイルカ。
 いろいろと調べていたら,沿岸捕鯨の対象になっていることがわかった。1988年の4万頭がピークだが,現在も年13,000頭平均で捕獲されている。
 恥ずかしながら全然知らなかった。

090609e_0469 090609e_0489  沿岸捕鯨は,大臣権限の「小型捕鯨業」と知事権限の「いるか漁業」に分けられ,さらに「いるか漁業」は,モリで突いて捕獲する「突きん棒漁業」と網で取り囲んで捕獲する「追い込み漁業」とに分けられている。イシイルカは主に「突きん棒漁業」の対象となっている。
 イシイルカの近くまで寄って,モリで突いて捕獲しているということだ。

 水産庁の資料によると,2008年のイシイルカの捕獲枠は,北海道,青森,岩手,宮城を合わせて16,252頭。その内,岩手県が突出しており,14,526頭だ。
 イシイルカは鯨肉の流通不足を補うために捕獲された経緯もあるようだが,スーパーなどで「鯨肉」として販売されている中に,イシイルカの肉もあるのだろうか。流通過程では「小型鯨」として出回っているというし,確かに鯨の仲間なので「鯨肉」として販売しても不当表示ではないのだろう。

090609e_0521090609e_0548  ここでこういう姿を見てからこのことを知ると何とも複雑な気持ちになる。ヤマメ釣りをしていて,ある頃からヤマメに感情移入しすぎ,食べられなくなったときの気持ちと似ている。
 ただ,地元漁民の方々の生活や心情のことを考えると,軽々しいことは言えない。今は捕鯨の文化がある宮城県の住人だし,鯨肉はこれからもきっと食べ続けると思う。

 心が沈んでしまったが,気を取り直して進めよう。

 今度はカマイルカだ。

090609e_0720 090609e_0737 090609e_0770  イシイルカがいた海域から移動するとまもなく,船長が群れを見つけてくれた。私も一所懸命に探していたつもりだが,全然見つけられなかった。さすがプロの目は違う。
 船長の指示でようやく1頭見つけたと思ったら,あちらにもこちらにも現れ,いつの間にか船の周りがカマイルカだらけになっていた。右舷にも,左舷にも,遠くの海にもいる。
 すごい数だ。

 またお祭りの始まりだ。

090609e_0788 090609e_0826 090609e_0846  迫力があり,とても見ごたえがあったが,写真撮影はとてもむずかしかった。
 水面に出てくる場所を予想し,ファインダー内に出てくれれれば,そのままシャッターを押して撮影できるが,そうそううまくは行かない。視野を広げようとファインダーから目を離すと,今度はタイミングを逸してしまう。最後には破れかぶれでファインダーを覗かないで,機関銃を撃つようにして撮影をしてしまう始末だった。

 これもまた楽し。

090609e_0852 090609e_0879  船長によると,この日以前にも何頭か見かけていたそうだが,このように大きな群れは今季初めてということだ。まさにシーズン開幕日に船に乗せていただいた,という感じだ。
 さっきのイシイルカにしても,このカマイルカにしてもとても幸運だった。当初の日程がずれてしまったのが,逆に運を呼び込んでくれたようだ。

090609e_0895 090609e_0896090609e_0977   カマイルカは,この時期に噴火湾にやって来て,盛期の7月には,沿岸近くでもごく普通に見られるという。ここで子どもを産み,育てるようで,7月後半には子連れの光景も見られるらしい。このイルカたちもここが生まれ故郷なのだろう。人は盆正月が里帰りの時期だが,カマイルカたちの里帰りはちょうどこの時期だった。
 ちなみに,8月終わりには大きな集団となって移動し,9月には全くいなくなるそうだ。

090609e_0909 090609e_0921  イシイルカもかなりのスピードで泳ぐイルカだが,カマイルカはさらに元気一杯,活発に泳ぐイルカだ。海面の上に姿を見せる泳ぎ方をするので,その元気・活力が直に感じられる。競うように,また,ジャンプしながら泳ぐときはなおさらだ。
 大きくジャンプするときは,思わず「おぉ!」と感激の声が漏れてしまう。

090609e_0928 090609e_0947 090609e_1016  その体は,泳ぐために生まれてきたようなとても美しいフォルムで,体色も波の形を白黒にして体に張り付けたようだ。カマイルカの「カマ」は,背びれが「鎌」のような形と色合いだからだが,背びれだけが特徴的なイルカではない。
 大きさはイシイルカと同じくらいだが,そのフォルムや体色,泳ぎ方は全く違う。

 今回はジャンプなどのパフォーマンスがほとんどなかったが,これからの時期,いろんなパフォーマンスを見せてくれるそうだ。

 ちなみに,カマイルカは2007年から漁業対象なり,新たに捕獲枠(岩手,静岡,和歌山で計360頭)が設けられたようだ。

 カマイルカを十二分に堪能した頃,ちょうど時間となり寄港することとなったが,もう満足感一杯で未練はなかった。

 これでお終い。

 と,思ったが,さらに「プチおまけ」が付いていた。

090609e_1049 090609e_1082 090609e_1083  室蘭港がまもなく,というとき,海面にカモメ類の群れが浮いていたので,オオセグロカモメかウミネコだろうと思い,何気なく双眼鏡で確認すると,何とミツユビカモメの群れだった。まさかこの時期にまでいるとは思ってもいなかった。
 若鳥だけの群れだった。

090609e_1061 090609e_1066 090609e_1068 090609e_1072 気づくのが遅く,プカプカ浮いているところの撮影はできなかったし,若鳥特有のM字の入った背面もうまく撮影できなかった。しかし,運良く,群れの中の1羽が,船の上を追い越すようにして飛んでくれた。これまで何度もミツユビカモメに出会っているが,こんなに近くを飛んでくれたのは初めてだったと思う。
 青空をバックに白い体がとてもきれいだった。

 これで本当にお終い。

090609c_0176090609e_1121 090609e_1127 帰る途中,出たというミンククジラ(船長のみ確認)を見ることができなかったのが残念と言えば残念だったが,鳥とイルカで大満足のウォッチング船だった。出るかどうかわからない,ってのが最大の難点だが,また時期を変えて来てみるのも面白いだろう。
 駐車場脇の草むらではノビタキが子育てしているようだった。

【観察できた鳥】

エゾセンニュウ,ウミウ,ウミネコ,オオセグロカモメ,ハシボソミズナギドリ,ウトウ,コアホウドリ,ミツユビカモメ,ヒメウ,ノビタキ (10種)

【写真】(4枚目5枚目は海から見た地球岬,最後のは下から見ていてぶつかるかと思った飛行機2機)

090609e_0109 090609e_0383 090609e_1112 090609c_0170 090609e_1046 090609e_0616

« 苫小牧‐仙台航路 2009/06/10 | トップページ | お詫び »

0003 北海道/道南」カテゴリの記事

0000 航路」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 苫小牧‐仙台航路 2009/06/10 | トップページ | お詫び »