伊豆沼-蕪栗沼 2008/11/1-2
(11/1) 08:40 快晴のち晴れ
(11/2) 05:50 晴れ時々曇り
さあ,11月最初の3連休だ。ガンを見るのに一番良い時期の連休なので,多くの人たちが伊豆沼,蕪栗沼を訪れるだろう。人との出会いも楽しみだ。
また,人の目が多いので情報が行き交い,多くの種類が見やすくなる。
ということで,実はこの2日間で,大勢の方々とお会いでき,また,思いがけず,滞在中のガン類6種をすべて見ることができた。この2日間ここにいた鳥仲間は,皆そうだったと思う。目が多いってことは,こういうことだ。
いつものような時系列で書くと登場人物が多くなり,大変なことになるので,鳥の種類ごとに気ままに書き連ねることとする。
まずは,一番難易度が高いと思われるサカツラガンから。
この鳥を見つけてくれたのはYsさん。11/1は朝からサカツラガンをず~っと探していたのだが,見つからず,諦めムードが漂う中,お昼頃にご連絡をいただいた。2工区奥の小学校近くの田んぼにいるということだった。情報に大感謝だ。
急いで移動すると,車が並んでいたのですぐに場所がわかった。こういう情報は,あっという間に伝わるものだ。
最初は群れの中から見つけ出せなかったが,しばらく眺めていると,蛇のようなニョロッとした長い首がマガンやヒシクイの群れの中に見えた。独特のスタイルと色合いなので,一旦見つけるともう大丈夫。下を向いて餌を取っていても背中の色が微妙に違うようだ。
それにしても,Ysさん,よくこの大きな群れから見つけ出したものだ。頭を上げていればすぐわかるが,ほとんどの時間,右端の写真のような状態だった。
ここに集まった方々を見回すと,Ysさんのほか,Skさん,Igさん,Shさん,Hさん,皆,知っている方々だった。久しぶりにお会いできた方々も多い。サカツラガンの観察もそこそこに,だべってしまった。この時期はこういうことがあるから楽しい。
かなり距離があったので,撮影しても使えないかもしれないなぁ,と思っていたが,光の条件が良かったためか,かなりトリミングしても大丈夫だった。
見ていると何かの拍子に飛び立って,さらに向こう側の田んぼに移動した。おかげさまで,飛翔姿や単独の立ち姿もばっちり。遠かったがこれもなんとかなった。ラッキー。
そのうち,農作業の軽トラが畦道をやって来て,この周辺にいたガンたちを盛大に飛ばしてくれた。こういうのがないと,いつまでもずるずる見てしまいがちなので,ありがたい。ようやく別の場所を巡回できる。一緒に見ていた方々も分散し始めた。
そんなとき,ひと足先にいなくなっていたYsさんから再び連絡があった。今飛んだサカツラガンが3工区に降りた,という。しかも,近くから観察できるという。
この日のYsさんの引きの強さは凄いものだった。
現地に着くと,いた,いた。お話どおり,さっきとは比較にならないほど近い。しかし,喜んで撮影しようと思った途端,行動を共にしていた8羽のヒシクイたちの陰に隠れるようにして,お休みモードに入ってしまった。いつも思うのだが,寝ている鳥が起きるのを,じ~っと待っている私たちって,一体何者?
ところで,サカツラガンは「酒面雁」と書く。お酒を飲んだような顔の色だということだが,そうだろうか。「酒面菱喰」(さかつらひしくい)などと呼ばれていたようなので,昔の人たちにはそのように見えていたのだろう。しかし,よくよく見ると,胸から下と顔の色が同系色で,喉付近だけが白っぽく抜けているようだ。
また,サカツラガンは首が長い上にくちばしが太くて長いので,首を伸ばして歩くと,首から上が,ヘビのようだ。翌日,Kdさんとお話していたら,同じ印象を持っていたことがわかった。今回は叶わなかったが,いつか,ヘビに見える写真を撮ってみたい。
さて,午後3時が近くなってくると,周辺のマガンたちが飛び始めた。お昼寝タイムの終わり。周辺がだいぶ閑散としてきたので,サカツラガンとヒシクイの群れもそろそろ飛ぶ頃だろう。
と,思っていると,いきなり飛び立った。飛ぶ前に,すっくと立つ姿を見せてくれるのを期待していたのだが,首をもたげたかと思うと,あれよあれよという間に飛び立ってしまった。一番飛びそうなヒシクイを注意していなければいけなかった。
隣に車を停めていたShさんは外に出て準備していたのでバッチリ良いのが撮影できたようだが,車の中からではこれが精一杯。
見ることができたただけでも良し,撮影までできたら儲けもん,飛翔写真まで撮れたら大ラッキー,のはずだが,人とは欲が深いものだ。翌日見せていただいたSmさんのサカツラガン写真がとても羨ましく思えた。
この周辺に入っているサカツラガンはたぶん1羽だけだと思われるが,ハクガンは少なくともこの2~3日前までは3羽入っていたはず。目立つガンなので簡単に見つかるものと思っていたが,探しても探しても見つけることができなかった。結局,これも自力で見つけだすことができず,Igさんに情報をいただいて,ようやく見ることができた。
11/2朝のことだった。
教えられた場所に行ってみると,土手の上からハクガンが見えた。かなり遠いのだが,雪が積もっている時期でもないので,とても目立つ。双眼鏡で探すまでもなく,肉眼でその存在がわかる。
朝の光の中で,とても,とても,きれいだった。すぐに撮影すれば良かったのに,撮影しようとしたのは畔の向こう側に消えてからだった。でも,今回はこれで良い。Igさんに大感謝だ。
白いガンといえば,ハクガンの連絡をいただいたちょうどそのとき,部分白化のマガンを見ていた。場所は亀の子堤の北東側の田んぼだ。10/30に見たバフ変3兄弟ではなく,体の一部が真っ白なガンだった。ここの画像掲示板にKkさんが張ってくれたものと同じタイプだ。前回探しても会えなかったので,見つけて大感激だった。
最初に見つけたときは朝霧の中だったが,霧の中でもこの白はとても目立っていた。
10/30のバフ変3兄弟は体の色が全体に薄くなっていたが,この個体は普通のマガンの一部の色が抜けている感じだ。色が抜けている部分は,バフ色ではなく,ハクガン成鳥のような純白だった。とてもきれいだ。ただ,見方によっては,ドバト模様のようにも見える。こんな模様のドバトがその辺の公園にいてもおかしくない。
何度か飛んだ場面も観察することができたが,飛ぶと背中が白く,首と風切が黒かった。10月初めに伊豆沼で見たガンの中に翼が白いマガンがいたが,これではないと思う。
この後,こういうタイプのマガンをもう一羽見つけたのだが,今思い出してもムッとくる出来事が原因で,見つけた直後に見失ってしまい,以降,見つけだせなかった。
また,最初に見つけた部分白化マガンの近くに10/30に観察したバフ変3兄弟と同じように全身の色が薄いマガンも1羽入っていた。兄弟と似ているが,この個体は首の褐色味が強く,羽縁の白と体の灰色とのコントラストがより際立っている。また,近くにバフ変仲間の兄弟も見えない。断定はできないが,バフ変3兄弟の他の個体のような気がする。
今季はこんなのが多いようだ。何か変なことの兆しでなければ良いと切に願う。
カリガネも最初に見つけてくれたのは,Uさん,Smさんだったハクガンポイントから移動すると,そこに待っていてくれた。
Smさんのスコープを覗かせていただいて,場所を確認。5羽の家族を観察できた。遠くってもめんこさに変わりなし。
これ以外にもこの群れの中に入っていたようだ。私には見つけられず。
この後,コンビニに昼食を仕入れに行く途中で,また2羽のカリガネを見つけた。
この2日間,親切な鳥友人の情報なくして何も見ることができない状態だったが,ようやく自力で見つけられた。ただ,サカツラガン,ハクガン,シジュウカラガンはまだしも,カリガネ程度では情報を流せない。
最初,2羽が並んで歩いているところを見つけたので,角度を変えて見やすい方に移動したら,皆,お休みモードに入ってしまっていた。こういう状況でカリガネを探し出すのはかなり厳しいのだが,この群れの中にいるのがわかっているので,あきらめられない。
少しずつ車を移動しながら,丹念にゆっくりと探して,ようやく見つけた。寝ていて目を閉じているときは全然わからなかったが,わずかに目を開けると,黄色のアイリングが見えた。
起きるのをしばらく待っていたが,寝たまんまでなかなか起きない。そろそろ諦め,お昼を仕入れに行こうかと思って目を離した隙に起き上がっていた。2羽のうち1羽が成鳥,1羽が幼鳥だった。
起き上ったものの,親はまだまだ休憩モードが続く。子どもはその辺をウロチョロ動き回る。人間と一緒だ。
それほど長い時間ではなかったが,しばらくぶりで近い所からじっくりとカリガネを観察できた。それにしても,なんでlこんなにめんこいんだろう。誰もが皆好きだと思う。
また,寝起きだったので,子どもの羽ばたきも,親の羽ばたきも,両方見ることができた。羽ばたいているときは,お腹の模様もよくわかる。子どもは黒斑なし。
雲がかかっていたので,光の方向がよくわからなかったが,雲が抜けて日が射すとモロ逆光だった。これじゃ良く見えない。逆光だと写真を撮っても黒くつぶれるかもしれない。立ち去るとき,親子が並んだ後ろ姿を見せてくれた。
これがこのときのベストショットかな~。・・・,マガンだかカリガネなんだかわからない写真だけど。人間でも何でも,親子の後ろ姿って,グッと感じるものがある。
シジュウカラガンは,Smさんから連絡があった。ここまでに5種見ていたので,シジュウカラガンを見るとガン類6種全部見たことになる。親切な鳥仲間のおかげだ。
本当にありがたし。
ご連絡を受けてすぐに現場に向かったが,すでに鳥仲間の車がズラ~ッと並んでいた。SmさんやUさん,Igさん,Kdさんなどのほか,福島のOkさんや岩手のTmさんなども来ている。
Smさんに教えていただいた方を見ると,いた,いた。しかも,3羽。すげ。
残念ながらお休みモードだったが,顔がすっかり見えなくなったわけではない。存在はわかる。近くにUさんがいたので,もしかして全部首輪ありタイプ? と聞くと,その反対らしい。おぉ,凄い。良く見ると確かにそうだ。
Igさんなどは,右端のが一番それっぽい,なんて言っている。
図鑑やネットで調べてみると,シジュウカラガンの学名は,Branta canadensis (英名 Canada Goose)で,亜種シジュウカラガンは,これに leucopareia (英名 Aleutian ,生息地より命名?)という亜種名が付く。ヒメシジュウカラガンは,minima (英名 Cackling ,鳴き声より命名?)という亜種名だ。
日本鳥学会の「日本鳥類目録(改訂第6版)」にはこの2亜種のみ記載されているが,亜種が多いガンのようだ。
調べてわかったヒメシジュウカラガンの野外識別のポイントを拾ってメモしておこう。
1 白い首輪がない。(あっても微か)
2 くちばしがとても短い。
3 頭が丸っこい。(嘴~頭部)
4 胸がよく紫色を帯びる。( leucopareia は紫色を帯びることがない。)
ポイント1の特徴は亜種シジュウカラガン若鳥も同様なので,首輪の有無でヒメの可能性を疑った上で,2~4のポイントで識別するのが良いかもしれない。
3に頭の形の特徴があるが,亜種シジュウカラガンは,前頭部がせり上がり気味で頭頂部が平らで四角く見えるようだ。このほかにも,体が小さいなどの特徴があるが,フィールドでは上記の4点が最も役に立ちそうだ。
なお,この記載にあたっては,「雁を保護する会」のホームページ「カリフォルニアに現れるカナダガンの亜種に付いての野外での特徴」と,手持ちの図鑑「The SIBLEY Guide to Birds」を参考にさせていただいた。
さて,写真をチェックしてみよう。
画像が悪くなって,ざらざらになっているが,左側の3枚がここにいた3羽のシジュウカラガンだ。米粒ほどの大きさに写っているのを思いっきり拡大した画像なので,ざらざらだ。4枚ある内,右端の1枚は比較対照のために張った亜種シジュウカラガン(首輪なしタイプ=若鳥,10/13撮影)の顔だ。
この3羽のどれもが比較対照用の個体よりくちばしが小さいが,特に左から3番目の個体は,頭の形が丸っこく,他の個体とは違っている。くちばしからおでこにかけてなだらかだ。この個体が,現場で「一番それっぽい」と言われていた個体だ。左端の個体はくちばしが小さいものの,頭の形が四角っぽい。左から2番目のも微妙だ。
一番それっぽいのをもっと良く見たかったのだが,寝ていた上,角度が悪かった。飛び立つ前に,こちらを向いている1枚だけ全身写真を撮影できたが,これだけだ。この写真では胸は紫色を帯びていないようだ。
飛んでしまい,あ~あ,と一旦諦めたが,あそこを飛んでいる,と,Uさんに教えていただいた。ホントだ。飛んでいる。
あわててカメラを三脚から外し,手持ちで撮影を始める。
明るかったので,手持ち撮影でもそうそうぶれることはなかった。何度か上空を旋回してくれたので,ゆっくり撮影できたが,近くを飛んでくれることがなかったのが残念。
最後に,大きな田んぼ1枚隔てた向こう側の田んぼに降り立った。
山ほど撮影した飛翔写真の中から,それっぽい個体を抽出して,拡大してみた。ポイントは頭の形。前頭部が出ておらず,くちばしから頭頂部に向ってなだらかになっている個体を探した。こんなんでどうだろう。当てずっぽうに近い。全然自信なし。
どうも飛翔写真では特徴が出にくいようだ。
この後,やはりこの個体のことが気にかかったので,周囲にいる方々に断った上で,遠くに降りたシジュウカラガンにもっと寄れるかと挑戦してみた。土手の上からだったが,あえなく失敗。見事に全部飛ばしてしまった。申し訳なくて,しばらくへこんでしまった。恥ずかしいことこの上なし。
ヒシクイは見るたびに亜種オオヒシクイか亜種ヒシクイか悩んでしまう。蕪栗沼の中にいるようなくちばしが明らかに大きくて真っ直ぐなのは亜種オオヒシクイと断言できるが,伊豆沼の田んぼで見るときは微妙なのも多い。ハシブトガラスとハシボソガラスを意外に混同してしまうのと似ているかもしれない。
さて,ここに写っているヒシクイはどちらだろう。
これで一応6種類のガンについて全部掲載したことになる。記してきたようにこんなに見ることができたのは鳥仲間のおかげで,心から感謝している。ひとりで探せば,1回の鳥見行で1種も珍ガンが見つかれば御の字だろう。
ガン以外では,この連休にかけてハクチョウ類がとても多くなったのにびっくりだった。10/30に行ったときと11/1に行ったときを比較すると全然違う。オオハクチョウもコハクチョウもだ。この間の1日2日で飛来してきたのだろう。
ハクチョウは田んぼで泥だらけになって餌を取っている姿がとても好きだ。
ところで,今季は全国各所の餌場で組織的に餌を与えることを止めたようだ。伊豆沼周辺でも同様だ。これまで人の給餌により,多くの個体が冬を乗り切ってきたと思われ,今季もそれを 当てにして 餌場に飛来している個体も多いだろう。
「給餌が良いことだ」,などと言うつもりは毛頭ないが,今までず~っと継続してきたことを突然止めてしまう,ということには違和感を覚える。
ニュースなどを見ていると,「本来ハクチョウは人からの餌に頼る生き物ではないので,自然の姿に戻すため」,と,きれいな言葉で語られることもあるが,本当の理由はそうではない。
もし,これが理由だとしたら,昔,小学校の国語教科書にも載った瓢湖の吉川さん親子って一体何だったの? となる。
実際は,この春に十和田湖畔で見つかったハクチョウの死骸から強病原性のH5N1 亜型インフルエンザウイルスが検出されたことに端を発しての行政的措置だ。11/8の河北新報の報道によると,青森,岩手,秋田,宮城の東北4県で,県から市町村に対し,自粛要請が出ているようだ。一般の市町村は県の要請を素直に受けて動くものだ。
現に,とりのなん子さんの「とりぱん」に頻繁に出てくる盛岡市内の「高松の池」も,県の要請を受け,餌付け禁止の看板が設置されるようだ。
餌場は大抵糞だらけで,あまり衛生的ではないので,万が一,人にも感染する鳥インフルエンザウィルスが発生していたら,危険この上ない場所となる。多くの人命に関わることなので,人と鳥が交錯する餌場をなくしてしまうことも,合理的な選択肢かな,とも思う。
しかし,ハクチョウや周辺住民の立場に立つとビミョーだ。
鳥に限らず自然の生き物は様々な病原菌を持っていることが当たり前だ。あまりヒステリックに反応せずに,まずは手洗いやうがいを大きくPRすることが大切なのではないだろうか。
杞憂とは思うが,栄養不足により抵抗力がなくなったことが原因で,水鳥に鳥インフルエンザが大流行することも心配だ。鳥見をしていると,ハクチョウの死体と出会うこともあるが,栄養不足や病気で命を落とすハクチョウを,今季,いたる所で見ることがないよう切に祈っている。
現在進行形でコトが動いている。どうなるんだろう。
さて,ずいぶんずれてしまったようだ。
話をフィールドに戻して,最後にねぐら入りのことを記し,すっきりと締めよう。
ねぐら入りは,11/1に伊豆沼で,11/2に蕪栗沼で,それぞれ観察してきた。
伊豆沼では,オレンジ色になった雲をバックに日没まで2工区でガンを楽しんだ。
10/30に来たときは,沼の向こうに落ちる陽を見たくて,日没前に沼に移動したが,今回はここで日没を待った。いずれ,ガンたちがねぐら入りするのは日没後が中心になるので,あわてることはない。
ここでは,沈む太陽をバックに飛ぶガンたちを山ほど撮影して楽しんだ。
ねぐら入りは,土手道の中央付近にある「市営駐車場」に車を止めて,その周辺の土手の上から見ることが多いが,今季ガンたちが降りる場所は,昨年よりも西側に移動したようだ。もしかすると,もっと西側の農道との三叉路になっている空地に車を止めて,その周辺の土手から見た方が良いかもしれない。
陽が沈み次第に暗くなっていく中,空には三日月が輝いてきた。その上に金星も。さらにその上に木星もだ。こうした光景の中を,大きなガンの群れが,時間をおいて飛んでくる。とくに2工区に集まっていたガンたちは,私たちの上を通過してねぐら入りするので,そのときはなかなかの迫力だ。
伊豆沼のねぐら入りは,四方八方からガンの群れが多数飛来し,ひらひらときりもみしながら広い水面に降りて行く。きりもみしながら急降下する様子が,ガンが落ちて行くようなので,「落雁」というらしい。だから,こだわりのある方は,蕪栗沼のねぐら入りは,ガンがきりもみして急降下するものではないので,「落雁ではない」という。
なお,3枚の写真の内,右端の写真はガンではなくカモだ。ねぐら入りするガンと交替するようにして,湖面から田んぼに出勤して行くところだ。カモの仲間は夜に田んぼで餌を取っているようだ。
この日の伊豆沼では,今年も草加のTfさんたちとご一緒できた。
蕪栗沼に行ったのは翌日だった。前日に伊豆沼のねぐら入りを観察したので,蕪栗沼の方がどんな状況なのか確認したかった。
ぐずぐずしていたので到着がぎりぎりになってしまったが,北側駐車場に車を置いて,蕪栗沼と白鳥地区の間の土手道のポイントに着いたときは,まだねぐら入りが始まっていなかった。雲がかかっており,この日は日没を見ることができなかったが,暗くなっていくなか,蕪栗沼がそれ自体とてもきれいだった。
ここは,伊豆沼のような広大な水面ではないので,比較的限られた場所に降りてくる。そのためか,ガンの群れはすぐに降りないで,沼の上空を何度も旋回してから降りてくる。このとき,上にも書いたが,確かに,きりもみしながら降りることは少ないようだ。
しかし,きりもみする落雁を見ることができないからと言って,伊豆沼より劣っている,というわけではない。この「旋回」というのが曲者だ。数万羽のガンたちが,空を埋め尽くして「旋回」している光景が想像できるだろうか。これは体感してもらうしかない。
また,伊豆沼では,周辺田んぼに集まったガンが四方八方から飛んでくるが,ここでは蕪栗沼に隣接する白鳥地区にガンたちが一旦集結し,そこから大きな群れが沼に降りてくる状況も体感できる。「体感」と書いたのは,まさに文字どおりで,白鳥地区に集結したガンが飛び立つとき,ドーンと地揺れがするような音が響き,その後,空一面がガンの姿と声で満たされる。
これで感動しない人は,人ではないと思う。
特に今季はガンたちが降りてくる場所が近いようなので迫力を増しているかもしれない。昨季は向って左手奥の川の方から埋まってきて,そこからあふれるようにして沼に入ってきていたが,今季は最初っから沼の向こう岸に降りてきていた。
もしかすると日によっても違うのかもしれないが,沼に降りてくるのが目前で見られる,ということだ。
迫力の点からすると,今季は蕪栗沼のこのポイントがとても良いと思う。
ただし,車を置いて10分以上歩く場所なので,帰りの暗い道には気をつける必要がある。新月や厚い雲で空が覆われた日は,真っ暗な中を歩かなければならないので,要注意だ。バスで来るような大人数で見学するのであれば,危ないし,人に迷惑をかけるので,ここは無理。伊豆沼の方が良いだろう。
今回は短くあっさり書こうと思って2日分をまとめたのだが,かえって長くなってしまった。余計なことを書きすぎた。オヤジや年寄りは話が長いというが,私も立派にその仲間入りをしたようだ。全部読みとおしてくださった方がいらっしゃったら,心から感謝申し上げたい。
お疲れ様。
【観察できた鳥】
ハシブトガラス,スズメ,カワラヒワ,マガモ,オオハクチョウ,マガン,コハクチョウ,ジョウビタキ,ハシボソガラス,オオバン,アオサギ,ハクセキレイ,タヒバリ,ミヤマガラス,ノスリ,ヒドリガモ,キンクロハジロ,カシラダカ,トビ,オナガガモ,ヒバリ,シジュウカラ,オオジュリン,ホオジロ,ウグイス,モズ,キジ,ムクドリ,ヒシクイ,コゲラ,ホシハジロ,サカツラガン,カリガネ,モズ,キジバト,ハヤブサ,ベニマシコ,ハクガン,セグロセキレイ,シジュウカラガン (40種,内ガン類6種)
【写真】(伊豆沼産直店の赤豚メンチカツは外がサクサク。キジはずいぶん大人になってきた。)
「0501 宮城県/伊豆沼」カテゴリの記事
- 伊豆沼 2018/10/28(2019.02.03)
- 伊豆沼 2018/10/07(2019.01.20)
- 伊豆沼 2018/09/28(2019.01.16)
- 伊豆沼 2011/10/29(2011.11.03)
「0502 宮城県/蕪栗」カテゴリの記事
- 蕪栗沼 2020/01/19(2020.01.26)
- 蕪栗 2018/10/28(2019.02.02)
- 蕪栗 2011/09/25(2011.10.11)
- 蕪栗 2011/05/08(2011.05.15)
コメント
yamameさん 今年もフィールドでお会いできて大変嬉しかったです。情報もいただいたのですが、うまく活用できず今回はマガンとヒシクイで満足しました。
2日は花山湖に移動したのですが、湖畔の売店が閉まっていて地震の爪痕を直に感じました。
去年のようにクマタカは発見出来ませんでしたが、湖上にマガン50+の群とカンムリカイツブリを見て、周辺ではカシラダカの群をじっくり観察できました。帰りはラムサール条約に登録された化女沼に移動しました。私はダムの出きる前に一度訪れていて、あまりの変わり様に驚きました。帰りは長者原SAから入りタン塩丼930円をいただきました。これは絶品です。
来年は携帯電話を使ってのやりとりをお願いいたします。
投稿: つな | 2008/11/08 20:49
> 来年は携帯電話を使ってのやりとりをお願いいたします。
そうなんですよね~。実は,以前飛島でつなさんからいただいた名刺を持って行っていて,携帯番号が入っているものだとばかり思っていたのですが,入っていなかったんです。連絡が取れずに残念でした。人が多く入っているときは携帯のやり取りは必須かも。
ちなみに,長者原のタン塩丼はよく知っていますが,これで驚いていてはいけません。今度いらしたときはぜひ仙台にお泊りください。ご案内いたします。
伊豆沼まで1時間ですので,宿泊圏内ですよ。
投稿: yamame | 2008/11/08 22:13
yamameさん そういうことでしたら今度仙台に伺います。よろしくお願いいたします。
投稿: つな | 2008/11/10 20:25
yamameさん、伊豆沼の便りをありがとうございます。今年も行く予定ですが、サカツラガンはずっと前に九州で見たきりなので、ぜひともお目にかかりたいです。
投稿: ペン | 2008/11/10 21:01
つなさん
ご連絡いただくのを楽しみにお待ちしております。
ベンさん
サカツラガンは難易度が高いかもしれません。こだわらずに伊豆沼・蕪栗沼周辺のガンたちを満喫いただきたいと思います。11/5の調査ではもう10万羽を超えたようです。これでも出足が遅いんだ,とか。
投稿: yamame | 2008/11/11 06:53
yamameさん、先日はお世話になりありがとうございました。
おかげで、サカツラを堪能することができました。
私どもだけでは到底見つけられなかったと思います。
第一発見者のYsさんにも感謝しております。
どうぞよろしくお伝えください。
また、伊豆沼・蕪栗沼詣での際にはよろしくお願いします。
投稿: sasaki@秋田 | 2008/11/12 08:19
書き込みありがとうございます。
学生時代,サークルのノートに落書きしていた延長で,恥ずかしながらまだこんなことやってます。
またのお越しを楽しみにお待ちしています。
投稿: yamame | 2008/11/12 19:58
yamameさん今晩は、先日はありがとうございます。サカツラの飛翔写真いいですね。さすがのワンショットというかんじですね。私は決して引きは強くないですよ。どちらかというと鳥運の無さを嘆いている毎日です。yamameさんは白いのもアイリングも見ていていいな~と思いました。今後ともよろしくお願いします。
投稿: yas | 2008/11/12 21:32
yasさん,おばんです。
はっきり言って,この日の引きの強さは只者ではなかったと思います。集まった並みいる猛者を凌いでいました。最初に発見して,しかも飛んだ後にまた別の所で見つけるなんてありえないです。この日に宝くじを買えば凄かったかもしれないです。
sasaki氏共々,心から感謝申し上げます。
投稿: yamame | 2008/11/12 22:40
私はサカツラに2回会うよりハクガンやカリガネに会いたかったです。
投稿: yas | 2008/11/13 21:13
贅沢言ってはいけません。サカツラは今もなお一番難易度が高いようです。
投稿: yamame | 2008/11/14 18:23
そのようで贅沢でした。今後は昨年皆さんが驚喜したレアガンの群れに期待です。黒い群れ来たみたいですけど・・・
投稿: yas | 2008/11/14 22:56
昨日ほっぺが白い群れを見てきました。まだまだお楽しみは続いていますね~。
投稿: yamame | 2008/11/16 07:51