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2008/06/03

県南沿岸 2008/05/25

(鳥の海) 10:30 曇り

 この日は前日の続きを回ることにした。まずは鳥の海に向かう。

080525_0118 080525_0075 080525_0210  いつものようにプレジャーボートの船着場から巡回始めると,空からキュィ,キュィ,…というにぎやかな声が聞こえてきた。あれ,ここにも,と思い,確認すると,やはりコアジサシたちだった。20羽弱の群れだ。盛んに飛びこんで餌を取っているのもいれば,ブイに乗っかっているのもいる。前日に別の場所でも会っているが,ここでは思いがけず,嬉しい出会いだった。

 もう四半世紀前にもなるだろうか。

080525_0398 080525_0282 080525_0283 080525_0285  コアジサシは,ごく普通に見られた鳥で,秋田の実家近くの雄物川河口付近にも毎年たくさん営巣していた。学生時代は夏の帰省のたびに見に行ったものだし,会社が倒産して一旦実家に戻ったときも,砂浜に座って,長い時間見ていた記憶がある。
 ちなみに,職を失ったのは,恩師の進学の勧めを蹴って,なおかつ,親や当時から付き合っていた妻の反対を聞かず,変な所に就職した結果だった。今も昔も人の言うことを聞かないのは同じだが,あの頃は今でも夢に出るくらい不安で一杯だった。

080525_0286 080525_0292 080525_0293  コアジサシは,魚を捕まえるまで,繰り返し,繰り返し,あきらめることなく水に飛び込む。体が小さいので迫力はないが,ホバリングしては,ポチャン,ポチャンと何度も挑戦する。そんな姿が好きで,飽きもせず眺めていた。また,がんばって捕まえた魚を,好きな人にプレゼントする姿も好きだった。もちろん,白くて清潔感のある色合いにシャープな翼の姿形も好きだったが,それ以上に,こうした行動が人臭くって,とても親近感が持てた。

 当時は,コアジサシが一番好き,と迷うことなく言っていたものだった。
 今でこそ「一番好き」と言い切れなくなってきたが,この鳥には,私の人生の頑張り所でずいぶん勇気づけられたと思う。特別の鳥には違いない。

080525_0327 080525_0333 080525_0337  この日もホバリングしては飛び込み,捕らえた魚を♀にプレゼントしている姿が見られた。つらつらと昔のことを書いてしまったが,コアジサシとこうした思い出は私の中ではセットになっている。
 上の写真は本文と関係なく,この日に撮影したものだ。ホバリングしてから飛び込む一連のものや♂が♀にプレゼントしているところを張っている。

080525_0169 080525_0164 080525_0160  他の鳥もそうだが,コアジサシも愛すべき鳥なので,まだ見ていない人がこの文章を見ていたら,ぜひコアジサシと会って,この鳥と気持ちを共有してみることをお勧めする。レッドデータブックに掲載されるような希少種になってしまったので,コアジサシに興味を持つ方やコアジサシファンが一人でも増えてくれれば良いと思う。 

080525_0346080525_0347080525_0349 さて,気分転換にこんなユーモラスな写真も張っておこう。これを見てクスリと笑っていただければ幸いである。笑えた人は私の友人である。くれぐれもコーヒーや牛乳を口に含みながら見ないようにしてほしい。パソコンが壊れても保障しかねる。ちゃんと左から順番に見ていただきたい。
 右端の写真で,ズルッと滑った短い足が何ともいえず,めんこい。
 味わい深い1枚だ。

 さて,コアジサシで長くなってしまったが,別の鳥にいこう。

080525_0510 080525_0504 080525_0536 080525_0552  鳥の海のシギチは,前日の霧が晴れても,観察できた鳥はほぼ同じだった。キアシシギにチュウシャクシギ,その他にはオオソリハシシギとシロチドリ程度だった。浜の方もずっと歩いてみたが,何も見つけることができなかった。コアジサシの営巣もここでは確認できなかった。ここで営巣したのは2003年のことだが,それ以来,姿は見えても営巣するところまでは見ていない。残念なことだ。

 この海岸は,確かに,歩くとキュ,キュ,と音がする鳴り砂だった。

 この後,南に移動しようと,一旦サギ類のコロニーの前を通り過ぎたが,思い直して引き返した。たまには観察しておかなくっちゃ。

080525_0800 080525_0827 080525_0625  ここは鳥の海の南側の車道沿いで,地図で見ると「長徳寺」というお寺の林になっている。しっかり調べた訳ではないが,少なくともダイサギ,チュウサギ,コサギ,アマサギ,ゴイサギがここに集団で営巣し,子どもを育てている。時期になると車道沿いの側溝に巣立ち雛が落ちていたりする凄い場所である。
 普通に車や自転車,人が通る場所なので,鳥たちに気兼ねなく観察できるのが良い。

080525_0597_up 080525_0581 080525_0583 080525_0587  道路沿いに普通に良く見られるのはコサギなのだが,この日はチュウサギの方が目立っていた。いろんな個体がいたが,特に目を引いたのが目が赤くなった2羽だった。ちょうど「恋の季節」に当たっていたようで,まさにテンパった状態のように見えた。目が赤いのもそうだし,頭の毛を立てたり寝かしたりしているのも,そんな感じだ。

080525_0660_3 080525_0688_2 080525_0697 080525_0700  私が持っている三省堂の新明解国語辞典で「恋愛」を引くと,「特定の異性に特別の愛情を抱いて、二人だけで一緒に居たい、できるなら合体したいという気持を持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる(まれにかなえられて歓喜する)状態」とある。
 この2羽は,まさに「まれ」の状態にある鳥たちのようだ。 

080525_0720 080525_0755 080525_0774 080525_0789  2羽が寄り添って,クジャクのように飾り羽を広げたり,すり寄ったりし始めたと思ったら,♀が受け入れポーズを作り,それにうながされるように♂が上に乗っかった。
 最近,人を人とも思わないような殺伐とした事件が続き心が暗くなることが多いが,鳥たちはこんな純粋な姿を見せてくれている。こんな光景で心が温かくなるのは私だけだろうか。

 500mmレンズしか持って行かなかったので,精一杯下がれるだけ下がって撮影したのだが,近すぎてどうしてもはみ出てしまったのが,嬉しく,また,残念だった。

 この後,前日に行ったコアジサシポイントに行ったのだが,覗いてスーっと蒼ざめた。昨日抱卵していた場所にコアジサシがいないではないか。前日に私が立ち去るまでは確かに抱卵していた。金・土の深夜にバイクを乗り入れて遊ぶ若者たちがいる,と聞いたが,前夜は雨。雨の中大事なバイクを酷使する奴はいないだろう。もしかすると,車がひいてしまったのかと,周辺を探してみたら,巣にきれいに卵が3個並んでいた。
 一体どうしてしまったのだろう。放棄してしまったのか。

 しばらく佇んでいたが,海の方にコアジサシの大きな群れが飛んでいるのが見えた。取りあえず浜辺に向かった。

080525_0971 080525_1051 080525_1087  行ってみてびっくり。大興奮だ。前日は抱卵しているコアジサシに遠慮し,入口付近でうずくまったまま動かなかったので,浜辺がこんなになっているとは思いもよらなかった。こちらには100羽を下らないコアジサシたちが集まっていた。久しぶりの光景。嬉しいったらない。普通の生活を送っていて,こんな気持ちを味わえることって稀だと思うが,鳥とお付き合いしていると,しばしばだ。これだから鳥の世界を抜けられない。

080525_1251 080525_1254 080525_1257  例のごとく,小さくなって見ていると,面白い行動が見られた。
 魚をくわえて女の子にプレゼントしようとしているのは若い男の子なのだろうか。ず~っと魚をくわえっぱなしなのは,たぶんもらってくれる相手が見つからないのだろう。私が見てもおいしそうに見える魚なのだが,どの女の子も受け取ってくれない。それどころか,ぜひ,ぜひ,と追いかけると,しつこいのは嫌!とばかりに攻撃される始末だ。

080525_1543 080525_1587 080525_1589 080525_1592  拒否した女の子には,もうそれぞれ彼氏がいるようで,毛嫌いした男の子を尻目に,お相手の彼氏が魚を持ってくると,上空にいるうちから口を開けて大騒ぎする始末。私の目から見るとどれも同じように見えるのだが,彼女たちにしてみると,自分の彼氏は特別なのだろう。しっかり区別していた。どこで区別しているのだろう。
 降りた瞬間に彼が持ってきた魚をもらって,おいしそうに飲み込んでいた。

 中には,彼氏以外の奴から魚をもらって浮気する彼女も観察されているようだが,それは人間の世界と同じ。変なのも混ざっているようだ。

080525_1461_2 080525_1687 080525_1709 080525_1873   想いの彼女に魚を食べてもらった男の子の仕種も面白かった。たぶんプロポーズを受け入れてもらったのと同じなのだろう。嬉しさで体をはちきれそうにしながら,女の子の周りを肩をいからせながらぐるぐる回る。どうだ,俺って格好良いだろう,と言わんばかりだ。自らすすんでプレゼントをもらった女の子は,姿勢を低くして,そんな彼を受け入れようとしている。

080525_1643 080525_1805080525_1546   コアジサシの世界では,能力のありそうな伴侶を選ぶ立場にいるのは,どうも女の子のようだ。男の方はめげずにおいしそうな魚を捕えて,振られても振られてもプロポーズを続けるしかないようだ。季節が通り過ぎてもさえずり続けている若い小鳥たちのようなものかもしれない。今季はずっと誰にも魚を受取ってもらえない奴もいるだろう。魚をくわえたままうろついている男の子が何羽も鉢合わせしたのには笑ってしまった。
 それはそれで彼の人生だ。頑張ってほしい。

080525_1723 080525_1725 080525_1729  ところで,このカラスは何を狙った訳でもなくたまたまここに来たと思う。ここは卵も雛もない場所だ。しかし,コアジサシたちの反応は敏感だった。守るべきものがまだないにも関わらず,カラスに対してはモビングを,即,始めた。とても勇敢で攻撃的だ。
 攻撃されたカラスはすぐに飛び去って行ったが,カラスに狙いがあるときはこんなに簡単に逃げていかないことを,コアジサシも私も知っている。時期になったのときにカラスが飛び去るのは,雛をくわえてからだ。だからこそ,今から過敏にならざるを得ない。

080525_2002  2時間ほど波打ち際でうずくまりながら観察した後,戻ってみると,な~んだ,ちゃんと元通り抱卵していた。さっきは何でいなかったのだろう。暖かかったので砂があったまって卵を抱く必要がなかったのか。それとも,ひとりさびしく卵を抱いているのに飽きたのか。もしかすると,この近くが人の通り道になっているのでプレッシャーを感じてしまったのか。
 いずれ戻ってきてくれたのでひと安心だった。

080525_1887 080525_1903 080525_1944 080525_1942  海岸からの出口のところで,飛んでいるところの撮影をしてなごりを惜しんでから,この日は引き揚げた。落ち着いて繁殖できる環境にはない場所だが,昨年に続いて,飛来して来てくれている。しかも数が増えている。地元の方にお聞きすると,魚が豊富に集まる場所らしいが,人が多く出入りする場所で何の制限もかかっていないので,繁殖のことを考えるととても心配だ。うまいこと折り合いをつけてくれれば良いのだが…。

 蒲生の保護区画や仙台港の人が出入りしない場所など,落ち着いて子育てできる場所もあると思うが,コアジサシにはコアジサシの都合があるのだろう。

 帰り道,岩沼の田んぼを巡回してみたが,特筆するべき鳥は見つけられなかった。

【観察できた鳥】(鳥の海のみ)

ウミネコ,ハシブトガラス,ヒバリ,キジバト,トビ,コアジサシ,キアシシギ,ウグイス,チュウシャクシギ,オオソリハシシギ,オオヨシキリ,カワラヒワ,ハクセキレイ,カッコウ,セグロセキレイ,カルガモ,アオジ,コサギ,ゴイサギ,コヨシキリ,シロチドリ,コゲラ,スズガモ,スズメ,ヒヨドリ,ムクドリ (26種)

【写真】(左上から,目先が赤くないコサギ,目が赤くないチュウサギ,杭の上でさえずるヒバリ,ヨシ原のどこかにいるコヨシキリ,コアジサシ×たくさん,汀のミユビシギ×3,海辺のセグロセキレイ,田んぼのアオサギ,田んぼのアマサギ,オオヨシキリ)

080525_0572 080525_0648 080525_2037 080525s_029 080525_1147 080525_1194 080525_1292 080525_1298 080525_1307 080525_1339 080525_1351 080525_1419 080525_1494 080525_1512 080525_1537 080525_1626 080525_1648 080525_1730 080525_1741 080525_1825 080525_1898 080525_1899 080525_1900 080525_1901 080525_1906 080525_1907 080525_1934 080525_1937 080525_1939 080525s_018 080525_1565 080525_1141 080525_1828_02 080525_1133 080525_2013 080525_2079 080525_0020 080525_2059

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コメント

yamameさん、読ませていただきました。
私も、コアジサシ、だ~い好きです。
古最上で、初めて一羽を見た時もすっごい感動でした。毎年1羽しか見てなかったのですが、3年目に2羽を観察した時は、もっと感動でした。(増える予感がしたもんで。)でも、去年はあまり古最上に行かなかったので、確認してません。今年はどうなのか、今週末行ってみたいと思います。

そして、今回、コアジサシをいっぱい見ることができて、大興奮でした。ありがとうございました。
ちょくちょく、毎年、行くことなりそうです。皆で、見守ること、大賛成です!

投稿: KAN | 2008/06/03 23:22

熱いコアジサシファンが増えたようで嬉しい限りです。心配なことが山ほどある場所ですが,今年も来年もその次もずっと来てくれるのを願っています。
そういえば山形では内陸でもコアジサシを見れるんでしたね。通過しているんじゃなくて居ついているんでしたっけ? 白竜湖ではよく見ますよね。

投稿: yamame | 2008/06/04 06:53

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