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2009/05/15

R113 2009/04/29

(七ケ宿) 07:45 快晴
(白竜湖) 09:45 快晴

 「私をドライブに連れてって。」と言う。
 いつも大変お世話になっている人なので,喜んで助手席にお乗せした。コースは国道113号をご希望だ。白石から七ヶ宿を抜けて,山形の高畠-南陽方面に抜けるルートだ。もちろん,彼女の言うがままである。
 この春に転勤したので,ストレスが溜まっているのだろう。ご苦労様。

 気持の良い天気で,快適なドライブとなる。
 この日は,朝のうちに到着したい所があったので,材木岩も滑津大滝(なめつおおたき)もすっ飛ばして,先を急ぐ。

090429g_009 090429g_017 090429e_172  最初の目的地は,七ヶ宿町の山形側にある「玉の木原」の湿原だった。水芭蕉群生地なので,今の時期,日中は人でごった返す観光地になってしまうが,誰もいない早朝は鳥見の好フィールドだ。
 この日も何とかまだ誰も来ていない時間に到着できた。こういう場所は観光客が訪れない早朝に限る。春の湿原のすがすがしい空気の中,木道を歩くのはとても気持ち良い。
 水芭蕉は白い苞(ほう)を広げ,葉の伸び方もちょうど良い加減だ。

 ここは毎年ノジコが来るポイントで,至近距離からノジコがさえずるのを観察することができる。今年はどうだろう。

 歩いてまもなく,思いがけず,水芭蕉の群落の中に動物を見つけた。

 凄い。

 テンだ。

 しかも,黄色い。

090429e_023_00 090429e_021090429e_022_00  ずっと,ず~っと前に1度だけ見たことがあるが,それは夜明け前の山道を運転しているとき,車の前を横切っただけだった。このような形で出会うのは初めてだ。
 興奮のあまり,三脚を広げ,レンズを向けるのに手間取ったが,何とか撮影につなげることができた。
 黄色い体に白い顔がとても美しい。野生動物と思えないような色合いだ。

090429e_025 090429e_042  左手奥から現れ,こちら側に移動してきたが,途中,立ち止まって,こちらの方をじっと見た。目が合って「観察しあっこ」していた瞬間だ。互いに「存在」を認識し合った,ということだ。たぶん,ほんの数秒の時間だったと思うが,時間が止まった瞬間でもあった。多分呼吸も止まっていたと思う。死ななくて良かった。
 この後,湿地の中を歩きにくそうにしながら,ゆっくりと右手の方に移動し,終いには見えなくなってしまった。波打つ尻尾も美しい。

 テンがこのようにきれいな黄色になるのは冬だけだ。まもなく茶色の地味な色に変る時期だった。出会えただけでも幸運だったが,この毛色を見ることができたのは僥倖そのものだ。感激だった。

 これだけでも,この日,ここに来た甲斐があった。

090429e_064 090429e_092  テンの興奮を引きずりながら,再び歩き始めると,すぐにノジコのさえずりが聞こえてきた。今年も来てくれていたようだ。
 木道を先に進むとさえずりがすぐ左手脇で聞こえてきた。こんな近くから声が聞こえても,なかなか姿を探せない。ようやく探し当てたら,思ったよりずっと近くの木の梢でさえずっていた。

090429e_159090429e_150  たぶんひとりで来ていれば,粘って,もっとノジコと親密な仲となっていたのだろうが,誰かと一緒だと,不思議にそうしたい気持にならない。ほどよく観察&撮影して,先に進むことができた。
 ノジコは少し移動したりもしたが,ほぼ同じような所でさえずりを繰り返していた。白いアイリングと喉からお腹にかけて班のない黄色がチャームポイントだ。

 今年もまた会えた。満足。

090429e_059 090429g_014 090429e_055  その後も,この湿原をゆっくりと歩き回り,ノジコの他に,ウグイスやアオジ,ホオジロ,センダイムシクイなど多くの鳥を,声や姿で楽しんだ。中でも,翼を震わせるようにして求婚(?)していたヒガラの姿が面白かった。
 写真はほとんど撮らなかったが,左端の写真に写っている鳥はアオジだ。春になって目の周辺が黒くなっている。

090429g_029 090429e_189090429g_024  ここでは,テンや鳥のほか,誰のかよくわからない獣糞やヒキガエルの蛙合戦も観察することができた。春の朝の清々しい空気の中,生き物の活動に触れることができ,とても気持ち良い。
 雰囲気が良く,去りがたかったが,次もある。車に戻って先に進もう。

 次の目的地は赤湯の白竜湖だ。ケリにごあいさつしたい。

 国道113号を通って山形側に行くには,数年前まで,くねくね曲がった細い山道を行かざるを得なかったが,立派なトンネルができてから,とても近くなった。

090429e_276090429g_038 090429e_220  県境のトンネルを抜け,最初の集落に差し掛かると,20~30羽程度のオナガの群れが目に付いた。白っぽい灰色の体と水色の羽がとてもきれいだ。宮城県内でもあちらこちらにいて,目にすることも多いが,近くで観察し,楽しむ機会は意外に少ない。
 思わず,車を止めて,カメラを手に取った。

090429e_254 090429g_074 090429e_262 この群れは,餌を取りながらどんどん移動し,遠ざかっていったが,本体が移動しても,残って餌を取っているような鈍くさい奴がきっといるだろう。と,思い,探してみたら,いた。人と同じで,集団になるといろんな奴がいる。
 比較的近くの枝にとまって,わずかな時間に色んなポーズをとって楽しませてくれた。久しぶりに長玉の手持ち撮影となったが,なんとか止まってくれた。

 さて,白竜湖だ。

 ここは内陸ながらコアジサシが飛来する所で,周辺田んぼにはケリが繁殖。北側にはアオサギ・ゴイサギのコロニーもある。特に,ケリは個体数が多いポイントだ。
 ただし,5月に入ると田植えなどの農作業の盛期になるので,鳥見人は邪魔になってしまう。この時期は外した方が賢明だ。

090429g_040 まず,白竜湖の畔(ほとり)にある駐車スペースに車を止める。ここは良い釣りスポットらしく,何人もの釣人が水面に竿を出している。「湖」と名前が付いているが,大きさは沼のレベルだ。確か,ここって日本一小さい「湖」でなかったけ?
 畔に立って,双眼鏡で見渡したが,まだコアジサシは到着していない。奥の方にはまだコガモたちがたくさん残っていた。

090429g_042 090429e_285  三脚を担いで,白竜湖の南側田んぼに向かうと,盛んに鳴くケリの声が聞こえる。そうそう,この雰囲気だ。この雰囲気を味わいたくてここに来た。
 足元の用水路にはカエルがたくさん出てきていた。トウキョウダルマガエルとかトノサマガエルの仲間のようだ。めんこい奴らだが,こいつらは,鳥たちの「ご飯」だ。

090429e_316 090429e_335 090429e_385 090429e_291  用水路のカエルや田んぼのタニシなどを観察しながら進むと,にぎやかに鳴いて飛んでいるケリが目に入った。飛んでいるときは,翼の白黒模様がとても目立つが,降りると景色に溶け込んでしまう。降りたところは,やや遠く,光の方向もあまり良くない。
 近くにもう1羽いて,2羽いるようだった。ペアになっていた。

 もう少し歩き,光の加減の良い方に行くと,距離が遠くなったものの,スコープで観察すると,くっきりはっきり,良く見えるようになった。

090429e_445 090429e_446  ここで,スコープを覗いていた同行者が,「ケリのヒナっていつ頃生まれるの?」と聞いてきた。良くわからないまま,「田植えが終わった頃じゃないの。」なんて,いい加減なことを言っていたら,どうもケリの足元に何か見えるらしい。
 見せて,見せて。
 スコープを取り返す。

 お。ヒナじゃん。

 親ケリの足元の白い花に見え隠れして,黒っぽくてちっぽけなヒナの姿があった。
 写真には撮れなかったが,スコープではしっかり確認できた。

090429e_433 090429e_457  以前,青々とした稲の間を子連れのケリが歩いているのを見つけたことがあるが,そっか,田植え前には孵化するんだ。お陰様で勉強になった。よく考えると,田に水を張って田植えが始まると,巣が水浸しになるかもしれないし,人や機械が行き来してゆっくり抱卵もできないだろう。考えてみれば合理的だ。
 ちなみに,ここで農作業をしていた方々のお話では,この周辺の田植えは5月中旬らしい。

090429e_414 090429e_416 090429e_419  そうすると,ケリが大騒ぎしていたのは,農作業をしていた人たちや私たちを警戒していたのかもしれない。一度こちらに向かって飛んできたのを,「近くに来てくれた。」と喜んでいたが,モビングに近い行動だったのだろうか。ヒナがいた場所まで少なくとも70~80mは離れていたと思うが,素晴らしい警戒心だ。

 近くを流れる水路の近くでは,近づくカラスやアオサギを何度も追い払うケリの姿も観察できた。

 もう少し歩きたいとも思ったが,「龍上海」の「赤湯からみそラーメン」を食べに行くことにしていたので,11時前には切り上げることとした。あそこは開店しばらく前に行かないと並んでしまって大変だ。確か開店は11時半だったはず。

090429g_048 090429g_047  これまでの経験から,大丈夫だろうと期待していたが,この日は,ゴールデンウィークだった。私たちの前にすでに50人以上並んでいた。山形県内に6店舗あるようだが,ここが本店。発祥の地なので,わざわざ来るお客様も多いのだろう。単独で来たら,絶対に並ばないのだが,同行者の頭の中はここのラーメンのイメージで固まっていたようだった。
 長時間待つことを覚悟し,列の最後尾に並ぶこととした。

 待つこと1時間強。店の中は25人程度入れるようだが,3回転目にようやく入店できた。お待ちかねのラーメンだ。

090429g_050090429g_052  ルーツは札幌のみそラーメンより古く,東京タワー完成した頃の昭和30年台にまで遡るようだ。独特の辛みそスープとコシの強い太縮れ麺の組み合わせは,一度食べたら癖になる。刺激的で,超うまいラーメンだ。
 ただ,私の場合,これを食べると必ず消化不良を起こすので,今回は食べてすぐ,事前準備していた胃薬を飲んだ。いつも意地汚くスープを飲み干してしまうのがいけないのかもしれない。

090429g_054 090429e_496 090429e_511  この後,再び白竜湖周辺に戻り,オオジシギやノビタキ,ホオアカを探したが見つけられず。探し方が甘かったのか。この間,腹一杯になった同行者は車の中でぐっすりと寝入ってしまっていた。幸せな奴だ。
 最後にもう一度ケリを撮影して,白竜湖を後にする。

 せっかくここまで来たのだから,高畠ワイン米鶴の酒を買って帰ることとし,国道113号沿いの酒屋に寄った。しかし,お酒はもっと種類があるはず。たくさんの種類の中からもっと悩んで選びたい。車で数分の距離なので,米鶴酒造の酒蔵まで足を延ばすこととした。

 酒蔵の案内所にお酒を買うために入ると,「酒蔵見学しますか。」,と聞かれる。
 「はい」という返事と「いいえ」という返事が,同時に出た。同行者の突然の発言にびっくりだったが,仕方ない。従うしかない。・・・。ま,いっか。

 15分ほどのの酒蔵見学の後は,良いお酒と精米して出た米の粉で作った固焼きせんべいを買って満足。

090429g_071 090429g_087  気が付くと,この時点で,すでに鳥見モードではなくなっていた。
 チョウも,風がやや強くなり,ちょっと無理。写真は撮れなかったが,唯一,黄色い菜の花畑にいた青いルリタテハがとてもきれいだった。
 その後,往路ですっ飛ばした材木岩などを観光し,帰途に就いた。

 これでこの日はお終い。
 たまにはこんな日があっても良い。

 夜は,同行者が買っていた高畠の山菜をてんぷらに揚げ,美味しいお酒をいただいた。

【観察できた鳥】

(玉の木原)
センダイムシクイ,カワラヒワ,シジュウカラ,ウグイス,ヤブサメ,アオゲラ,ハクセキレイ,ハシブトガラス,アオジ,ヤマガラ,ノジコ,ヒヨドリ,トビ,ホオジロ,ヒガラ,モズ,エナガ,カケス,コガラ,メジロ,コゲラ (21種)

(白竜湖)
ケリ,コガモ,オオバン,カワラヒワ,アオサギ,カルガモ,ハシボソガラス,ハクセキレイ,スズメ,ハシブトガラス,ヒバリ,ノスリ,ムクドリ,セグロセキレイ,ゴイサギ,ホオジロ,ダイサギ,ヒヨドリ (19種)

【写真】(後向きのはアヒルの頭)

090429e_025_00 090429e_064 090429e_144 090429g_021 090429g_010 090429g_013 090429g_045 090429e_477 090429e_317 090429e_316 090429e_369 090429e_377 090429e_385 090429e_417 090429e_419_2 090429e_540 090429e_539 090429g_056 090429e_193 090429g_063 090429g_078 090429g_082 090429g_093 090429g_089 090429g_090

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コメント

yamameさん,こんばんは。
きれいなテンですね。ホントに黄金色の体毛に白い顔が印象的です。こんなに近い出会いをしてみたいです。
水芭蕉の群生地も良いところですね。

ケリの飛翔写真が素敵ですね。一度白龍湖に行こうと思っていましたが,GWに思いがけずケリを見てしまったので,もう良いかなと思っていました。でも,この飛翔写真を見させてもらったら,是非行ってみたくなりました。

投稿: konpas | 2009/05/16 20:11

konpasさん
コメントありがとうございます。
テンはホント運が良かったです。ここは何度も来ている場所なのですが,今回が初めての出会いでした。
ケリの方は宮城県北部でも見られますが,ここのも雰囲気が良いです。農道を歩いて探鳥することになりますので,季節の田んぼの雰囲気を味わうこともできます。行かれる場合,農作業をしている方々は意外に鳥と接していないので,スコープを見せてあげると喜ばれると思いますよ。

投稿: yamame | 2009/05/17 08:59

yamameさん,こんばんは。
情報ありがとうございます。
もし見に行くときは,地元の人に気を遣いながら迷惑にならないように楽しみます。コアジサシも久しく見ていないので見られると良いなと思っています。

投稿: konpas | 2009/05/17 19:20

こんにちは
ケリの真正面顔 スゴイですね~
私たちも こんな感じで威嚇されたことあります。
また ヒナを守るため 体を張ってチョウゲンボウに立ち向かう姿は 感動的でした。
って ステキなデートだったんですね..(^^)

投稿: ど★れどれ | 2009/05/20 09:10

 そうですね。このケリの顔,ちょっと恐いですね。怒っているみたいです。本文にも書きましたが,アオサギやカラスを盛んに追い払っている夫婦もありました。
 デートって…。一般にそういうんでしょうか。いつもご夫婦で行動されている方々は思いつくだけで4組はいらっしゃいますが,私はいつも単独行で,妻が付いてくるのは年1~2回程度でしょうか。

投稿: yamame | 2009/05/21 06:12

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