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2009/05/11

大沼 2009/04/09

08:15 快晴

 仙台市内にツクシガモが来ているという。しかも2羽。大沼と蒲生に1羽ずついるらしい。
 この日は平日だったが,足したかった用事もあったので,思いきって休みをもらって,まずは大沼に向かった。

090409e_0002 090409e_0016090409e_0026_2  ツクシガモは,大沼到着後,すぐに見つかった。沼の南西角の岸辺に上がり,ヒドリガモに混ざって休んでいた。大きめで白っぽいカモなので,ヒドリガモと一緒だと良く目立つ。
 もっと近くから見ようと思い,じんわり寄っていくと,ヒドリガモの群れから1羽だけ抜けて,スーっと水面を遠ざかっていった。意外に警戒心が強いカモだった。失敗。

 すぐに戻るかとしばらく待ったが,戻る気配がない。

 遠い上,逆光になっていたので,時間を開けて,お昼過ぎにまた来ることにしよう。まずはいることを確認したので,これで良し。
 蒲生をちょこっと覗いてから,午前中は溜まっていた用事を足すこととした。

090409e_0046 090409e_0042  蒲生干潟は5/29まで防災用防波堤の工事中で,ポイントに自由に出入りできない。どうも要領がわからない。
 車を空地に止めて,導流堤付近まで歩いていき,ここ1点から七北田川側や日和山側を探したが,ツクシガモは見つからず。日和山方向のかなり遠くにホウロクシギがいたが,貝掘りに来ていた人に飛ばされてしまった。ここは工事中でもこんなだ。
 後で聞くと,ツクシガモは蒲生干潟の北側奥の方にいたらしい。 

090409e_0058 090409e_0068 090409e_0060  七北田川河口の砂州にはカモメ類がたくさん集まっていて,中にシロカモメが混ざっていた。幼鳥ではあるが,ここで会うのは久しぶりだ。川の反対側に移動して,順光側から白い体を堪能させてもらった。
 ユリカモメたちの頭が黒くなってきたのもうれしい。数日前の鳥の海では黒い頭のユリカモメが見られなかったので,ホント,最近黒くなったのだろう。

090409e_0092 090409e_0100 090409e_0099  午前中に用を足し,お昼過ぎに大沼に戻ると,ツクシガモは朝最初にいたのと同じようにして休んでいた。今度はすぐ近くにスコープを持った人が佇んでいる。Yさんのようだ。お久しぶり。
 朝の失敗があるので,カモを驚かせないよう,沼から離れた所を歩いて,ゆっくりとYさんに近づき,ごあいさつをする。
 ところが,今度も朝同様,スーっと離れてしまった。何故。私のせいか。申し訳ない。

090409e_0106 090409e_0125 090409e_0143090409e_0288  Yさんにお聞きすると,ここにアメリカヒドリも入っているという。
 見てみると,いた,いた。目の前のヒドリガモの群れに混ざって,きれいな♂がいた。
 寝て休んでいる時間が多かったが,ときおり首を上げて顔を見せてくれた。

090409e_0292 090409e_0304 090409e_0718  アメリカヒドリはしばらくここに居ついていて,何度か離れてここに戻ってきても同じような所で休んでいた。この冬は加瀬沼でも撮影したが,今回の方がずっと条件が良い。近いし,光の当たり具合も順光で完璧だ。
 よく出会う鳥だが,きれいな個体で,かつ,こういう条件の良いときはそうあるもんじゃない。絶好の撮影チャンスだった。

090409e_1447 090409e_1449 090409e_1461  これは夕方近くだったか。
 ヒドリガモ特有のピューピューいう声が喧しくなったので見てみると,こういう状態だった。ヒドリガモの群れに混ざってアメリカヒドリも騒いでいた。カエル合戦ならぬ,ヒドリガモ合戦状態だった。自分がこういうのに混ざりたいとはもう思わないが,いずれ,にぎやかで好ましい光景だ。

090409e_0662 090409e_0678 090409e_1373  ここには岸辺にコチドリも入っていて,くっきり鮮やかに黄色くなったアイリングで愛嬌をふりまいてくれた。アメリカヒドリやツクシガモを見ているとき,足元にチョロチョロしていたコチドリたちを,合間合間に撮影させてもらった。
 にぎやかに鳴きながら飛びまわっていたので数が多いように感じていたが,いたのは4~5羽くらいだっただろうか。

090409e_0268 090409e_0270 090409e_0354_up 090409e_0355  合間に撮影させてもらったと言えば,このダイサギもだ。ツクシガモがお昼寝タイムになってしまったとき,近くで私のお相手をしてくれた。
 目の先が青緑色の婚姻色になった個体で,何度か魚を取って飲み込みところを見せてくれた。水路が沼に流れ込む場所にこだわっており,ここで餌を取っていた。きっと魚の密度が濃い場所なのだろう。

 さて,ここまで長くなってしまったが,そろそろツクシガモのことをきちんとメモしておこう。

090409e_0256090409e_0825 090409e_0954 090409e_1536  目の前(沼の南西岸)からツクシガモが離れていったところまで記載したが,お昼過ぎからの約6時間の間,餌を取ったり休憩(お昼寝)したりしながら,ツクシガモは時計回りに沼を2周半していた。夕方6時過ぎに私が立ち去るときは,沼北側の干潟で活発に動いて,餌を取っていた。

 基本的には警戒心が強い鳥だとは思うが,この間,至近距離まで寄ってきてくれることもあり,その際に近くからじっくり撮影&観察できた。

<全身の特徴>

090409e_1129 090409e_1220 090409e_1262  体の大きさはヒドリガモよりずっと大きく,近くにいたカルガモとほぼ同じ大きさだった。
 体は白が基本で,横から見ると,胸のあたりに縦に栗色の帯があり,肩羽のあたりから横に黒い帯がある。首から頭にかけては,やや緑光沢のある黒で,くちばしは赤い。
 尾は白く,先端が黒い。後方から見ると,下尾筒付近がほんのり栗色だ。

<成幼・♂♀の別>

090409e_0579_up 090409e_1278_up  まずは,くちばしを見てみよう。
 わかりやすいところでは,繁殖期(夏羽)の♂は,上くちばしの基部にコブハクチョウのような「こぶ」ができるらしい。この個体にはこぶがないので,♂成鳥夏羽ではない。また,♀はくちばし基部に白い線があるということなので,♀でもない。白い部分なんてこれっぽちもない。

 ♂成鳥夏羽でも♀でもないとなると,♂成鳥冬羽,♂若鳥,或いは,幼鳥という可能性が残る。

090409e_1267090409e_1218  幼鳥であれば,頭に白い羽毛が見られ,赤褐色の胸の帯がないか不明瞭だということだが,この個体の体の色合いは成鳥同様明瞭だ。体の大きさも,カルガモと比較して見ると,成鳥の大きさと言っても良いだろう。
 だから,この個体が昨年夏生まれの幼鳥であることは,たぶんない。

 と,すると,これは♂成鳥冬羽か♂若鳥かのどちらかということになる。

090409e_0511 090409e_0704  日本野鳥の会で発行している「フィールドガイド日本の野鳥」やその他の図鑑(590,Collins)によると,若鳥の特徴のひとつとして「次列風切の先端が白い」とある。これは明瞭に識別できるポイントだ。振り返って,この個体の翼を見ると,次列風切の先端が白い。これで決まり。
 この個体は,たぶん,一昨年の夏以前に生まれた個体で,まだ成鳥になりきっていない♂なのだろう。

090409e_0528_up 090409e_1141_up  さらに,よ~く,撮影した写真を見てみると,上くちばしの基部に「こぶ」の兆候があるようだ。くちばしの付け根付近を左右から指でつまんだように,シワが寄っている感じだ。これからこの部分がもっと膨らんで「こぶ」になるかどうかはよくわからないが,少なくとも,普通のすーっとしたくちばしになっていないことは,見たとおりだ。

090409e_0513  ところで,これで素直に納得すれば良いのだろうが,念のために「次列風切の白くない」成鳥の飛翔写真をネットや図鑑で探しても見つからない。どの飛翔写真も次列風切の先端が白い個体だけだ。図鑑のイラストだけではすっきりしない。
 うんちをしたけど,まだお腹に残っている感じだ。

 ※ 書いてからネット上で発見! スッキリ!! 成鳥は翼の縁が白くなかった。

<どこから来たの?>

090409e_0557 090409e_0647  ツクシガモは,名前のとおり九州北部に,冬飛来することが多い鳥で,日本に一番近い繁殖地はアジア中央部のようだ。近年,大阪湾に定期的に飛来するなど,西日本の方に拡大してきているようだが,東北の方への飛来はあまり聞いたことがない。
 宮城県支部がまとめた「宮城県の鳥類分布」によると,初めてではないものの,非常に記録が少ないようだ。1989年(蒲生)に1羽,1991年(奥松島塩田跡)に1羽だけだった。

090409e_0699 090409e_0705 090409e_0708  しかし,今回は,ここの他に蒲生にも1羽入っており,一時に2羽だ。こういうことは初めてらしい。しかも,今季は,青森のりんごさんが画像掲示板に張ってくださった個体もあったし,岩手に出た個体もいたことはYtさんに直接教わった。
 この個体は,4/7(?)に確認されたものなので,国内のどこかで越冬したものが,ユーラシア大陸方面に帰る途中移動してきたものだろう。

 もしかすると,青森や岩手にいたものが移動してきたのかもしれない。細かな特徴を突合すればわかる可能性はあるが,そこまでは誰もしないだろうなぁ。

<チャームポイント?>

090409e_0540 090409e_1313  ツクシガモは,九州に行ったときに出会っただけで,これまでの鳥見人生で親しく付き合ってもらったことはない。しかし,私にとっては,この独特の形のくちばしにすごく惹かれる。
 干潟などで歩きながら地表付近の餌を採るため,このような形に特化したのだろうが,どうみてもアニメの世界の造形だ。普通のカモのくちばしをデフォルメしてアニメ化したものを,再び現実に戻したような形をしている。

 面白くって,くちばしを見ているだけで見飽きることはない。

<性質>

090409e_0089 090409e_0605  ずっと上に書いたように,決して慣れっこい鳥ではない。ヒドリガモが逃げていかない距離でも,この鳥は離れていく。ここに来る前の別の場所で人に追いかけられたりした場合はこのようになることも考えられるが,元々の性質なのだと思った方が自然だろう。
 ツクシガモを近くから観察しようと思うときは,ガンを相手にするように,行動には十分に注意しなければならない。

 覚えておかなければならない。

<行動>

 カモ類は,昼に休んで,夜に活動するものがほとんどだが,このツクシガモも,その例にもれず夜行性のようだ。昼間はほとんど寝ており,夕方薄暗くなってから,活発に活動し始めた。

090409e_0468 090409e_0504 090409e_0427  ツクシガモが本格的に昼寝し始めたとき,水路からの流入口の橋付近で待っていたが,いつ起きるかわからないので,移動する訳にもいかない。最初はすぐ近くにいたダイサギに付き合ってもらったが,私も眠くなり,車のシートを倒して昼寝してしまった。
 タイミングよく,私が起きてから,まもなくツクシガモも起き,その後,だんだんとこちらに寄ってきた。

090409e_0508 090409e_0509 090409e_0524  と思ったら,突然飛び立ち,くるりと回って,さらに近くの水路に着水した。私が待機していた場所からツクシガモまでの距離が,一気に30m程度に縮まった。
 このツクシガモは,たぶんこの水路が好みの場所だったのではないだろうか。このときはスーッと通り過ぎて,沼南西側の最初にいた場所に戻って羽づくろいを始めたが,夕方午後6時前頃にはまたここに戻ってきた。

090409e_1617 090409e_1706_up 090409e_1831 090409e_1866  夕方,そろそろ暗くなってきた頃,戻ってきたツクシガモは,ここで餌を取り始めた。昼間は餌取り場面をほとんど見ることができなかったが,この時間からはすっかり餌取りモードになり,活発に活動しはじめた。
 餌を取り始めると,このくちばしがこのような形状をしている理由がよくわかる。

<お終い>

090409e_1964 090409e_1972 090409e_1978  このツクシガモとの出会いは,発見者のKkさんからのご連絡だった。
 心から御礼申し上げる。
 それにしても,最後の最後にKkさんご本人が現れ,続いてAIさんご夫婦が現れたのは驚いた。だべりながら「好きだね~」という類のことを口走ったかもしれないが,もちろん人のことは言えない。

 この日はツクシガモが最高の条件で観察&撮影でき,しかもアメリカヒドリのおまけも付いて,最高に気分の良い日となった。

【観察できた鳥】(大沼のみ)

スズメ,ムクドリ,コチドリ,ヒバリ,ハシブトガラス,カルガモ,ヒドリガモ,ツクシガモ,カイツブリ,ハクセキレイ,ホオジロ,ヒヨドリ,ハシビロガモ,カワウ,ツグミ,キジバト (17種)

【写真】(3枚目4枚目は,カルガモであってカルガモでなし。)

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