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2009/03/15

八戸-苫小牧航路 2009/02/14

08:45 晴れ&暴風

 航路という選択肢があることに気が付いたのは,八戸に行くと決めた後だった。
 朝08:45に八戸港から出航する便に乗ると,苫小牧港に16:00に着くようだ。日中一杯,航路鳥見ができる。

 朝,八戸駅の近くの宿からタクシーで八戸港まで行くと,3,000円弱の料金だった。思ったより高い。バスでは出航ギリギリになってしまうので,本八戸駅までJRで移動してから,タクシーを利用するのが良かったようだ。

090214e_0009 090214e_0032  八戸港のフェリーターミナルに着くと,抜けるような青空で,空を映した海も濃い青だった。しかし,風がかなり強い。この日,海上では20~25mの風が吹くという予報だった。若干の不安はあったが,ここまで来たからには突撃あるのみ。何とかなるだろう。
 船に乗り込むと,ワクワク感が不安を吹き飛ばしてしまった。嬉しくって,出航前,海上を飛ぶカラス(左側)さえ撮影してしまう始末だった。

 船は時間どおりに出航。

090214e_0026 090214e_0031090214s_105  八戸-苫小牧便は,シルバーフェリー(川崎近海汽船株式会社)の船が4隻就航しており,1日4便運航している。4隻あるフェリーのうち,朝一で運行するのは「シルバークイーン」だ。デッキは上下2段あるが,下のデッキの方が海に近いし,また,風よけできるような構造になっている。運賃は2等で片道5,000円(割引有)だ。
 八戸港フェリーターミナルを出るとき,ウミウやヒメウたちが見送ってくれた。

090214s_097 090214s_107 090214s_108  最初は光の向きを考えて左舷に陣取っていたが,外海に出て間もなく,西風がまともに当たるようになり,左舷にいるのは辛くなった。海上を暴風が吹き荒れるという予報は当たったようだ。一旦閉めた左舷側のドアは,しばらくすると風圧で開かなくなってしまうほどだった。右舷に移動せざるを得ない。大きな船なので,反対側に回り込むと船体自体が風除けになってくれる。

090214s_127 090214s_132 090214s_129  しかし,外海を航行しているうち,次第に波が高くなり,波頭が強風で吹き飛ばされるようになってきた。空は晴れているものの,雨のように飛沫(しぶき)が降り注ぐ。最初のうちは,飛沫でできる虹を見て「きれいだなぁ」などと呑気に構えていたが,次第にそれどころではなくなってきた。

090214s_123 090214s_145 090214ee_11055  双眼鏡や望遠レンズを拭き拭き観察&撮影していたが,飛沫がひどい時間帯は全く観察できなくなった。双眼鏡さえ使えない。せっかく乗ったのにもったいないことだ。お昼過ぎには,デッキに海水が溜まり,ちゃぷんちゃぷんいうようになっていた。大きな船なのにかなり揺れ,立っているのも大変な時間帯もあった。
 途中ですれ違った貨物船を撮影してみたが,これで海の荒れようがわかると思う。

 娘も大きく揺れる船が大好きだが,これだけ揺れると楽しいことこの上ない。どこかに漁師の血が残っているのかもしれない。仕事で乗務しいる方々や船嫌いの方々には申し訳ないが,どうしても気分が高揚してくる。
 これで海鳥の観察や撮影も普通にできるようであれば最高だったと思う。

 さて,種類ごとに鳥の記録をメモしていこう。

<ミツユビカモメ>

090214e_0089 090214e_0108 090214e_0147  出航後しばらくはほとんど何も出てくれなかったが,10時頃になってようやくミツユビカモメたちが現われてくれた。その後,苫小牧に到着するまで,群れが何度も現れ,楽しませてくれた。今回の航路で一番多く観察できた鳥だ。
 最初は出会えただけで嬉しくて,はるか彼方にいる個体も撮影していた。

090214ee_1111090214ee_0283 090214ee_0326 090214ee_0123  これまで何度か沿岸で出会っているが,群れで,しかもこれだけ沢山見るのは初めてだった。海面に浮かんでいて,船が近付くと飛び上り,また着水する,というパターンが多かった。
 だんだん慣れてくると,近くを飛ぶ個体を選んで撮影するようになり,「飛びもの」撮影の練習台になってもらった。

090214ee_0130 090214ee_0413 090214ee_1024 090214ee_1109  この日は,海上を暴風が吹き荒れ,また,海のうねりも凄かったが,もっともっとひどい日々もきっとあると思う。こういう環境を我が家として生活しているなんて,何てすごい生き物なのだろうと思う。ウミスズメやウミガラスの類は潜れるが,こいつらの生活域は海の表面だ。ミズナギドリやアホウドリのような長い翼も持っていない。
 生まれ変われるとしても,ミツユビカモメにはなりたくない。

090214ee_0566_2 090214ee_0143 090214ee_0578  羽色は全体に白っぽく,くちばしの色も独特だ。薄いレモン色にわずかに緑が入っているように見える。他のカモメ類のようなしっかりとした黄色味はない。
 また,飛ぶと翼の先の黒が目立つ。同じような大きさのカモメ類では,カモメも翼の先端が黒くなっているが,黒の入り方が全然違う。ミツユビカモメは,白い翼の先端を間違って墨に浸けてしまったようだ。 

090214ee_0480 090214ee_0503 090214ee_0516  この個体は翼の縁がぼろぼろに見える。冬越しのチョウの翅がぼろぼろというのはよく見られるが,カモメでこんなになっているのはあまり記憶にない。これまでどんな生活をくぐり抜けてこのようになったのかわからないが,平穏無事な生活を送ってきたとは思えない。
 「がんばったてきたね」と言ってあげたい気もするが,生きていくのはこれで終わりではない。

<ハシブトウミガラス>

 ウミガラスの仲間が頻繁に飛び始めたのは11:45頃の海域からだった。

 飛沫がひどくなってきた頃だったので,レンズに付く水滴で,観察するのも撮影するのも大変。しかし,撮影するチャンスは2回だけあった。

090214ee_0676 090214ee_0684_02090214ee_0687_00  現場では個別にウミガラスかハシブトウミガラスか識別できなかったが,写真に写っていた個体はすべてハシブトウミガラスだった。
 互いに良く似ている2種だが,冬羽では顔の白の入り方が全然違うし,夏羽になっている個体でも,太めのくちばしに白い線が入っているので明確に識別できる。

090214ee_0687_02 090214ee_0687_03 090214ee_1312  夏羽では,頭がすっぽり頭巾をかぶったようにまっ黒になっており,冬羽では,喉から頬にかけて白くなっている。この日はそのどちらも同じ群れの中に観察できた。
 横からの写真でもわかるが,後ろからだと次列風切羽の後ろの縁が白いのがさらによくわかる。

 今回は思うような観察ができなかったが,条件が良ければ,この航路でかなりの個体数を観察できると思う。

<コウミスズメ>

090214ee_1039 090214ee_1042  苫小牧が近くなってきてから,ちっぽけなウミスズメが何度も飛んだ。船上から見るとケシ粒のような大きさだ。
 コウミスズメだろうとは思っていたが,これも確信が持てなかった。小さすぎて写真でもちゃんと写っていないと思っていたので,識別は半ばあきらめていた。
 しかし,コウミスズメって,体はちっぽけながらも,遠くからでも識別できる特徴を備えていた。

090214ee_1331 090214ee_1333  トリミングしてもまだ小さく,また,飛沫の向こうのピンボケ画像なので,非常に見づらいが,翼の付け根にある肩羽の白が何とか判別できる。ここの白い部分はウミスズメ,カンムリウミスズメ,エトロフウミスズメともないようだ。マダラウミスズメは同じように白色が入っているが,これはウミガラス並の体格なので,全く違う。
 お腹が白いのもわかるし,目が白いのも写っている。

090214ee_1334  図鑑によると,コウミスズメは体長が12-15cmとウミスズメ(24-27cm)の半分くらいの大きさの鳥だ。スズメの14cmとほぼ同じ大きさだ。こんなに小さな鳥なので,大きな船の上から撮影するのは至難の業だ。
 写真はどうしようもないかもしれないが,出会えただけでも幸せだと思う。

 体が小さいってことは,頻繁に餌を食べてエネルギー補給しなければ生きていけないと思うのだが,一体何を食べているんだろう。出会える確率が高くて豊富な餌というと,オキアミやプランクトン様のものか。

<フルマカモメ>

 フルマカモメが出てきたのは午後1時頃の海域からで,以降,繰り返し出現してくれた。

090214ee_0914 090214ee_0930  この鳥は「カモメ」という名前が付けられているが,「なんちゃってカモメ」で,本当はミズナギドリの仲間だ。飛び方もカモメではなく,ミズナギドリそのものだ。背中とお腹を交互に見せてひらひら飛ぶ飛び方だ。実際にフィールドで見ると,経験の少ない私などは「ミズナギドリ」と名前の付く種類を最初に考えてしまう。

090214ee_1125 090214ee_0758  確かに,一般的なミズナギドリと比べると,体が太く,翼の幅が広いので,カモメのプロポーションには近い。くちばしも太くて黄色だ。「カモメ」と命名するのも,わからないではない。
 フルマカモメは,全身が灰色の暗色型と体が白い白色型がいるようだが,観察できた個体のほとんどは暗色型の方だった。図鑑によると,白色型はアラスカや東部アリューシャン海域に多いらしい。

090214ee_1250 090214ee_1318  フルマカモメは白色型から暗色型までさまざな段階の個体がいるようなので,体の色や模様だけで識別するのはむずかしいようだ。ミズナギドリにしてはぽったりした体型とユニークな形のくちばしが識別ポイントか。
 一般的な白色型は,体が白くて翼上面が灰色だということだが,今回何度か出現した白色型の個体は,翼上面も白い個体もいた。割合がかなり少ない白色型の中でもさらに少ないタイプだということだ。 

090214ee_0959 090214ee_0961 090214ee_0962  撮影の方はうまくできなくて残念だったが,肉眼(双眼鏡)では,「何だろう?」と思い,よ~く観察させてもらった。昨年入手して以来手放せなくなってしまった18倍の双眼鏡だが,今回はここで大活躍だった。おかげで,フルマカモメ白色型の翼上部に白色部が多いタイプもじっくり堪能させてもらった。

090214ee_1138 090214ee_1139 090214ee_1137  ミツユビカモメはワーッと出現して,サーっといなくなってしまうが,フルマカモメは比較的長い時間船と並走して飛んでくれるので,観察も撮影もしやすかった。後半は出現率もずいぶん高かったように思う。
 白色型を狙ったため,暗色型はおざなりにしか撮影していなかったが,白く泡立った海を背景にしたきれいな写真も何枚か撮影できていた。

<トウゾクカモメ>

090214ee_0892 090214ee_0876 090214ee_0872  トウゾクカモメがいた,と気が付いたのは家で写真を見てからだ。
 撮った記憶は全くなし。見た記憶もない。どういう気持で何の鳥だと思って撮影したのか,自分でもわからない。しかも,ピントがすべて後ろの海に合っている。それでも写っていた。こんなこともあるもんだ。
 複雑な気持ちだ。

<その他>

090214ee_1155 090214s_143090214s_150  期待した海獣類は大荒れの海のせいで全く観察できず。エトロフウミスズメなども期待したのだが,出会えず。
 海が荒れるのは望むところだが,船にびしゃびしゃ波がかかってくるのはもう勘弁だ。観察どころじゃなくなってしまう。
 おかげさまでこの回だけでは終われなくなってしまった。近い内にリベンジしたい。

090214s_155 090214s_166 090214s_170  到着した苫小牧では,荷物をターミナルのコインロッカーに入れ,苫小牧市内で飲んで時間をつぶし,21:15発の船で八戸に戻った。
 後で気が付いたのだが,仙台に直接帰るのだったら,19:00のフェリーに乗れば,10:00に仙台港に着く。今度はそういうコースも考えようと思う。寝台料金で比較すると6,750円と10,000円なので,JRや車の併用よりかなりお得だ。

【観察できた鳥】

オオセグロカモメ,ウミネコ,ウミウ,カンムリカイツブリ,スズガモ,ヒメウ,ハシブトガラス,カモメ,オオミズナギドリ?,ウミスズメ?,ミツユビカモメ,ハシブトウミガラス,ウトウ,コウミスズメ,フルマカモメ,トウゾクカモメ,シロカモメ (17種)

【写真】(ハシブトウミガラスの群れにウトウも混ざっていた。)

090214e_0021 090214ee_0002 090214ee_1329 090214ee_0687_04 090214ee_0693 090214ee_0757 090214ee_0914 090214ee_0918 090214ee_1125 090214ee_1129 090214ee_0472 090214ee_0564 090214ee_0565 090214ee_0595 090214ee_0605 090214ee_0659 090214ee_0666 090214ee_0722 090214ee_1012 090214ee_1024 090214ee_1109 090214ee_1184 090214s_136 090214s_143

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コメント

おおおお・・・ コウミスズメ 出会えて超ラッキーでしたね
目の白さがバッチリ 可愛いですねえ
コウミ・エトロフを見たかったら今の時期 最高ですね
フルマカモメ 先輩から教えてもらった最初の識別方法は「下向いてる」でした それからそれを目安に探すのですがほんとうに「下向いてる」でした~カモメと名がついているのに飛び方が全然違いますよね 間際らしい名前です

それにしても凄い波高です カメラ・スコープのお手入れ ご苦労様でした

投稿: かとぺー | 2009/03/15 20:33

かとぺーさん
早速のコメントありがとうございます。

コウミスズメはとてもちっぽけで,いじらしく,めんこい鳥でした。こんな荒れ海にこんな小さな鳥が生きているなんて凄いですよね。ぱらぱらではありましたが,この海域,この時期には結構沢山の個体が入っていましたよ。

投稿: yamame | 2009/03/15 22:11

波の高さから拝見すると4m以上は越えているように思います。飛島航路なら間違いなく欠航です。
これだけ荒れていると私だったら鳥をみているどころではなくて、船室でぐったりしていたことでしょう。でも海鳥観察は楽しいですね。2004年9月に大洗~苫小牧に乗ってから5年もたってしまいました。大洗まで行くのも大変ですが、ヤマメさんのレポート読んだらまた乗りたくなりました。

投稿: つな | 2009/03/16 06:49

つなさん,おばんです。
この日の記録がないかと気象庁のホームページを確認したら,「八戸」でこの日の平均風速が10.5m/s,最大風速が22.3m/s,最大瞬間風速が32.3m/sでした。大型台風並みの恐ろしい数値でした。海上はもっとあったに違いありません。ああコワ。知らなくて幸せでした。

でも,懲りずにまた挑戦したくなっています。1か月も経つとずいぶん変わっているでしょうね。

投稿: yamame | 2009/03/16 19:00

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