« 伊豆沼-蕪栗沼 2006/10/22 | トップページ | 県南海沿 2006/10/29 »

2006/11/02

三神峯公園 2006/10/26-30

 日曜日,mametiさんから変わったヒタキがいた,との情報をいただいていたが,どうやらマダラヒタキらしい。

 マダラヒラキが日本で記録されたのは,1991年10月6日~10日の1回こっきり。日本海,能登半島沖の離島,舳倉島で若鳥が観察されたものだ。最初は「まさか?」と思ったが,どう見ても,図鑑にあるマダラヒタキの特徴どおりだ。次に,「かご抜けか?」とも疑ったが,ペットショップでは扱っていないようだし,近くの八木山動物公園に電話してみても,小鳥類は扱っておらず,逃がしたこともないと言う。これは間違いない。自分の目で見て確認するしかない。

 一生に一度あるかないかのチャンスで,仕事なんぞしている場合じゃあないのだが,水曜日までは,どうしても休めない。月曜日,火曜日は雨ザーザーだったので,比較的心穏やかだったが,水曜日は午後から天気が良く,仕事しながら大いにストレスがたまった。ようやく休みを取って,現地に行けたのは木曜日だった。

 さて,いつものように時系列でブログを書くと,取りとめもなくなってしまうので,後でこの鳥のことを思い起こせるよう,自分の備忘録としてメモすることとする。

≪始まり≫

 見つけたのはmametiさん。2006年10月22日(日)午前8時半頃,場所は仙台市太白区の三神峯公園だ。その日のうちに,私の画像掲示板に張っていただいたが,恥ずかしながらマダラヒタキは選択肢になくって,最初,オジロビタキだと思い込んでしまった。しかし,mametiさんの重ねてのご質問に,再び図鑑をめくったら,何と・・・!!!!

≪姿・形≫

_061028b_364_061026b_103 _061026b_050   全体的印象は,キビタキ大の「白っぽいヒタキ」。嘴がキビタキより小さめなので,顔の印象が全く異なる。嘴と足は黒く,お腹が白。頭から背中上面にかけて茶色味がかった淡い灰色。腰はやや淡い色だ。翼の第三列風切の縁と大雨覆の縁が白く,これが良く目立つ。良く見ると,初列風切に,細い刷毛で刷いたような薄い白斑もある。この白斑は,姿勢により見えなくなることもあった。外側尾羽は先端以外が白い,ということだが,これは確認できなかった。換羽により抜けている可能性もあるかもしれない。

_061026a_658 _061026a_323 _061028b_389  細かく見ると,目の周りに細い白いリングがあるように見え,嘴の上部に小さな白斑もあるようだ。ヒタキ類特有のヒゲもあるように見える。また,頬の辺りがやや茶色味がかっており,田舎の赤いほっぺの女の子を連想させる。首輪のように薄い茶灰色があるので,正面から見ると,喉の白いのが強調されて見える。足はヒタキ系そのもので,樹上にとまるのに適した長さで。地上を歩き回って採餌するような足には見えない。

_061026a_659 日本の図鑑では詳しいことが記載されていないが,県外からいらした方が持っていた海外の図鑑(Collins Bird Guide?)を拝見すると,類似種とされているシロエリヒタキやハシエリヒタキと異なり,初列風切の白斑が小さく,マダラヒタキで間違いないように見える。また,とまったときの翼上部(中雨覆)に淡い白線が出ていないことから,若鳥でなく成鳥であるようだ。上面が黒でなく褐色なので成鳥雌のように見えるが,冬羽だとすると,成鳥雄の可能性も捨てきれない。ヨーロッパ北部と南部とで体色の変異もあると聞いた。

_061028b_273 _061026a_406  写真に見るように,この個体は,右半身(雨覆部分)に白い羽根がよじれて飛び出している。左向きの写真だと気付かないが,右向きの写真だと,これがとても良く目立つ。その時々によって,丸まったり真っ直ぐになったりしている。これを,この鳥のチャームポイントと見るか,邪魔物と見るかは人それぞれだろう。角度を変えるとこんなに飛び出して見える。怪我や病気の結果でなければ良い。

≪行動① 採餌≫

 木曜日(2006/10/26)と土曜日(2006/10/28)は,朝から晩まで1日付きっきりで見ていて,日曜日(2006/10/29)は朝だけ観察した。

 木曜日も土曜日も現地に6時半頃着いたが,マダラヒタキは,すでにギャラリーの前に姿を現していた。いたのは杉林の林辺で,地上から1~2mの高さにある枝や倒木にとまっていた。

_061028b_269 _061028b_272  木の枝などにとまっていることが多いが,餌を取るのは決まって地面だった。mametiさんはムカデを捕らえている画像を撮影していたが,私はコオロギのような虫を捕食したのを観察した。ミミズのような虫も,食べていたらしい。いずれ,地面の虫を食べていたようだ。舳倉島の鳥は,空中の虫や樹上の虫を食べていたようなので,全く異なる層の虫を食べていたことになる。これは偶然撮影したものだが,足元に来たハエを見つけ,捕食した場面だ。捕らえた瞬間が写っていなくって,残念。

 舳倉島では,空中や樹幹,樹皮にいる虫を捕食していたようだし,足も嘴も,地面採餌が中心ではないような感じだ。気付かない内に誰かが餌を撒き,地面で餌を取る癖が付いたのかとも一時疑ったが,mametiさんが最初に出会ったときも,地面で採餌していたようだ。この時期は,地面の上に豊富に餌があるので,こんなことになったのかもしれない。

≪行動② 行動範囲≫ 

_061026a_474  とまるのはお気に入りの枝などで,その場所は,木曜と土曜では微妙に異なっていた。地面から1m~3mの低い位置の,やや開けた場所が好みのようだった。その日のお気に入りの場所には何度も飛来し,そこにとまると,しばらく移動しないでいるため,写真撮影は楽だった。ただし,暗い場所だったので,シャッタースピードが遅くなり,動きがある画像は撮影できなかった。飛ぶ瞬間を捉えたショットは,すべて白い影しか写っていなかった。

 土曜日は,一日,杉林の下方にいたが,木曜日は杉林につながる桜の大木の天辺近くにとまる姿も観察できた。日曜日の午後もそのような姿が見られたらしい。行動半径は50m~60m位の範囲だったろうか。

 マダラヒタキとともにキビタキもここにいたが,キビタキが近くに来ると追い払う行為も見られた。図鑑によるとキビタキの方が若干大きいようだが,ここではマダラヒタキの方が強いようだった。

≪行動③ 仕草≫ 

_061026b_127  図鑑には,翼を上げ振り下ろす動作が特徴的だ,との記載があった。舳倉島でも,片翼を開いて上げては振り下ろす動作を頻繁に行っていた,との記録がある。そのような動作をしてくれるのを楽しみに,ず~っと見ていたが,この個体に関しては,全くそのような行動は見られなかった。残念。ときおり尾を上下に動かすのみだった。尾を動かして,上げているポーズはオジロビタキ風だ。

_061026a_304 _061026a_305  そういえば,羽づくろいや伸びもあまりしてくれなかったので,変化のない写真になってしまった。たまに動きがある場合でも,暗かったため,被写体ブレがひどく,見られたもんじゃない写真となってしまった。唯一,生活感がある面白い写真が撮れたのはコレ。私らしく,あまり品のないカットだが,うんちをする瞬間だ。肛門が広がってうんちが見え,その後,木に落ちている様子がわかるだろう。(失礼!)

≪どこからどこへ?≫ (憶測&戯言)

 そもそも,この鳥はヨーロッパにいるはずの鳥だ。ここになんか来るはずのない鳥だ。どこから,どうやって,どのような経路できたのだろう? 不思議だ。

Worldmap  自力で飛んできたとすれば,分布域の中で日本から一番近いシベリア西部から来た可能性が一番高いように思う。メルカトル図法の世界地図では,来るのがあり得ない距離に思えるが,正距方位図法で北極点中心の地図(国連の旗など)をイメージすると,意外とそうでもないのかもしれない。と,言っても,もちろん,想像を超えた距離には変わりない。

 仮に,カムチャッカ,或いは,サハリンなどを経由して,北から来たのだとすると,太平洋側に現れても不思議はないと思う。日本海を飛び越えたのではなくって,北から来た可能性もあるかもしれない。

 本来の棲息地では,冬になると南下するようなので,この地でも,移動するとすれば南下するのだろう。ただ,仙台の経度はヨーロッパではスペイン・ポルトガル付近で,この鳥がシベリア付近にいたと仮定すれば,すでに結構南下していることになる。北アフリカに渡るとしても,緯度は日本列島に収まってしまう。中央アフリカにまで行く鳥なのであれば別だが,もしかすると,移動しても日本のどこか温暖地で越冬する可能性があると思う。

 また,南のどこかで越冬するとしたら,春に北上する可能性もあり,そうすると,今いなくなっても,来春,ここで再会できる可能性があるかもしれない。さらに,来秋,再来する可能性も。落鳥しないで元気で再会できることを祈る。

≪ギャラリー≫

_061026a_307   「公園なので問題なし」,と即断し,そのままネット上でやり取りをしていたので,一気に情報が広まった。そのため,この鳥を目的に遠方からも多くの方々が訪れた。県外では関東の方々が一番多かったようだが,関西や山陰,九州からのお客様もあったようだ。それだけ人々を引き付ける鳥だったのだろう。

 実は,内心,人でごった返して収拾が付かなくなることを心配していたが,鳥見する方々は基本的に皆さんマナーが良く,杞憂に終わった。乱雑に駐車する人もなく,ゴミを散乱する人もなかった。ただ,中には,餌まきをしようとした方や,止まり木を立てようとした方がいてびっくりしたが,ご理解いただき,トラブルにまでは発展しなかった。

 最大の人出は土曜日(10/28)の早朝だったと思うが,それでも60~70人程度だったのではないだろうか? この日も,午後からは半分以下に人数が減っていた。鳥の出が良かったため,皆さん短時間で満足し,移動されたせいだ。区役所の特別な計らいで公園入口に臨時駐車場を設けていただいたが,臨時駐車場まで利用された方はほとんどいない状態の人出だった。これが関東だったら,大変な人出になっていただろうが,東北ではこれが最大規模だったのだろう。

 私は関東や飛島などで,このような状況とは何度か出会ったことがあるが,地元バーダーには,目が点になっていた人たちもいた。ほとんど誰にも会うことがない鳥見が通常なので,超望遠レンズがズラ~っと並び,鳥が出ると素早く反応する光景には圧倒されてしまったようだ。不謹慎だが,見ていて面白かった。

 ともあれ,この鳥のお陰で,「鳥好き大集合」の状態になり,多くの方々とお話できたのは大変楽しく,また,大変有意義だった。鳥そのものの魅力は当然として,こんなときは,珍鳥を介しての人との交流がとても良いものだ。

≪終結?≫

 最後に見たのは,やはり発見者のmametiさんではないだろうか。2006年10月29日(日)の午後のことだ。桜の木の高い所にいて,今にも渡去しそうな感じだったらしい。桜の木に移動したのはどういう事情があったのか不明だが,最後にmametiさんとあいさつしてから旅立とうと思ったのかもしれない。意外と,義理堅い,いい奴なのかもしれない。

 以来,この記録を書いた時点まで,再発見されていない。

 11月3日にmametiさんが終結宣言をされた。終認が10月29日16時30分ということだ。

【写真】(最初の4枚がキビタキ,他はマダラヒタキ)

_061026a_622 _061028a_338 _061028a_482 _061028a_493 _061026a_106 _061026a_268 _061026a_297 _061026a_548 _061026a_651 _061026b_105 _061026b_387 _061028a_116 _061028a_144 _061028a_248 _061028a_410 _061028a_622 _061028a_646_02 _061028b_012 _061028b_201 _061028b_389_1

« 伊豆沼-蕪栗沼 2006/10/22 | トップページ | 県南海沿 2006/10/29 »

0590 宮城県/仙台市内公園」カテゴリの記事

コメント

今回は最初の識別の相談から,お世話になりっぱなしで本当にありがとうございました。yamameさんに石巻でお会いしていなければ,相談する方もいないので今回の件は表に出なかったと思います。たぶんキビタキという同定で私から外に情報を出すことはなかったでしょう。いろんな意味で感謝しています。

記事を詳しく読ませていただきました。くちばしの大きさ,羽の様子など私よりずいぶん的確に見ておられるので感心しました。成鳥雄の可能性もあるということはじめて聞きました。この際なので海外の図鑑を取り寄せてもう少し調べてみることにします。

明日,公園内をゆっくり探索して,いないことを確認して来たいと思います。

投稿: mameti | 2006/11/02 18:53

mametiさん,コメントありがとうございます。
こちらこそ大変お世話になり,ありがとうございます。これを機に今後も末永くよろしくお願いいたします。

なお,このブログに書き込んだのは私の私見に過ぎないので,あまり参考にしないでください。でも,そういえば,成鳥雄かもしれない,とは誰も言っていなかったような気がしますが,どうしてでしょう? 識別ポイントが別にあったのかもしれませんね。私も海外図鑑を購入しようと思っています。

> 明日,公園内をゆっくり探索して,いないことを確認して来たいと思います。

人がいなくなって静かになったことでしょうね。最後までご苦労様です。今度はゆっくりと公園探索を楽しんでください。

投稿: yamame | 2006/11/02 19:19

yamaneさん、おはようございます。

マダラヒタキではお世話になりました。
私は超忙しく(仕事、ラグビー、その他)27日しか空いてる日が無く、
すべり込みセーフでした。
ほんとうにありがとうございます。

今回の件で、ひとつ勉強になりました。
いろんな野鳥ページを毎日見なければなりませんね。
(自分ので手いっぱいで、TVはみなきゃなんいし・・・
 あとは直ぐ寝るもんんで)

PS

盛岡には、ミヤマガラスの群れ(300+)と
手強いですが、ケアシノスリが1羽入ってます。
今日は・・・、畑の冬じまいで鳥見はできないで~す。
農家ではないのに、中途半端に畑があると苦労しますは。

投稿: 四ッ家 | 2006/11/04 07:10

四ツ家さん,おばんです。

人が働いているときに休んで鳥見し,しかも,電話までして,すみませんでした。(^^ゞ
でも,ホント,間に合ってよかったです。

私も自分ので手一杯で,他のページのチェックを怠りがちですが,ここからリンクさせていただいている方々のページだけはしっかりチェックしています。

> 手強いですが、ケアシノスリが1羽入ってます。

かなり惹かれるものがありますが,猛禽は手強いですからねぇ・・・。

投稿: yamame | 2006/11/04 18:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/105385/12492569

この記事へのトラックバック一覧です: 三神峯公園 2006/10/26-30:

« 伊豆沼-蕪栗沼 2006/10/22 | トップページ | 県南海沿 2006/10/29 »