« 仙台‐苫小牧航路 2009/06/06 | トップページ | 室蘭沖 2009/06/09 »

2009/06/25

苫小牧‐仙台航路 2009/06/10

03:50 曇り

 北海道から仙台への復路は,苫小牧港発午後7時,仙台港着午前10時となっている。翌朝午前4時から午前9時半頃までの約5時間半が航路鳥見の時間となる。

090610c_0293 090610c_0296  晴れていれば日の出も撮りたかったので,まだ暗いうちに起きてデッキに出ると,ミルクを流したような霧だった。これでは日の出どころか鳥見もできない。陸上であれば,晴れているところを探して移動することもできるが,船上では叶わない。
 あ~あ,と意気消沈しかけたが,4時を過ぎた頃,さ~っと霧が晴れた。

 さぁ,海鳥を探そう。

090610_0003 090610_0155 090610_0157  と身構えたが,探すこともなく,眼下にコアホウドリが飛んでいた。
 最初は船の前方方向に見えたが,すぐに船の横に並ぶように位置を変更し,また,船を追いかけるような位置をキープし始めた。イルカが船に付いて泳ぐのは体験もしていたが,コアホウドリが船に付いて飛んでくるのは初めての経験だった。

090610_0201 090610_0211 090610_0223  しばらくの時間,カメラのファインダーの中の姿にくぎ付けだった。
 ファインダーの中の姿は大きくなったり小さくなったりしていたが,はみ出すほど大きくなったとき,カメラから目を離して肉眼で見ると,その大きさに感激だった。大きな鳥は存在感があるが,近くから肉眼で見るとより迫力が増す。

090610_0173 090610_0132  まだ暗い時間帯だったので感度を上げたが,シャッタースピードは1/50秒程度までしか上がらない。そのおかげでぶれている写真も山ほどあったが,うまく流し撮れたときは,翼がきれいにぶれ,また,背景も流れて,動きが感じられる写真になっていた。満足だ。感度を高くしたせいで粒子が粗くなったが,これもスパイスと考えよう。

 コアホウドリに遊んでもらっていると,クロアシアホウドリも現れた。

090610_0107 090610_0042 090610_0057  「来い,来い。」と念じていると,念が通じて,クロアシアホウドリとコアホウドリが絡むように飛び始めた。何という幸運。北海道の陸で落としてしまったツキが,海に落ちていたようだ。夢のツーショットだ。
 撮影結果など考えていなかった。すごい,と感激した数だけシャッターを押した。撮影している真っ只中の時間は,こんな幸せはないくらいの幸せ感で満ち満ちていた。

 私を充分に楽しませてくれてから,この2羽は遠ざかって行ったが,息つく間もなく,今度はこんなのが現れた。

090610_0622 090610_0632 090610_0635  出会えるとは,ほんのちょっぴりも思っていなかった鳥だ。出会ったときは過呼吸と動悸の激しさで死にそうになった。最初,船の前方にいて次第に遠ざかっていったが,ぐるりと回り込んで,船のやや後方から追いかけてくるような状態となった。さっき出会ったコアホウドリと同じだ。船を意識して付いてきたような感じだ。
 まだ暗いうちではあったが最高のシチュエーションだ。

 「コ」も「クロアシ」も頭に付かない,ただの「アホウドリ」だ。

090610_0649 090610_0654 090610_0685  県支部の方々がアホウドリ調査に行く話は聞いていたが,ここに本当にいた。これまで本やテレビでしか見たことがなく,実在している実感が全くなかった夢のような鳥だ。私なんぞが見てはいけなかった禁断の鳥,という感じもする。非現実の世界に飛び込んでしまったような感覚だ。

090610_0690 090610_0691 090610_0692  ミズナギドリ類よりずっと大きいコアホウドリより,さらにず~っと大きい鳥なのだが,今回はそれほど「大きい」とは感じなかった。そんなのを感じ取る余裕がなかったせいかもしれないし,海の上で比較対照となるものがなかったせいかもしれない。

090610_0745_up 090610_0744_01 090610_0732  大きさよりも,くちばしや顔,翼上面の色にコアホウドリとの違いが感じられた。
 くちばしはコアホウドリよりさらに太くがっしりしており,先が淡い色になっている。
 また,目の周囲が黒くなっておらず,丸い小さな目がめんこい顔つきだ。コアホウドリがアイシャドウを付け過ぎの顔だとすれば,すっぴんに近い顔に見える。この個体は若鳥なので,似合わないカツラをかぶっているように頭が黒い。

090610_0757 090610_0729 090610_0718  体上面は,コアホウドリが翼から背がひとつながりの黒い色であるのに対し,この個体は翼の中ほどに白い色が入っている。こういう体色は生まれてから数年経つ若鳥のようだ。もっと若いとクロアシアホウドリのようにさらに黒く,また,成鳥になればもっと白い部分が広がるようだ。
 アホウドリはきれいな成鳥になるまで10年程度かかるらしい。

090610_0741 090610_0745_01 090610_0732_2  こういうことを書くと叱られるかもしれないが,正直,まだアホウドリは取っておきたかったような気がする。あこがれの鳥のまま,そっと置いておきたかった。「見たいな~」,と夢見る鳥が1種減ってしまったのがとても残念だ。
 ただ,1度見ると続けて何度も見られるのが鳥見の常。どうせなら,近いうちの再会を期待したい。

090610_0765 090610_0757_2  アホウドリが去ったのが4時半頃なので,ここまでわずか30分間の出来事だった。早起きは三文の得,と言うが,まさにそのとおり。寝坊していたら見逃すところだった。
 アホウドリについて書いたので,もう何も書かなくても良いような気持になってきたが,その後もデッキに立っていたので,記録のためのメモは残しておこう。

090610c_0299 090610c_0300  この日は4時前にも霧がかかっていたが,その後も,7時前から7時半頃,8時15分から9時頃の2回にわたって濃い霧がかかり観察できなくなった時間帯があった。文字どおりミルクを流したような霧で,8時台には船が霧笛を鳴らしながら航行していた。そんな天気だから,すっきりした空や海は期待できなかった。

 ただ,風はあまりなく,海域によっては鏡がうねっているような海で,その上を飛ぶ海鳥たちが水面に映ってとてもきれいだった。

090610_1529 090610_1536 090610_1842 090610_1802  往路でほとんど見られなかったオオミズナギドリは,復路ではずっと継続して観察することができた。いつもそうだと思う。時間によってどの海域を航行しているのかきちんと確認してはいなかったが,岩手県沖から宮城県沖はこの鳥が多いようだ。
 ここには海がてろてろになったときの写真を選んで張ってみた。オオミズナギドリそのものよりも水面に映った影が美しい。

090610_1873 090610_2_0386 090610_2_0713 090610_2_0002  ウトウは,小さな群れや単独でパラパラ観察できた。
 アホウドリなどに比べるととても小さな鳥なので,このような大きな船から撮影するのはほとんど無理。ゴマ粒のように写っていたものを拡大してようやくウトウとわかる。とは言え,中には独特のくちばしの色や形がわかるものもあった。右端の写真は泳ぎ去った後の波紋がきれいだ。

090610_1123 090610_1578 090610_2_0782  ハシボソミズナギドリは,いたにはいたが,往路で見たような賑わいはなかった。
 遠くに群れを観察することも数度あったが,2~3羽が船の前方を飛ぶ姿を見ることが多かった。渡りの本体はすでに北上してしまったのだろうか。ちょっと期間を空けてから,いなくなったことも確認してみたい。
 ここにも水面に映る海鳥を混ぜておく。

090610_0384 090610_0392 090610_1494 090610_2_0034  フルマカモメもときどき出てくれた。
 こちらは往路と同じように,単独でぱらぱらと出ることが多かった。出たのはすべて黒色型で白いタイプのフルマカモメは観察できなかった。白いタイプがやはり珍しいようだ。
 今回は往路も復路もごく普通にフルマカモメを観察できたが,こんなに普通だったっけ? やはり季節を変えながら繰り返して船に乗らないと感覚がつかめない。

090610_1860 Sp_090610_2_0652 Sp_090610_2_0655  ハシブトウミガラスは1回だけ観察できた。写真は船から遠ざかって行く後ろ姿だ。
 アビ類は遠くを飛ぶのを1度だけ見た。下尾筒基部に黒っぽい帯が入らないのはオオハムのようだが,判然としない。よく見ていればもっといたのかもしれないが,観察できたのはこの1羽のみだ。

 鳥以外ではイルカが盛況だった。
 往路ではキタオットセイを多数見たが,復路ではイルカの群れと7回(!)も出会った。遠くを泳ぐ大きな群れもあったし,小群で船の下を通って横切って行くものもあった。

090610_0819 090610_1025 090610_1038  イシイルカは頭が小さくずんぐりした体型のイルカだが,何よりもお腹側に大きな白い斑があるのが特徴だ。泳ぐときは,水面スレスレを泳ぎ,大きな飛沫を立てる。体はほとんど見えない。飛沫が大きいイルカの群れがあれば,イシイルカの可能性が高いようだ。好奇心旺盛なイルカなので,船に近づいてくることも多いらしい。

090610_1043 090610_1047 090610_2_0266  今回も遠くに大きな水飛沫を上げるイルカの群れを何度か見かけ,「イシイルカなのかな~」と,思っていたが,近くに寄ってきたとき,しっかりとお腹側の白い斑を確認することができた。数年前に同じ航路で見たときも船底を通って行った個体があったが,今回も寄ってきたと思ったら,船底に潜っていった群れがあった。

090610_2_0546 090610_2_0541 090610_2_0572 090610_2_0581  カマイルカは背びれを見せながら元気よく泳ぐイルカだ。飛島航路でも見ることが多く,この5月も大きな群れと出会っている。海面を元気に泳ぐ姿がとても魅力的で,出会うたびに新鮮な感動を与えてくれる。泳ぐとき水面に見える「鎌(カマ)」のような形の背びれが特徴で,これも魅力だ。
 イシイルカ同様船に寄って来て,同じように船底をくぐって行った群れもあった。なんてお茶目な奴らだろう。

090610_2_0067 090610_2_0128 090610_2_0148 090610_2_0186  また,ミズナギドリ類の「鳥山」とともに,数十頭の大きな群れも観察できた。空中に海鳥の群れ,海面にイルカの群れがあり,そして,たぶん,海中には小魚とそれを狙う大きな魚の群れがいるはず。見えない部分も合わせての大スペクタクルシーンだ。写真ではごく一部しか写せていないが,この何倍もの規模だ。
 前後左右にランダムに泳いで魚を追うのかと思いきや,イルカは船の進行方向と並行して一方向に泳いでいた。水面下の魚たちも一方向に逃げていたのだろうか。
 海の中がどのような状態になっていたのかとても興味がある。

090610c_0002  最後にこれを張っておこう。
 こんな風に虫って分布を広げるのかもしれない。無賃乗船していた虫だ。ずっと私の脇にいたので仙台に着く頃には親しみさえ覚えるようになってしまった。ここで降りるのであれば,北海道から仙台まで進出したことになる。
 鳥分野では,カササギが北海道に進出したのは,苫小牧港から,という説があるようだ。

 今回の航路鳥見では何といってもアホウドリだった。

 書いていてまた船に乗りたくなってきた。
 

【観察できた鳥】

アホウドリ,その他

【写真】(その他の写真)

090610_0453 090610_1555 090610_1572 090610_2_0665 090610_0499 090610_1800 090610_1802 090610_2_0822 090610_1515 090610_1519

090610_1520090610_1058 090610_1097 090610_1302 090610_1307 090610_1347 090610_1620 090610_1626 090610_11416 090610_11428 090610_0363 090609c_0231

« 仙台‐苫小牧航路 2009/06/06 | トップページ | 室蘭沖 2009/06/09 »

0000 航路」カテゴリの記事

コメント

私も読んでて船に乗りたくなっちゃいました。
クロアシとコのコラボもいいけどやっぱり「ア」の迫力には勝てませんね
やっぱりアホウドリは翼の長さが違いますね そして可愛い目と嘴の綺麗なこと。 先端のあわーーい水色とのコントラストがいやはやなんともいえません。
白のたすき掛けもまだはっきりしてない固体だったんですねえ
図鑑や写真は横からまたは腹が写っているのが多く羽上面の模様ってなかなか見つからないのですがyamameさんの画像でよく分かりました。  

投稿: かとぺー | 2009/06/26 06:00

やっぱり明日また船に乗ることとしました。今度は八戸からです。
久しぶりに天気がそこそこ良いようですが,風と濃霧はわかりません。今気象情報を見たら濃霧警報が出ていました。楽しみにちょっぴりスパイスが加わった感じです。
アホウドリにまた出会えたら良いのですが…。

投稿: yamame | 2009/06/26 07:22

土曜日はお世話さまでした。美味しいおやつまで頂いて、どうもありがとうございました♪
戻りの便はどうだったでしょうか。こちらはツノメドリとかアホウドリの若いのとかでした。
イルカとミズナギの大きな群れもいましたが、行きほど凄くはなかったです。

投稿: A子 | 2009/06/29 09:36

どうも,お世話になりました。
ご一緒したときの大スペクタクルには感動モノでしたね~。それまで寝ていた甲斐があったってもんですよね。うまく写真撮れたかどうかまだ見ていませんが,内心,写真全部失敗してくれていないかなぁ,と期待しています。あんなの現場で見ないとわからないと思うし,伝えられないです。
帰りは違う道でしたが,私の方はいつものメンバーのみでした。それにしてもツノメドリって何? 私の所掌範囲外です。
ps
日曜日の午後には宮城県内の沼アジサシとも出会えました。ありがとうございました。

投稿: yamame | 2009/06/29 23:24

ツノメドリは特にこの時期に北海道沖でわりと見られるようですよ。と言われつつ・・・私は初めてでした。
沼アジサシですが、昨日と今日ポイントを見てきましたが、
1羽も見つかりません。日曜に見られたということで、良かったです。ギリギリセーフだったかも~。

あと、別件でこちらのブログにあるアドレスにメールしました。よろしければお返事下さい。m(__)m

投稿: A子 | 2009/07/01 18:37

そうなんですか。目を慣らさないと見えない鳥もいるかもしれないですね。もっと通う必要がありそうです。これからツノメドリも頭の中に入れておくことにします。

沼アジサシは日曜日のお昼ころにいて,別個体を探してあちこち歩いてから戻ると,夕方もやっぱりいました。月曜日あたりに抜けたのでしょうか。おかげさまで間に合って良かったです。

投稿: yamame | 2009/07/01 22:25

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 仙台‐苫小牧航路 2009/06/06 | トップページ | 室蘭沖 2009/06/09 »