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2007/07/08

石巻 2007/06/25,07/01

(0625) 05:40 曇りのち晴れ
(0701) 07:15 晴れ

 連絡をいただいた。「出た」という。情報に感謝。
 アボセット(ソリハシセイタカシギ)が滞在していた間,2回見に行ったので,まとめて記録することとする。

[概要]
070625_0045  「ソリハシセイタカシギ」って,名前が長いし,たぶん言いにくいのだと思う。和名より英名の「アボセット」を使うことが多いようだ。英名の「Pied Avocet」の「Pied 」は「まだらの」という意味。「 Avocet」の語源を知りたくて娘の辞書を引いたら,「ソリハシセイタカシギ」と書いてあるのみだった。元々はどういう意味だったんだろう? アメリカには首の色がアマサギのようなAmerican Avocetってのもいるようだ。

 宮城県では,1974年4月の蒲生,2004年5月の石巻に続いての3例目のようだが,ネットで検索すると全国的には意外に出ているようだ。3羽の群れの写真もあった。鳥見人の目が増えてきているので,これからもっと出る鳥かもしれない。

070701_0465  6/25に行ったときは,沼の数か所に飛んで移動し,やや落ち着かない感じだったが,7/1は私が着いた7時過ぎから立ち去る14時過ぎまでずっと同じ所を行き来して落ち着いていた。飛来してまもなくと落ち着いてからの差かもしれないが,1回目のときは鳥見人5人,2回目のときは私1人という事情もあったかもしれない。
 関東だったらカメラマンが数百人集まるところだろうが,こちらでは珍鳥が出てもこういう状況だ。

[全身]
070701b_483070701b_394070701b_551  白黒のコントラストが美しい鳥だ。頭頂から首の後ろまでと翼の一部が黒く,ほかは白い。足は青みのある灰色で,良く見ると錆が浮いたような班が見える。嘴は黒く細く,上に反っている。
 ♂は黒い部分がくっきり黒く,くちばしが長めで反りが小さめ。逆に♀は嘴がやや細く短く,反りが大きく,頭の黒い部分が淡い,という。海外の図鑑(2種類)のイラストでは,♀は目の周りの白いリングが目立っているように見えるが,このことについての記載はなかった。白くリングのように見えるのはまぶたの色だ。

[セイタカシギとの比較]
070701a_272 070625_0371  セイタカシギと比べると明らかに体が大きい,図鑑のデータよりも差が顕著だ。セイタカシギは目や足が赤く華やかさがあるが,こちらは,よりシックな色合いだ。飛ぶとセイタカシギは足が尾羽からかなり突出するが,ソリハシセイタカシギはそれほどでもない。立ち姿でも,セイタカシギのような極端な足の長さは感じない。セイタカシギにはない,立派な蹼(みずかき)が足にある。

[くちばし]
070701c_241 070701c_331  何といってもこの鳥の特徴はこの反ったくちばしだ。細くって黒いくちばしが上にググッと反っている。鳥はくちばしに特徴があるものが多いが,この鳥もそうだ。くちばしが上に反っている鳥は,ソリハシシギやオオソリハシシギなどがいるが,これほど顕著ではない。この形状は餌の取り方と密接につながっていた。

070701c_041070701c_049 適当な角度から見ると,くちばしの根元付近にある鼻孔が突き抜けて見える。カモメ類などを撮影しているとしばしばこんな写真(左側)が撮れるが,この鳥も狙ってゲット。なお,くちばしを撮影していたら,幸運にも大きく口を開けて,口の中まで見せてくれた。ベロまで見える。細いくちばしに似合わないような立派な舌だった。観察している間,何度かこのように口を開けていた。ゲップしていたのか?

[採餌行動]
070701_0335 070701a_206 070701a_232  何といっても面白かったのがこの鳥の餌取り。水にくちばしを入れて,ゆっくり歩きながら,首を左右に振って餌を探る。そして,はでに水をはじきながら首を上げる。首を振る姿はヘラサギやクロツラヘラサギを連想させる。2回目に行ったときは,私がいた7時間弱の間,ず~っと同じコースを行ったり来たりしていた。観察している間に捕らえた獲物は虫など小さなもののようだった。
 首を上げた際の水しぶきの散らばり加減が面白く,同じような写真を山ほど撮ってしまった。首を水に突っ込んだときに目をつぶる(右端)のもめんこい。

[排便]
070625_0533 070701b_695  食べてお腹に入れたら,出さなくてはいけない。これがまた面白かった。お尻をピッと上げて後ろにうん○を飛ばすのだが,決まって陸に上がって,排便する。食事する場所とトイレを明確に分けていた。「職住分離」ならぬ「食便分離」だ。誰だって自分のうん○が漂っている場所で食事したくはない。
 長い時間観察していると,「陸に上がってきたな。これからうん○するぞ。」と予想できるようになる。で,撮影したのがこの写真。

[足]
070701a_267 070701b_076  足は「セイタカ」というだけに確かに長いが,セイタカシギのような極端な長さではない。程よいバランスだ。また,太くてしっかりしている足だ。色は青っぽい灰色で,スコープで観察すると,単一色ではなく,鉄棒に浮いたサビのように赤っぽい班がある。泥が付着したものかと思ったが,そうでもないようだ。背景の色に溶け込みやすい色だ。

070701b_439 070701c_216 070701c_219  特徴的なのは蹼(みずかき)だ。指の間にわずかにあるものではなく,立派な蹼だ。足が長いので,泳ぐ必要なんてないと思うのだが,なぜあるんだろう? 移動するには翼だってある。潜って餌を取るなんてことがあるのだろうか。それとも,換羽時に一時飛べなくなることがあるのだろうか。どちらも考えにくい。単に泳ぐのが好きなだけか。

[伸び]
070625b_484070701a_570 070701_0144  動きが単調なシギチやカモメ類は,羽づくろいや伸びが大きなシャッターチャンスとなる。寝ていて起きたときは期待大だ。羽づくろいをし始めると,仕上げに伸びをしないかとず~っとピントを合わせ続けることになる。片方の翼を伸ばしたら,もう一方もやるのではないかと期待する。ピントを合わせ続け,疲れてファインダーから目を離した瞬間にチャンスを逃すこともしばしばだ。鳥に興味のない人からすると,思いっきり「バカ」だ。

070701c_091 070625b_637 070701b_453  しかし,羽づくろいや伸びのときは,鳥のさまざまな「部品」を干渉できる大チャンスだ。翼の表,裏,腋の下,胴体,足など,写真に撮っておくと後でじっくりとチェックできる。鳥の種類によっては,尾羽の枚数などで識別に役立てることもできる。今回も,左端の写真のように,伸びをした時,足の蹼(みずかき)が良くわかった。
 伸びには,①両翼を真っ直ぐ思いっきり上げるパターン,②翼を曲げたまま肩を上げるようなパターン,③片翼ずつ足を添えて伸ばすパターン,の3種類があるようだが,幸運にもすべて観察&撮影できた。

[頭かき]
070701_0415 070701_0418 070701_0427  鳥は頭にくちばしが届かないので,足で頭の羽づくろいすることになる。この「頭かき」にも鳥の種類ごとに特徴が出るようだ。チドリ類は,翼を下げ,翼越しに頭をかく「間接頭かき」,シギ類は普通に頭をかく「直接頭かき」をするようだが,この鳥は「間接頭かき」をしていた。「シギ」という名前が付いているが,只者のシギではない。
 写真は一連のもので,頭かき動作の前・中・後だ。喉付近をかくことが多かったが,目をつぶったこの表情が何とも言えず気持ち良さそうだ。

[休息]
070701b_346 070701b_677  観察する方は,ずっと緊張感を持って見ているが,見られる方はそうでもない瞬間がある。休憩するときに,足を一本しまってくちばしを翼に隠すが,どうしてもまぶたが落ちて,眠たくてしょうがなさそうに見えることもあった。
 また,驚いたことに,この鳥はペタ~ッとしゃがんで休息もしていた。最初,警戒して姿勢を低くしたのかと思ったが,そうではなかった。単に休憩モードに入っただけのようだった。足が長いので立っているのに疲れるのだろうか。

[飛翔]
070625_0569 070625_0571  飛ぶのが苦手な鳥もいるが,何といっても鳥は「飛ぶ」姿が美しい。2回目に行ったときは移動しなかったので,ほとんど飛ばなかったが,最初に行ったときは落ち着かずあちらこちらに移動していたので,飛翔写真を山ほど撮ることができた。なかでも,山や雲が背景に写っているこの写真がベストかもしれない。
 体が重たいようで飛ぶのに若干の助走が必要なようだった。

[終わりに]
070701a_272_1 070701a_289 070701c_357  発見者からは公開しても良いと言っていただいていたが,今回は自分で見つけたものではないし,観察場所の事情もあったので,いなくなるまで公開は自主規制させていただいた。ご理解願いたい。

 お聞きした情報を総合すると,たぶん初認が6月24日,終認が7月5日。とすると12日間滞在していたことになる。7日に確認に行ったときはすでにいなかった。もしかして,と思い30年前に出たという蒲生も覗いてみたが,ここにもいなかった。遠くには行っていないと思うが,今頃,どこにいるのだろう?

【観察できた鳥】(3日間計)

ハシブトガラス,ヒバリ,コチドリ,カルガモ,スズガモ,マガモ,ソリハシセイタカシギ,オオヨシキリ,ハクセキレイ,ツバメ,キンクロハジロ,トビ,イソシギ,シロチドリ,カワラヒワ,オオセグロカモメ,ハシボソガラス,ミサゴ,キジ,ウズラシギ,ムナグロ,トウネン,メダイチドリ (23種)

【写真】(飛翔写真のみ抽出)

070625_0159_1 070625_0181_1 070625_0204 070625_0299 070625_0354 070625_0355 070625_0356 070625_0364 070625_0371_1 070625_0378 070625_0379 070625_0380 070625b_508_01 070701_0430 070701_0444 070701_0456 070701_0463 070701_0464 070701_0465_1 070701_0468 

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0513 宮城県/石巻」カテゴリの記事

コメント

yamameさんこんばんは

きれいな写真をたくさん撮りましたね。
6/28~7/1にかけて出かけていたので見てませんでしたが
帰ってきてから行ってみたらまだいたので安心しました。
5,6日とハヤブサが上空を飛ぶのでちょっと不安でしたが。

終認は6日金曜です、土日は見れませんでしたので13日間の滞在になりますか。
ちなみに前回は正確ではないですが8日間の滞在だったようです。

投稿: yk | 2007/07/08 21:06

ykさん,コメントありがとうございます。

> きれいな写真をたくさん撮りましたね。

おかげ様でした。2回目に行ったときは結構きれいに撮れてました。スナップ写真でも,記録写真にはなりますよね。

> 終認は6日金曜です、

6日もいたんですね。と,いうことは私が行った日かその前日にいなくなったんですね~。さよならを言いたかったような,言いたくなかったような複雑な気持ちです。
近いうちにまた会いたいですね~。

投稿: yamame | 2007/07/08 22:19

yamameさん、こんばんは。

アボセットいいなぁ。仕事、休んでも行けば良かったと、後悔してます。今度、来た時は絶対行きま~す。
それにしても、yamameさんの詳しい解説、とてもすばらしいですね。ここまで詳しく観察出来ません。見習いたいです。

投稿: KAN | 2007/07/09 22:14

KANさん、おはようございます。
今回は残念でしたね。本文にも書きましたが、鳥見の目が増えたので、近い内にまたどこかで出るような気がします。そのときはぜひ行ってみてください。

> それにしても、

ほめていただき、ありがとうございます。せっかくなので、できるだけしっかりと記録しておこうと思いました。

投稿: yamame | 2007/07/10 06:52

yamameさんyasです。さすがの写真、さすがの観察力ですね。私もyamameさんに続いてブログ掲載しました。yamameさんのブログがすばらしいので文中に詳しくはyamameさんのブログをどうぞと書いてありますのでよろしく御願いします。

投稿: yas | 2007/07/11 07:18

yasさん、おばんです。

早いもの勝ちで書くだけ書いて、失礼してしまいました。リンク張っていただき、ありがとうございます。
それにしても至福の時間でしたよね~。

投稿: yamame | 2007/07/11 17:50

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